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最新・賃貸住宅事情は?【プロが教える不動産投資コラム】

不動産投資を行うにあたって、「空室」リスクは地域・物件のクオリティによっては避けがたいものですが下げることは可能です。それには賃貸居住者のニーズを反映する事が重要となります。今回は国土交通省が2020年3月に発表した「平成30年 住生活総合調査」の速報集計から賃貸入居者の動向などを検証してみましょう。

住み替えの目的は「交通利便性」を重視?

住宅を住み替える方はその目的もあります。住宅のニーズを見る上でも重要な指針となってきます。まずは全体的な傾向から見てみましょう。

 

「最近5年間に実施した住み替えの目的(複数回答・主なもの)」を見ると、1位は「通勤・ 通学の利便35.9%」、2位は「広さ21.8%」、3位は「世帯からの独立(単身赴任、 離婚などを含む) 18.6%)となっています。この回答には持ち家・賃貸のどちらの方も入っていますが、やはり「交通利便性」は非常に重要視されている事が分かります。

 

最近5年間に実施した住み替えの主な目的

  主な目的 割合
1位 通勤・通学の利便 35.9%
2位 広さや部屋数 21.8%
3位 世帯から独立 18.6%

<国土交通省「平成30年 住生活総合調査(速報集計)結果」>

賃貸の方が転居する先はまた賃貸?

次にこの中で「借家・持ち家」の方のそれぞれ動向を見て見ましょう。住み替えを実施した世帯の住宅の種類を見ると、「借家から借家」への住み替えが最も多く50.8%と半数を超えています。つまり賃貸で入居していて、引っ越す場合もまた賃貸住宅へ入居するケースが半数以上という事です。賃貸住宅の需要が多い事が分かります。

 

■最近 5 年間に実施した住み替えにおける居住形態の変化別の割合(平成30年)

  居住形態の変化 割合
1位 借家から借家 50.8%
2位 借家から持ち家 24.0%
3位 持ち家から借家 12.2%
4位 持ち家から持ち家 13.0%

<国土交通省「平成30年 住生活総合調査(速報集計)結果」>

賃貸と持ち家で住み替え目的は異なる?

次にそれぞれの住居別に住み替えの目的を見てみましょう。

 

「借家から借家」の方は「通勤・ 通学の利便」が最も多く32.2%となっています。つまり賃貸住宅に居住する方は交通利便性を重要視している事が分かります。「賃貸から持ち家」へと住み替えた方は「広さや部屋数」が31.3%で最も多く、住宅を購入する方は「広さ」を重要している事が分かります。逆に「通勤・ 通学の利便」は12.5%と低くなっています。

 

また「借家から借家」の方も「広さや部屋数」を重視する割合は29.8%と高くなっています。「日常の買物、医療などの利便」などの生活利便性については、「賃貸から賃貸」の方は28.0%なのに対して、「借家から持ち家」の方は14.2%と低くなっています。これを見ると「借家から借家」の場合は「通勤・ 通学の利便」「広さや部屋数」「日常の買物、医療などの利便」と交通利便性、広さ、生活利便性のどれも高くなっており、要求水準が高い事が分かります。

 

住み替えの目的別に見た最近 5 年間の居住形態の変化別の割合

  借家から借家 借家から持ち家
通勤・ 通学の利便 32.3% 12.5%
広さや部屋数 29.8% 31.3%
日常の買物、医療などの利便 28.0% 14.2%

<国土交通省「平成30年 住生活総合調査(速報集計)結果」>

 

※以上①から④につきましては単身者からファミリー向けまで総合的な指標を通じて述べさせて頂きましたが、④からは家族構成別に見てみましょう

単身世帯の住み替え意向は?

家族構成別に住み替え意向を見てみると「64歳以下の単身者」の住み替え意向が最も多く32.5%と3人に1人は転居の意向がある事がわかります。単身者の方の住み替え意向が多いという事は、それだけ入れ替わりが多くワンルームマンションなど単身世帯用住宅の賃貸需要が多いという事ですが、逆に退去リスクも発生しているという事にもなります。

 

ワンルームマンションの多くは駅に近く「通勤・通学の利便」の良い立地に建設される事が多いので、こうした需要を満たしているといえます。これとは逆に駅から通い立地に余剰地の土地活用などで建設された賃貸住宅は、交通利便性が低く空室リスクが高くなる可能性があります。

 

また65歳以下の単身世帯の住み替え意向は平成10年(1998年)には13.1%と低かったですが、平成30年には32.5%と大きく上昇しています。今後ますます賃貸の住み替え需要も増加すると思われます。

 

家族構成別の住み替え意向

家族構成 住み替え意向
単身(64歳以下) 32.5%
夫婦(家計主64歳以下) 25.9%
親と子 21.1%
単身(65歳以上) 11.2%
夫婦(家計主65歳以上) 12.4%

家族構成別の住み替え意向

 

■単身世帯(65歳以下)の住み替え意向のある割合

割合
平成10年 13.1%
平成15年 15.6%
平成20年 19.4%
平成25年 27.9%
平成30年 32.5%

<国土交通省「平成30年 住生活総合調査(速報集計)結果」>

投資用不動産を所有している方はどれくらい?

では次に、「賃貸住宅の所有」について見てみましょう。現在住居を所有している方の中で、現住居以外にも住居を所有している割合は15.2%となっています。その所有している住居の中でも、人が住んでいる(居住世帯のある住宅)割合は83.9%となっています。

 

人が住んでいる住居では「親族の居住用」が最も多く54.2%と半分以上で、その次に「貸家用」が30.1%となっています。全体の中で見ると、貸家で入居者がいる住宅を持っている人の割合は約3.8%となり、貸家で入居者がいない住宅を持っている人は0.72%となります。

 

あわせて約4.5%の方が貸家用の住宅を持っている事になります。単純に計算すると日本の世帯数が約5000万世帯として、約225万世帯が賃貸用に住宅を持っている事になります。不動産投資と言うと、自分には縁のない「高嶺の花」と思われがちですが、多くの方が不動産投資をしている事が分かります。

 

現住居以外の住宅の所有

所有の有無 割合
所有している 15.2%
所有していない 84.8%

 

現住居以外で所有している住宅の居住世帯の有無

居住世帯の有無 割合
居住世帯のある住宅 83.9%

 

住居以外に所有している住宅の種類(居住世帯のある住宅)

種類 割合
親族居住用 54.2%
貸家用 30.1%
売却用 1.7%
その他 14.0%

<国土交通省「平成30年 住生活総合調査(速報集計)結果」>

今後の賃貸住宅需要は?

現在新型コロナウイルスが蔓延しており、テレワークなども推奨されてきています。こうした事から、「交通利便性」に加えて、自宅でパソコンなどをつかって仕事ができる「通信環境」も求められてきています。無料インターネット回線やWi-Fiなどの通信環境も今後要求度が上がってくる可能性もあります。

 

さらに通信アプリやラインなどでオンライン会議や打ち合わせ、連絡等を行う場合には、画面背景の設定もできる場合もありますが、室内が写り込む場合はある程度の室内のクオリティも求められてくるかもしれません。「インスタ映え」する室内なら満足度も高くなります。物件の特性を活かしたリノベーションで入居率が上がる例もあります。

 

賃貸入居者は住み替えの意向も高く、言い換えれば「身軽」な訳です。こうしたインターネット関連の需要もいち早く用意し、賃貸入居者のニーズを満たす事が、入居率を高く保つ秘訣とも言えるのではないでしょうか。

 

現在、新型コロナウイルスによって日本経済の様々な分野に影響が出ています。不動産賃貸市場においても商業ビルなどの店舗賃料は影響がありますが、一般的な単身者向けのワンルームマンションの賃貸マーケットには影響はとても軽微となっています。このように非常時であるからこそワンルームマンション投資の安定性が改めて認識されているようです。

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