最新首都圏投資マンション市場動向【プロが教える不動産投資コラム】

マンション業界では面積が30㎡以下の投資用マンション、面積が30㎡から50㎡までのコンパクトマンション、50㎡以上のファミリーマンションと同じ新築のマンション業界でも様々なバリエーションがあります。今回はその中で最新の首都圏投資マンション市場動向について述べてみたいと思います。
目次:
1、なぜワンルームマンション投資市場は安定しているのか
2、新型コロナが不動産投資市場に与えた影響は?
3、2020年6月東京都の人口は再び転入超過へ
4、ここ10年で発売エリアはどう変わったのか?
5、投資用マンションの価格動向は
6、今後どうなる投資マンション市場
なぜワンルームマンション投資市場は安定しているのか
不動産経済研究所の調べによると、2019年に首都圏で発売された投資用マンションは5,977戸となりました。 6年前の2014年が6,240戸でしたので、ほとんど変わりはありません。
ここ10年間を見てもリーマンショック以降はおおよそ5,000戸台から6,000戸、多くても7,000戸台で推移してきました。
ファミリーマンションが東京都区部において2014年が20,774戸から2019年に13,737戸と約40%も減少しているのに対し、ワンルームマンション投資市場は極めて安定供給となっています。 これらの背景には次の要因が挙げられます。
(1)ファミリーマンション業界のような超高層、大型のプロジェクトはワンルームマンション業界にはない事。なぜなら投資用のマンションである以上、一つにエリアに対する賃貸需要には限界があり、それを超える供給は賃貸マーケットに大きな影響を与えるからです。
(2)投資用のワンルームマンションの大半は駅に近い商業地域に建設されますので、それらの駅に近い希少性の高い資産価値の高いマンション用地の出現には限界があるからです。例えば駅前の土地などは代々続くお店が多く相続で受けつながれて行く土地も多いのでより希少性が高いと言えます。
(3)投資用マンションは全国の方が首都圏に購入しますので、同じ首都圏の中でもある程度「知名度の高い駅」、もしくは「知名度の高い駅にアクセスしやすいエリア」となるとより「有限」となる訳です。
首都圏・投資用マンション新規発売戸数の推移
物件数 | 戸数 | |
2019年 | 132棟 | 5,977戸 |
2014年 | 135棟 | 6,240戸 |
<不動産経済研究所調べ>
新型コロナが不動産投資市場に与えた影響は?
不動産経済研究所調べによると直近の2020年1~6月の発売戸数は3,484戸となりました。新型コロナにより日本経済全体が大きなダメージを受ける中、投資用マンション市場はむしろ前年同期比で見ても好調に推移しています。
筆者は首都圏の投資用マンションを販売している会社十数社にヒアリングした所、販売状況が極めて好調であるという事をお伺いしています。新型コロナにより将来不安が大きくなる中、いい条件(年収・年齢・団信に入れる状況)等を加味して買える時に買っておきたいと思う方が増えているそうです。
営業マンの一人当たりのお客様に対する接遇回数はオンラインシステムのZOOMなどを総合利用する事によりむしろその頻度は大幅にアップしているのが現状のようです。
一般的に不動産業界は販売が不調で在庫が上積みされればされる程新規の土地の購入は当然の事ながら控える事となり、供給戸数は伸び悩む事になります。 発売戸数が順調に伸びているという事は、販売状況も好調である事を示していると考えられます。
2020年6月東京都の人口は再び転入超過へ
不動産投資をする上で人口動態を考察する事は極めて重要です。人口が減少する地域に不動産投資をしても不動産投資が成功する確率は決して高くないと考えられます。
東京都を含むいわゆる東京圏では2019年も15万人近い転入超過となりました。その中でも特に20から30歳までの若い方が多くなっており、ワンルームマンションの賃貸需要を支えています。
今回の新型コロナの件で東京から人口が多く転出し、都内の住宅需要な減退するのではないかという憶測がありました。事実、2020年5月において東京都は久しぶりに1,069人の転出超過となりました。
しかし早速6月には1,669人の転入超過に転じています。 この4、5、6月の3ヶ月だけを見ても、転入超過となっている訳です。 やはり世界有数の経済規模を有する東京都の人口の吸引力は衰えていない事を如実に示しています。
転入超過人口とワンルームマンション発売戸数2019年
東京圏転入超過人口 | 首都圏新規ワンルームマンション発売戸数 |
14万8,783人 | 5,977戸 |
<総務省「住民基本台帳人口移動報告 2019年」、不動産経済研究所「投資用マンション市場動向」>
ここ10年で発売エリアはどう変わったのか
不動産投資業界においては供給戸数はさほど変化は見られませんが、発売エリアには変化が見られます。
例えば今から6年前の2014年においては首都圏の投資用マンション発売エリアのうち、東京都内が占める割合は約82%でしたが、昨年2019年は約71%でした、データから読み取れる事は、東京都内の新築のワンルームマンションの割合が低下し、その分川崎市や横浜市が増えているという事です。
また都内においては江東区などの東エリア、国際戦略特区・MICE・羽田空港へのアクセスの良さから大田区も供給を増やしています。
首都圏投資用マンション発売エリアの割合
2019年 | 2014年 | |
東京都 | 22エリア | 23エリア |
神奈川県横浜市 | 5エリア | 2エリア |
神奈川県川崎市 | 4エリア | 2エリア |
埼玉県 | – | 1エリア |
東京都以外のエリア合計 | 9エリア | 5エリア |
<不動産経済研究所のデータより作成>
投資用マンションの価格動向は
2019年の平均価格は3,131万円、㎡単価は118.3万円とそれぞれ前年比14.%、2.9%上昇しました。 この背景には建築費の上昇、さらに年々投資用マンションの構造スペック等が進化し建物設備のグレートがアップしている事も挙げられます。
さらに価格は若干上昇しましたが、未曾有の低金利を背景に投資系ローンと家賃収入におけるキャッシュフローはほとんど影響がない事も要因の一つです。
同じ新築ワンルームマンションでも5,000万円を超えるいわゆる高額ワンルームマンションから2,000万円台で買える値ごろ感のあるワンルームマンションまで様々なバリエーションがありますので、年金対策、生命保険・相続対策、購入サイドの様々な需要に応えられる市場となっています。
今後どうなる投資マンション市場
現在のような新型コロナ渦の中でも首都圏の投資用マンション市場は極めて堅調に推移するとい考えられます。
なぜなら投資用マンション市場はその需給関係が極めて安定している事と、今後も持続的に金融緩和が続き、投資家サイドとしては有利な状況が続くからです。
さらに今後も続く首都圏の再開発が新型コロナの影響を相殺して首都圏の投資市場の健全性が保たれていくと考えられます。