お金・投資のキホン

貯金だけの人は円に100%投資しているのと同じ?資産の分散について考えよう

日本では「投資は損が怖いのでやらない」「すべて現預金に預けている」という方も少なくありません。しかし、もし全てが円の現預金だとしたら、実は日本円に100%投資しているのと同じ意味を持ちます。

日本円が外貨とくらべて値下がりすれば、知らず知らずに悪影響を受けるかもしれません。今回の記事では、日本円だけを持ち続けるリスクと分散投資について紹介します。

円預金100%は、円に積極的に投資しているのと同じ

日本では「金融資産のほとんど全てが円預金」という方が多数います。これは、資産運用の観点で見ると「日本円」という通貨を100%保有している状態で、実は安全な資産構成とはいえません。

たとえば、投資手段の一つに米ドルなどの「外貨預金」があります。外貨預金で米ドルに100%資産を預けていると、リスクが高い印象を持つ方が多いでしょう。しかし「モノの価格変化」に着目すると、日本円100%の資産構成は米ドル100%と同じくらいリスクの高い資産構成です。

円の価値が下がっても、保有している円預金の金額が減るわけではないので影響は分かりにくいといえます。しかし、円の価値が下がる、すなわち円安になると、輸入する商品の価格が上がってしまいます。たとえ現地での商品価格が変わらなかったとしても、以下のように円でみた価格が変動するのです。

米国で100ドルの商品(A)を輸入した時の日本円価格

為替商品(A)の日本円価格100万円で買える個数
1ドル=100円1万円100個
1ドル=150円1万5,000円66個
1ドル=80円8,000円125個

すると、日本円の預金額はかわらなくても、購入できるモノの量・質は為替変動によって増減します。日本は資源の多くを輸入に頼る国なので、円安になればモノの価格が上がりやすくなるのです。

円だけしか持っていないと、購入できるモノの量や質が減って、知らないうちに家計を圧迫してしまいます。

お金の置き所を分散した方がよい

円の価値の変化から資産を守るためには、さまざまな資産にお金を分散させるのが有効です。たとえば、次のような資産への分散を検討してみましょう。

  • 米ドル
  • 投資信託
  • 不動産

お金の置き所を分散させれば、各資産の値動きが円の価値変化の影響を相殺してくれます。

米ドルを保有するのがおすすめ

為替の変動による影響を抑えるためには、米ドルを保有するのが有効です。米ドルは、以下のように為替水準によって円換算したときの資産価値が変化します。

100万円を1ドル=100円で預けたときの為替変動に伴う資産価格の変化

為替日本円での資産価値資産の増減
1ドル=100円100万円±0円
1ドル=150円150万円+50万円
1ドル=80円80万円-20万円

物価が上昇する要因となる円安の局面において、米ドルは円でみたときの価値が増加します。そのため、円預金だけを保有している場合と比べて、円ベースでの価格上昇の影響を緩和することができます。

NISAで投資信託を買って株・債券に投資するのも有効

NISAを活用するなどして、投資信託を保有するのも有効な対策の一つです。投資信託は、多数の銘柄に分散投資する金融商品です。購入すれば株や債券に投資するのと同じ効果が得られます。

一般に、株式は物価上昇に強い資産の一つです。また、円安は輸出を積極的に行う企業にとって追い風要因であるため、円安時には日本株が上昇しやすくなります。投資信託を通じて株を保有しておけば、円の資産価値の変動の影響を緩和できます。

一方で、株は比較的リスクの高い投資先なので、「景気が悪いときに大きな損失を出すのが怖い」という方もいるでしょう。そんな方は、債券へ投資する投資信託も合わせて保有するのがおすすめです。債券は相対的にリスクが低く、また景気後退時に金利が下がれば価格上昇するため、損失リスクを緩和してくれます。

損失リスクを抑えつつ円の価値変動から資産を守りたいなら、投資信託を購入して株・債券へ分散投資するのが一案です。

不動産へ投資するのも一案

円の価値下落に備えるためには、不動産へ投資するのも一案です。不動産をはじめとした実物資産は、物価上昇時に価格が上がる傾向があります。すなわち、不動産を保有しておけば、円安などによる物価上昇から資産を守ることができます。

また、不動産の価格変化は株と比較しても緩やかなので、「値動き自体が怖い」という方にもおすすめな投資先の一つです。

不動産投資の場合は毎月賃料収入が貯まっていくのが特徴です。空室を抑えて月々の収支を黒字に保てば、長期で保有し続けるほど損失が安定する傾向にあります。

株への投資による損失リスクが怖い方は、不動産投資で価格高騰から資産を守るのも一案です。

インヴァランスでの不動産投資で物価上昇に強い資産を作ろう

グローバルな物価上昇と円安の影響で、日本でも物価の高騰を気にする方が増えています。資産の大半が円預金という方は、ぜひ資産を別の通貨や商品へ分散させましょう。

リスクを抑えつつ物価高騰に備えたい方には、価格の変化が緩やかな不動産投資がおすすめです。なかでもワンルームマンションへの区分投資は、相対的に少ない自己資金で始められて、若い方でも取り組む方が増えています。

インヴァランスでは、都市部の駅に近い好立地で自社開発の高品質なワンルームマンションを多数販売しています。初心者で不安な方も、条件に合った物件の紹介やローンなど購入に向けた手続きについて丁寧に説明しますので、ぜひ一度ご相談ください。

不動産投資を賢く活用して、安定収入が期待できて物価上昇に負けない資産作りを進めましょう。

企画・編集:72編集部

執筆:三上 生人

証券会社、外資系資産運用会社で約14年の勤務経験を持つ金融ライター。
個人投資家として15年以上の資産運用経験を持ち、投資信託、株、ETF、不動産、FX、クラウドファンディングなどへ投資。キャリアを通じた専門性と個人投資家の経験を生かし、金融や不動産投資・経済関連の記事を多数執筆。証券アナリスト、FP3級保有。