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コロナの影響を受ける家賃と受けづらい家賃【プロが教える不動産投資コラム】

新型コロナによる影響が多方面に出ています。感染者数の増加から「Go Toキャンペーン」も東京都は除外となるなど、地域によって影響が異なっています。

 

また賃料においてもその影響の違いが表面化しています。店舗賃料やオフィス賃料、住宅賃料それぞれの新型コロナの影響の違いについて考えてみたいと思います。

賃料の種類によって新型コロナの影響は異なる

不動産の賃料の種類は様々ですが、今回は下記3つの賃料について検証してみましょう。

(1)飲食店、物販店、商業施設などの店舗賃料

(2)オフィスビルなどの賃料

(3)居住用不動産の賃料 

店舗系の不動産賃料の影響は大きい

今回の新型コロナにより、(1)の店舗賃料などは影響を大きく受けたケースも多くあります。

 

この要因として大きく2つが挙げられます。 

 

1、緊急事態宣言や、新型コロナの余波で外出が減少し、店舗や商業施設の来店、売り上げが減少している。

2、海外から訪日外国人客がほぼゼロになり、訪日外国人の訪問の多かった観光地などで売り上げが減少している。

 

 

国土交通省からは、こうした新型コロナの影響を受けた飲食店などの不動産賃料については、不動産のオーナーに対して「賃料の支払いが困難な事情があるテナントに対しては、賃料の支払いの猶予に応じるなど、柔軟な措置の実施を検討頂くよう」と要請も出ています。

政府の家賃補助制度も始まる

2020年7月14日から政府の家賃の補助制度が始まりました。1ヶ月あたり上限200万として家賃の3分の2が半年間分一括で支払われるという制度です。店舗経営者方にとっても大きい支援策であると考えられます。

 

店舗賃料は特に1階では家賃が高くその影響は大きいです。今回の要因は新型コロナなので、収束すれば当然の事ながら以前のような賑わいも予測されます。こうした政府の支援制度などで店舗などの経営を持続させ、新型コロナ収束まで持ちこたえる事ができるように期待される所です。

オフィス賃料とテレワークの関係は

オフィス賃料については、新型コロナの影響によるテレワークの新常態(ニューノーマル)化が大きなポイントとなってきており、テレワーク化の浸透により都心オフィスの入居率の低下に伴い今後家賃が下がる可能性もあります。日立、富士通など大手企業はテレワークの推進を表明しており、テレワークを導入する企業も増加してきています。

 

東京都が2020年5月に発表した「テレワーク導入率緊急調査結果」によると、テレワークの導入率は62.7%であり3月時点の24.0%と比べて大幅に上昇しています。 また大企業ほど導入率が高く、300人以上の企業では8割が導入済みという事でした。

 

都内企業(従業員30人以上)のテレワーク導入率

調査時期 導入してる割合
2020年3月 24.0%
2020年4月 62.7%

<東京都「テレワーク「導入率」緊急調査結果」2020年5月>

 

但しその後の調査では、「テレワークを導入したが元の勤務形態に戻した」というケースも増えています

 

単純に今後もテレワークが増加しオフィス賃料が下がるという事は断言できないと言えます。6月時点の都心のオフィス空室率はわずかに上昇ながらも、オフィス賃料は上昇傾向にあるとの報道も出ています。今後のテレワークの浸透は、時間の経過を持って注視が必要となってきます。

住居系不動産への影響は

では居住用不動産の家賃への影響はどうでしょうか。

 

同じ家賃でも、都心のタワーマンションで1室50万や100万円以上する超高額賃貸物件から、家賃が8万から12~13万程度のワンルームマンション、さらに家賃が5万円以下のアパートなどさまざまな居住形態があります。

 

いずれも住宅の賃料は2年などの長期で契約している事が多く、直ちに賃料への影響が出る事は少ないと言えます。 但しあまり高額な高級マンションなどの賃料は法人賃貸の場合も多く、企業の業績によっては契約が更新されないなどのケースも発生する可能性も考えられます。

 

またテレワークの影響で郊外に移住する方もいらっしゃいますが、東京都の調査によると、5月の東京都における転出人口は約5,000人となっています。通年ベースにおいても、60,000人程度と考えられます。 東京都全体の1,400万人という世界有数の巨大人口群から見ればごくわずかである事が分かります。

 

逆に東京都内へ転入する人口も極めて多いので、テレワークにより都内の住宅賃料が下がるという事は、特に単身者の需要が多いワンルームマンションについては可能性が低いのではないでしょうか。 事実、新聞では東京23区の2020年6月マンション賃料は過去最高となっているとの報道もあります。

住居系の賃料は「立地」と「建物のクオリティ」による影響が大きい

今後、居住系不動産賃料の動向を左右するポイントは何でしょうか。それはまず「立地条件」ではないかと筆者は考えます。

 

ワンルームマンションは厳選された好立地に建設されます。様々な賃貸居住用不動産のうち、供給が少なく交通アクセスが良く、生活利便性の高いマンションは家賃が下がりづらいと考えます。

 

次に大切なポイントは建物の耐震性、セキュリティなどの安全性、さらにテレワークにも適した情報通信設備などの「建物のクオリティ」です。そのような条件を満たすワンルームマンションは入居率が極めて高く家賃も安定するので結果的には家賃の下落リスクも低いと考えられます。

 

このように今回の新型コロナの賃貸市場の影響度はその対象により様々である事が分かります。いずれにしても不動産投資は長期の投資ですのでここは原点に立ち返り「立地と建物のクオリティ」に比重を置いて不動産投資の選択をする事が大切と考えます。

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