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【2025年総まとめ】お金のプロが押さえておきたい「お金・投資ニュース」7選|物価・株・金利の変化を読む

2025年も、いよいよ終わりを迎えようとしています。今年は物価上昇が日常に定着し、株価は史上最高値を更新、金利はついに上昇局面へ——。私たちのお金や投資環境が大きく動いた1年でした。

こうしたニュースをただ眺めるだけでは、資産は守れません。大切なのは、「この出来事が、自分の資産形成や不動産投資にどう関係するのか」を整理して理解することです。

本記事では、不動産投資家の視点から2025年の「お金・投資ニュース」を総ざらいし、2026年を迎える前に押さえておきたいポイントを分かりやすく解説します。

■2025年も続く物価上昇

物価上昇は、2025年もとどまる様子がありません。新型コロナ、ロシアのウクライナ侵攻、円安、地球温暖化など、さまざまな要因から世界的に資源価格や食料価格などが上昇。資源や食料の多くを輸入に頼る日本でも、物価高が進んでいます。

商品やサービスの価格動向を調べる「消費者物価指数」も、価格変動の大きい生鮮食品を除いた「生鮮食品を除く総合」の指数が2022年4月以降、前年同月比で2%以上の上昇が続いています。

2025年は、お米の値上がりがクローズアップされた年でした。お米の価格は2024年前半までは5kgで2000円台前半でしたが、2024年後半から急上昇。2025年には5000円を超えて値上がりしています。

<うるち米(コシヒカリ)5kgの価格推移(東京23区)>

総務省統計局「小売物価統計調査」より(株)Money&You作成

出典:統計局ホームページ「小売物価統計調査」

政府は非常時に備えて保管している備蓄米を放出。安く販売されたことも話題になりました。

物価に合わせて賃金も上昇していればいいのですが、そうでもないのが現状。働くことで得られる給与の額を示す名目賃金は増えているのですが、物価の影響を加味した実質賃金はマイナスが続き、名目賃金ほどは上昇していません。物価上昇に賃金上昇が追いついていないことを表します。

<名目賃金と実質賃金(2022年1月〜2025年9月)>

厚生労働省「毎月勤労統計調査」より(株)Money&You作成

出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査」

物価高は生活に直結するだけに収まってもらいたいものですが、今後も物価が上昇し、実質賃金が上がらない状態が続くと考えられます。

■日経平均5万円・米国も株高

2025年の株式市場は上下の変動が激しい展開でした。1月からの日経平均株価の推移は次のとおりです。

<日経平均株価(2025年1月〜11月14日)>

(株)Money&You作成

2025年1月に米国の大統領に就任したトランプ氏。トランプ大統領の就任後、市場はトランプ大統領の動向に常に関心を持っています。4月には、世界の貿易相手国に対して関税を導入することを発表。「トランプショック」を引き起こし、株価は暴落しました。ただ、その後暴落は長く続かず、5月にはトランプショック前の水準を回復。以後も値上がりが続いています。

10月には日本初の女性総理大臣、高市早苗首相が誕生し「高市トレード」と呼ばれる株高の展開に。日経平均株価は初の5万円台を突破しました。

日本だけでなく、米国のS&P500やダウ平均株価なども史上最高値を更新。さらには金(Gold)、暗号資産のビットコインなども大幅に値上がりしています。コロナショック以降、各国が大規模な金融緩和を続けたことで、世界的に金余りの傾向にあります。金余りの状態では、投資マネーがさまざまな資産に向かいます。

■高市政権の重点投資対象に注目

2025年10月に発足した高市内閣。所信表明演説で高市首相は「「強い経済」をつくることが必要」と発表しました。強い経済を構築するために戦略的に財政出動を行い、所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がり、税率を上げずとも税収を増加させることを目指すとしています。

「強い経済」を具体的に実現するために政府が設置したのが「日本成長戦略本部」です。日本成長戦略本部は、内閣総理大臣が本部長、内閣官房長官と日本成長戦略担当大臣が副本部長、他のすべての国務大臣が本部員となる組織で、今後日本の成長戦略の推進を担うことになります。

11月に開かれた日本成長戦略本部の初会合では、17項目の重点投資対象が示されました。

1)AI・半導体
2)造船
3)量子
4)合成生物学・バイオ
5)航空・宇宙
6)デジタル・サイバーセキュリティ
7)コンテンツ
8)フードテック
9)資源・エネルギー安全保障・GX
10)防災・国土強靱化
11)創薬・先端医療
12)フュージョンエネルギー
13)マテリアル(重要鉱物・部素材)
14)港湾ロジスティクス
15)防衛産業
16)情報通信
17)海洋

17項目の重点投資対象については、それぞれ閣僚が担当大臣となって、省庁を上げて成長戦略を策定することとしています。2026年夏にはそれを取りまとめて「日本成長戦略」を策定する方針です。

投資の格言に「国策に売りなし」というものがあります。国の政策に関連した業種や銘柄は値上がりしやすい(売るべきではない)という意味です。成長戦略の実効性にもよりますが、17項目に関連する銘柄は、国策にしたがって値上がりが期待できる、といえるでしょう。

■金利も上昇、不動産価格も上昇

日本銀行(日銀)は2024年3月、それまで続けてきた「マイナス金利政策」を解除し、2007年以来17年ぶりに利上げを決定しました。その後、2024年7月と2025年1月にも利上げを発表。本稿執筆時点(2025年11月14日)の政策金利は0.5%となっています。今後いつ利上げが行われるかを予想するのは難しいのですが、日本は利上げ局面にあります。

政策金利が上昇すると、普通預金や定期預金といった預金の金利が上がったり、個人向け国債の金利が上がったりします。生命保険の保険料は金利が上がることで安くなる可能性があります。そして、住宅ローン金利は上がります。

住宅ローン金利の上昇は、一般的には不動産価格の下落につながります。住宅ローン金利が上がると、住宅ローンの返済額が増えます。

通常の経済の流れでは、金利が高くなると、住宅ローンを借りて家を買おうとする人が減ります。需要が減るために不動産価格が下がります。

しかし近年は、金利が上がっているのにも関わらず不動産価格が上がっています。

不動産経済研究所「新築分譲マンション市場動向(2025年7月)」によると、首都圏の新築マンションの平均価格は9956万円となっています。

<新築分譲マンションの価格>

不動産経済研究所「新築分譲マンション市場動向(2025年9月)」より
(株)Money&You作成

出典:不動産経済研究所「マンション市場動向」

首都圏平均はいうまでもなく東京23区が引き上げています。東京23区の新築マンションの平均価格は1億3764万円で、他の地域を圧倒しています。日本の人口が減るなかにあって、東京都の人口は今なお増加しています。人気のエリアだけに、価格が高騰しています。東京23区以外の地域の新築マンションも、決して安いとはいえない金額です。

国土交通省「不動産価格指数」の推移(2010年平均=100)を見ると、もっとも値上がりが著しいのはマンションですが、住宅地や戸建て住宅も値上がりしています。

<不動産価格指数>

国土交通省「不動産価格指数」より

出典:国土交通省「建設業・不動産業:不動産価格指数」

都心などの人口集中エリアでは特に、不動産価格は上昇が続いていることがわかります。資材不足や材料費高騰などで供給が少なくなっていることも、住宅価格上昇に拍車をかけています。

■年収の壁引き上げ

2024年から大きな話題になった「年収の壁」問題。年収の壁を超えると税金や社会保険料がかかり手取りが減ることから、パート・アルバイトで働く人のなかには年収の壁を超えないように働き控えをする人が多くいます。これが労働力不足や女性の社会進出の課題となってきたのです。しかし2025年、この年収の壁が動きました。

2025年からの年収の壁は、次のようになっています。

【2025年からの年収の壁】
・100万円の壁→110万円の壁…(超えると住民税がかかる)
・103万円の壁→160万円の壁…(超えると所得税がかかる)
・103万円の壁→150万円の壁…(被扶養者が超えると扶養控除から外れる)
・106万円の壁→実質的に残る…(超えると条件を満たす人は社会保険に自身で加入)
・130万円の壁→130万円の壁…(超えると扶養から外れ、社会保険に自身で加入)
・150万円の壁→160万円の壁…(超えると配偶者特別控除の控除額が減りはじめる)

「税法上の壁」である所得税の壁や住民税の壁の金額が引き上げられたことで、手取りの増加につながります。特に、所得税の壁は「160万円」になったうえ、社会保険料を支払うことで受けられる「社会保険料控除」の影響もあるので、年収が160万円を超えてもすぐに所得税がかかり始めるわけではありません。扶養控除が受けられる年収の壁も引き上げられ、大学生年代が働くことで扶養者の手取りが減ることを防ぐ「特定親族特別控除」も新設されるなど、配慮されています。

しかし、社会保険料がかかり始める106万円の壁は実質的に残り、130万円の壁も変更ありません。年収が社会保険上の壁を超えると多額の社会保険料がかかるため、今の手取りを増やしたいと考える人のなかには、仕事をセーブしようと思う人もいるかもしれません。

ただ、社会保険料を自分で納めることで、老後の年金が増えたり、傷病手当金や出産手当金がもらえたりするため、悪いことばかりではありません。今後も最低賃金(時給)が上がっていくなかで、壁を超えないようにしていると、働く時間が少なくなってしまいますし、物価上昇にも対応できません。ですから、事情が許すのであれば壁を超えて働くようにするのがよいでしょう。

■ふるさと納税ポータルサイトからのポイント付与終了

ふるさと納税は、自分の好きな自治体に寄付することで、実質2000円の自己負担で各地の特産品など(返礼品)がもらえる制度です。

これまで、ふるさと納税ポータルサイトでふるさと納税をすると、各社のポイント還元を得ることができました。しかし、総務省は2024年6月、ふるさと納税ポータルサイトからのポイント還元を廃止することを発表。この発表どおり、ふるさと納税ポータルサイトからのポイント還元は2025年9月末で終了しました。

総務省は、ふるさと納税ポータルサイト各社のポイント競争の過熱がふるさと納税の本来の趣旨(好きな自治体を応援すること)から逸脱していると考えています。また、ポイント付与にかかる費用が自治体の財政負担になっているとも指摘しています。こうした状態を是正するために、ふるさと納税ポータルサイト各社のポイント付与を禁止したのです。

なお、ふるさと納税をクレジットカードなどで行った場合にクレジットカード会社から付与されるポイントは引き続き付与されます。

2025年9月末には、ポイントを手に入れるためのふるさと納税の駆け込みが相次ぎました。10月以降はふるさと納税ポータルサイトからのポイントはもらえなくなっていますが、ふるさと納税の返礼品が実質2000円で手に入るメリットは変わりません。今後もふるさと納税をするのがおすすめです。

以上、2025年のお金・投資に関わるニュースを6つ紹介してきました。2026年もまた、お金・投資のニュースがたくさん出てくるでしょう。ぜひ今後のお金・投資のニュースにも注目していきましょう。

頼藤 太希(よりふじ・たいき)
経済評論家・マネーコンサルタント

Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。ファイナンシャルプランナー三田会代表。慶應義塾大学経済学部卒業後、アフラックにて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に現会社を創業し現職へ。
日テレ「カズレーザーと学ぶ。」、フジテレビ「サン!シャイン」、BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)など書籍110冊超、累計190万部。
日本年金学会会員。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。宅地建物取引士。日本アクチュアリー会研究会員。

X→ @yorifujitaiki

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