再開発が地域に与える影響は【プロが教える不動産投資コラム】

現在東京では多くのエリアでかつてない程の再開発が多くの拠点で進行しています。このような再開発が東京の不動産価格にどのような影響を与えるのかを考えてみたいと思います。
再開発が地価に与える影響は大きい~「虎ノ門」のケース
再開発により大きく地価が上昇するケースが目立っています。まず代表的な例として2014年に開業した「虎ノ門ヒルズ」周辺の地価について見てみましょう。虎ノ門ヒルズ近くの地点「虎ノ門1-16-8」は虎ノ門ヒルズ開業となる2014年の前年の2013年から地価が上昇し始め2019年まで7年連続で地価が上昇しています。
さらに2015年からは前年比10%以上の高い上昇率が続いており、2019年には18.8%と非常に地価上昇率が高くなっています。2019年の港区平均の地価上昇率は9.9%と高いですが、虎ノ門はその約2倍くらい上昇しています。これは日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ」駅が2020年に供用開始、2022年に最終完成する期待もあります。また周辺の六本木などでも大規模な再開発が予定されており、今後も地価上昇が続くのではないでしょうか。
地価変動率の推移<港区・虎ノ門>
虎ノ門 1-16-8 |
港区 商業地 平均 |
東京23区 商業地 平均 |
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2015年 | 10.21% | 7.80% | 4.00% |
2016年 | 10.42% | 6.40% | 4.90% |
2017年 | 10.14% | 7.00% | 5.90% |
2018年 | 12.38% | 8.00% | 7.20% |
2019年 | 18.08% | 9.90% | 8.40% |
国土交通省「令和元年都道府県地価調査」
時間差で再開発が進行する「渋谷」エリアのケース
渋谷では「100年に一度」と言われる程の再開発が進行しています。2000年に「渋谷マークシティ」、2012年に「渋谷ヒカリエ」が開業しました。さらにその後も続々と再開発ビルが完成し、2017年に宮下公園前の「渋谷キャスト」、2018年には渋谷駅南側の「渋谷ストリーム」、東急東横線跡地の「渋谷ブリッジ」、2019年には国道246号沿いの「渋谷ソラスタ」「渋谷スクランブルスクエア」「渋谷パルコ」、そして「東急プラザ渋谷」が「渋谷フクラス」内にオープンしました。このように渋谷駅周辺は2020年の東京五輪を目前に開発ラッシュを向え、大きく変貌を遂げています。
これに対して国道246号の南側、桜丘エリアは渋谷駅に近い立地ながら再開発が遅れていました。しかし現在JRの線路に沿って大規模な工事が始まっています。2020年から2023年にかけて3棟のビルが竣工する予定です。桜丘町の地価動向を見てみると2015年から2018年にかけては地価上昇率が渋谷区の平均よりも低くなっています。しから再開発が着工した2019年からは8.59%と上昇率が拡大しています。2019年時点ではまだ渋谷区の平均上昇率よりも低くなっていますが、ビルの竣工する2020年以降は地価上昇率が上昇すると予想されます。つまり桜丘地域は渋谷でも今後の将来性の最も高いエリアと言えます。
地価変動率の推移<渋谷区・渋谷駅周辺
渋谷区道玄坂 2-6-17 |
渋谷区桜丘町 14-6 |
渋谷区 (商業地区) |
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2015年 | 7.76% | 4.40% | 4.60% |
2016年 | 11.20% | 6.02% | 7.60% |
2017年 | 14.39% | 6.25% | 8.70% |
2018年 | 13.84% | 5.88% | 9.20% |
2019年 | 12.15% | 8.59% | 9.00% |
国土交通省「平成31年地価公示」
沿線の住宅需要の変化は
こうした大規模再開発の進行しているエリアは「都市再生緊急整備地域」などに指定されている事が多くなっています。「都市再生緊急整備地域」は都市の魅力と競争力を高めるために再開発が促進されているエリアで、地価は指定前の1.52倍、人口が1.44倍になるなどその効果も高くなっています。この中でもさらに優先度が高いエリアは特定地域として指定されています。
東京都では山手線のビッグターミナルである「新宿」「池袋」「品川」「東京」をはじめ「虎ノ門」や「渋谷」などのエリアも「都市再生緊急整備地域」に指定されているエリアです。こうしたエリアは就業人口が増加しており、周辺や沿線の住宅需要も増加が見込まれる地域です。ですからこの地域内の主要駅などにアクセスしやすい沿線の駅が、マンション投資のエリアとして狙い目となる訳です。虎ノ門、渋谷などの例を見ても分かりますが、再開発による工事の着工やビルの竣工など、再開発が具体的となってきた時点で地価も急上昇する傾向が見られます。
さらにその効果が沿線や周辺に波及してくのにもまたタイムラグが発生します。つまり将来の街の変化の情報をキャッチして、早めに行動する事が長期的なマンション投資の成功につながる訳です。都内の再開発は東京五輪終了後も多くのエリアで継続されます。再開発は大規模で長期なプロジェクトなので、何年も前から概要が発表されます。こうした情報も常にチェックしてマンション投資の立地選定に活かして下さい。