1. HOME
  2. プロが教える不動産投資
  3. ますます進む資産格差問題と不動産投資【プロが教える不動産投資コラム】

ますます進む資産格差問題と不動産投資【プロが教える不動産投資コラム】

岸田総理は賃金水準の上昇を推進し大企業などを中心に一定の効果が出てきています。さらに中小企業においても賃金アップが浸透する事が期待されます。

一方で大きな資産を所有している方と資産が少ない方との資産格差もますます進んでいます。こうした資産格差の状況と不動産投資について考えてみたいと思います。

給与所得者の増加と二極化

国税庁が発表した「令和4年 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者は2022年には約5,077万6千人となり、2018年と比較して約312万7千人増加しました。その理由として昔と違い専業主婦の方の割合が減っている事も考えられます。

この中で年収500万円超の方は約215万6千人増加しており、さらに1,000万円超の方は約40万人増加しています。

一方で100万円以下の方が約4万7千人増加するなど、給与所得者全体が増加する中で給与水準には二極化の傾向が見られてきています。

給与階級別給与所得者数

2018年分2020年分増加人数
100万円以下3,9383,98547
100万円超 200万円以下6,5156,433-82
200万円超 300万円以下7,1187,17961
300万円超 400万円以下8,1818,395214
400万円超 500万円以下7,0577,789732
500万円超 600万円以下4,9015,511610
600万円超 700万円以下3,1823,504322
700万円超 800万円以下2,1112,437326
800万円超 900万円以下1,4021,675273
900万円超 1,000万円以下8911,116225
1,000万円超 1,500万円以下1,7432,019276
1,500万円超 2,000万円以下36943162
2,000万円超 2,500万円以下11013121
2,500万円超12917041
合計47,64950,7763,127
500万円超 合計14,83816,9942,156
1,000万円超 合計2,3512,751400
<国税庁「令和4年 民間給与実態統計調査」>

※(単位:千人)

給与水準は上昇するも実質給与は減少に

給与水準は上昇していますが、インフレも続いており、給与の上昇幅よりも物価上昇幅の方が大きく、実質給与は減少となっています。

厚生労働省が発表した8月の実質賃金は、労働者1人当たり平均で1.1%増となりましたが、8月の消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は3.7%上昇するなど給与の上昇率を上回り、実質賃金は2.5%のマイナスとなりました。

2023年10月から新たな最低賃金が適用を開始し、全体的な水準を示す全国加重平均は初めて1,000円を超えました。最も高い東京(1113円)をはじめ、神奈川、大阪、埼玉、愛知、千葉、京都、兵庫の8都府県が1千円を超えており、大都市圏ほど給与水準が高い事が分かります。

金融資産の保有状況は

こうした中で資産格差が進んできています。世代別の金融資産の保有状況を見てみましょう。

金融広報中央委員会の資料を見て見ると、金融資産を保有していない割合は20歳代で40.6%、30歳代では26.7%となっていますが、単身世帯では20歳代で42.1%、30歳代で32.4%と割合が高く、さらに40歳では35.8%、50歳代では39.6%と4割近い方が金融資産を保有していないという結果となっています。

インフレや高齢化社会が進む中で、将来への備えがますます重要となってきていると言えます。

金融資産保有状況(総・単身世帯・金融資産を保有していない世帯を含む)

保有している
(総世帯)
保有していない
(総世帯)
保有していない
(単身世帯)
全国73.1%26.9%34.5%
20歳代59.4%40.6%42.1%
30歳代73.3%26.7%32.4%
40歳代71.6%28.4%35.8%
50歳代71.6%28.4%39.6%
60歳代76.9%23.1%28.5%
70歳代78.2%21.8%28.3%
<金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」>

若い世代の資産が少ない

年代別に金融資産の保有額が見ると、20歳代では平均で185万円ですが、中央値ではわずか20万円となっており、若い世代の所有資産が少ない事が分かります。

また30歳代では平均が515万円に対して中央値が150万円となっています。平均値が高く中央値が低いという事は一部の方に多くの資産が集中している状況となっている事が考えられます。

また全国では口座を保有していない世帯は5.5%、口座を所有していても残高がないという方は30.2%にもなります。

金融資産保有額(総世帯・金融資産を保有していない世帯を含む)

平均中央値
全国1,150万円280万円
20歳代185万円20万円
30歳代515万円150万円
40歳代785万円200万円
50歳代1,199万円260万円
60歳代1,689万円552万円
70歳代1,755万円650万円
<金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯調査]」>

富裕層の世帯が増加

一方で、富裕層も増加しています。

野村総合研究所が2023年に発表した資料によると、世帯資産が1億円以上の世帯は148.5万世帯で近年増加傾向にあります。また金融資産保有額5億円以上の「超富裕層」は9万世帯であるそうです。富裕層の世帯と金融資産は増加しており2005年以来最多となったという事です。資産1億円以上の富裕層は2005年の86.5万世帯から62万世帯も増加しています。

また20歳代や30代代の資産状況を見ても、1000万円以上の金融資産がある割合は2.7%ですが、30代になると15.4%に増えます。

資産の大きい富裕層が増加しているだけでなく、着実に資産を作っている若い層も多い事が分かります。

20~30歳代の資産1000万円以上の割合

金融資産保有額1,000~
1,500万円
1,500~
2,000万円
2,000~
3,000万円
3,000万円合計
20歳代1.4%0.3%0.3%0.7%2.7%
30歳代6.0%3.6%3.4%2.4%15.4%
<金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯調査]」>

給与所得にも時代間格差がある

同じ年収1,000万円でも時代によってその価値も異なってきます。

現在と20年前と比べると、例えば年収1000万円、単身の場合などは20年前と比べて大きく手取りが減っています。その理由としては、税・社会保険料など天引きされる額が増えているからです。また高所得者の単身世帯の税負担が高い事も要因です。

国民負担率の推移を見ると20年前の2003年には税負担率20.5%、社会保障負担13.6%で合計34.1%でしたが、2023年には税負担28.1%、社会保障負担18.7%で合計46.8%にまで上昇しています。

さらにインフレで実質給与の減少傾向にあります。消費税は2003年には5%でしたが現在は10%であり、すべての物の価格が5%上昇しています。消費者物価指数を見ても2023年には大きく上昇してきており、実質的給与上昇率はマイナスとなっています。

このように同じ年収でも昔と比べて実質的にはその価値が少なくなってきており、時代間格差が存在していると言えます。

国民負担率の推移

租税負担社会保障負担合計
2003年20.5%13.6%34.1%
2023年28.1%18.7%46.8%
<財務省「国民負担率の推移(対国民所得比)」より作成>

将来のための資産形成の方法は

このような資産格差が進む中で、将来の備えに対する行動も重要となってきています。

将来のための資産運用の一つとして「不動産投資」が注目されています。マンション投資は自己資金が少なくても始める事ができ、月々少ない負担で始める事ができます。特に「貯蓄が苦手」、「資産が少ない」という若い方にも向いた資産形成法と言えます。

借入を利用する事で金額の大きい投資を行う事ができますので、ローン返済終了後には収益不動産が自分の資産として手に入ります。資産運用向けマンションという収益物件のため毎月の家賃収入によって資産形成ができますので、自動的に資産が形成できる事になります。

但し長期に渡って運用しますので、長期的に見て資産の落ちづらいマンションを選ぶ事が重要となります。立地・建物のクオリティ・交通利便性・生活利便性やさらに将来を見越してその街がどう変わるかを見越した、長期的な視野を持って投資をする事が重要となってきます。

関連記事