COLUMN

令和元年の不動産投資市場を振り返って

令和元年は平成の時代から新しい令和時代に入り不動産業界においても様々な出来事がありました。経済・不動産業界にフォーカスして1年を振り返ってみたいと思います。

首都圏の投資用マンション市場は供給減少に

まず首都圏投資用マンションの市場動向を振り返ってみると、令和元年1~6月に供給された投資用マンションは約3,200戸と前年同期比で30%ほどの減少となっています。これは年々アクセスの良い駅に近い土地の供給が減少している事を物語っています。都心に近い人気路線の駅近のマンションの希少性がとても高まってきています。平均価格においては3,047万円とほぼ横ばいの水準となっています。供給エリアの特色としては、リニア開通期待や高輪ゲートウェイの誕生とともに品川区の供給が延びています。また練馬区や江東区、台東区なども比較的供給が多い傾向となっています。

立地は都心から遠隔化傾向に

供給エリア上位23区の中では神奈川県のエリアが7箇所を占めており、横浜市・川崎市などのエリアが人気が高まっているようです。東京都心3区においては中央区、千代田区は供給がなく、唯一供給があったのは港区だけです。つまりワンルームマンションの供給エリアは都心中心から離れている傾向がある事が読み取れます。

空き家問題も進む

令和元年は「空き家問題」が改めて大きくクローズアップされた年でもありました。日本全国で846万戸の空き家が存在し、空き家率の上昇はこれからも続きます。空き家問題は地方を中心とした問題である事は確かですが、東京都においても約10%が空き家となっています。ここで大切な事は同じ東京でも都区部ではなく、市部の築年数の古い交通の利便性の良くない住宅でその傾向が顕著なようです。東京都内のワンルームマンションはそれに対して高い入居率が続いています。賃貸住宅市場においても「二極化」がより鮮明化した年とも言えます。

海外からの投資も

令和元年は海外からの日本への不動産が加速した年でもあります。渋谷や表参道、原宿の不動産に投資しているノルウェー政府系年金ファンド、イギリスの大手運用ファンドであるASI、さらに米ラサールをはじめ新たな投資マネーの流入で東京の不動産投資市場は短期間で大きく変貌しています。令和元年は政府のお花見問題、支持率はやや低下傾向とは言え、安倍政権の長期化により先ほどの外資マネーの流入がしやすい環境や日銀の金融緩和の継続で投資環境は良好に推移しています。

投資マンションの注目度は今後も高まる?

借り手の需要については東京圏が23年連続転入超過となり、しかも比較的若い世代の流入が顕著である事から、東京都内のマンションの入居率の高止まりと賃料上昇が続いています。11月においては都内のマンション平均賃料が過去水準を更新しました。また投資系ローンの不正融資などの問題が露呈し、特にアパート系の投資ローンの審査基準が一段と厳しくなる中、区分のワンルームマンション投資へシフトする法人・個人ともに増加傾向となっているようです。このため新築・中古問わず、区分のワンルームマンションの需要は今後も増えていく可能性が高まっています。令和元年は老後資金2000万円不足問題で国民の老後の生活設計への意識が急速に高まった年でもあります。学校を卒業して社会人になって、定年退職した後は年金でゆとりある暮らしができるという事の難しさに気が付き始めたわけです。そこで政府は確定拠出年金やNISAなど積極的に推進しているようですが、なにぶん投資をするキャッシュがなければ何も始める事はできません。その点勤続年数一定の所得、などの金融機関からの「信用力」があればできる不動産投資に2020年はさらに注目が高まるでしょう。

女性目線の考え方が重要

筆者は令和元年に東京を中心として名古屋・大阪で多くの不動産投資セミナーの講師として招かれましたが、20代、30代の若い参加者の方がとても目を引きました。特に女性の社会進出の影響もあり、女性の参加者の方もとても増えています。総務省が2019年6月の労働力調査によると、女性の就業者数は初の3,000万人超えとなりました。これからの時代は女性目線での不動産投資という事もとても大切になります。

地域・建物の「安全性」が重要に

令和元年は大型の台風や大雨による河川の氾濫など国内インフラの脆弱さが改めて露呈された年でもありました。武蔵小杉のタワーマンションの浸水騒ぎはテレビでも報道されて話題となりました。従来のマンション選びの決め手は「立地・収益率・換金性」などの視点で見る傾向がありましたが、これからは地域・建物の「安全性」という視点がますます大切となるのではないでしょうか。 今回は令和元年の不動産業界を振り返ってみましたが、読者の皆様もご自身が所属する業界で令和元年にどのような事が起きたかという事を箇条書きでまとめておくと、何年か先に振り返った時に鮮明に記憶が戻ってくると思いますので、参考にして頂ければ幸いです。

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