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どうなる? 2024年の経済・不動産市場の展望〈その2 不動産投資市場編〉【プロが教える不動産投資コラム】

株式市場の日経平均では年明けの1月10日に3万3,400円台と1990年3月以来の高値となり話題になりました。2024年には新型NISAも始まり「貯蓄から投資へ」という政府の後押しも本格化します。一方インフレや年金不安などの台頭から「不動産投資」への関心も高まってきています。2024年の不動産投資市場について展望してみたいと思います。

金利は金融緩和が継続か

金利動向につきましては気になる方も多いと思いますが、昨年は長期金利市場に変化の兆しが見られました。

今後の金融市場においては企業収益の増加、賃金の上昇などからマイナス金利が解除され、短期金利が上昇しその先に住宅ローン(投資系ローンを含む)の上昇などが巷間ささやかれていますが、筆者は金利の上昇についてはさほど悲観的に見ておりません。

例えば1980年代は住宅ローンや投資系ローンを貸し出す金融機関の数は少なかったですが、現在は多くの金融機関が業界に名乗りを上げています。

また元々金融業ではなかった企業が乗り出すケースも散見されます。

一つの例で言うと、居住用の住宅ローンですが<auじぶん銀行>などもともと通信を主体とする企業が金融業界に参画していますが、住宅ローンの顧客を増やす事によりモバイル・電気・ガスなどを通じて広く収益を上げられる構造となっています。

さらに参画するプレーヤーも多くなりつつある時代であり、そこに金利の競争原理が働く事になります。つまり短期金利が上昇してもそこに上乗せする金利はさほど高くならないと考えます。

2024年問題を迎える建設業界

今年の建設費においては多少の円高が進んだとしても高い水準で推移すると考えられます。その大きな要素として国が発注する公共事業における人件費や資材高騰も加味し総額もかなり増える見込みです。

国土交通省が2023年12月に発表した「建設工事費デフレーター」によるとマンションなどの建築費は2015年以降も上昇が続いてきましたが、2024年以降も上昇が続くと予想されます。

この背景には建築現場の人手不足と高齢化が進むと考えられるからです。さらに建設業界の「時間外労働の上限規制」の猶予期間が終了し今年4月から規制が適用となる「2024年問題」があります。

また2024年初頭の能登半島地震により多くのインフラ・建物などが損傷し、こうした復旧による建築需要も今後高まる事も予想されます。

こうした事から建設費の上昇は今年も続くと予想されます。

どうなる今後のマンション価格

同じマンションでも居住用のファミリーマンションの価格は昨年かなり上昇しましたが、投資用のワンルームマンションなどは比較的穏やかな上昇傾向となりました。

この理由としては投資用のマンションは利回りを確保する必要がありますので、建築費や地価などの上昇分の多くの部分を価格に転嫁する事はできないと考えられます。価格が上昇すると同じ家賃なら利回りが低下しキャッシュフローも悪くなりますので、利回りを確保するために立地の遠隔化が進む事も予想されます。

ただし都心周辺部でも都心にアクセスしやすいエリアのマンション用地は限定的であり、ホテル・商業施設・オフィスビルなどとも競合するケースがあります。都心への利便性の良い立地のマンションの資産価値はますます上昇する可能性があると考えられます。

2024年のマンション価格、建築費の上昇とともに地価の上昇も予想され、さらに賃金アップによる家賃上昇も加味されゆるやかな上昇が予想されます。

上昇するマンションのクオリティ、「スマートホーム」も普及か

マンション業界においてはクオリティが年々上昇しています。

近年ではZEH(ゼッチ)マンションなども普及し始めていますが、今年はスペック構造においてさらに進化すると考えられます。

お手持ちのスマホなどで部屋の照明やテレビなどの電気設備を始め、セキュリティや様々なサービスなどを操作・自動化したりできる「スマートホーム」もワンルームマンションに普及し始めています。こうした最新の設備を持ったマンションは利便性が高く、生活クオリティを底上げする事からこれからも注目が集まっていくと考えられます。

総務省の発表した「情報通信白書(令和5年版)」によると、「スマート家電」を所有する世帯の割合は2021年にわずか9.3%と少ないですが、増加傾向にあり今後さらに普及する可能性があります。こうしたマンションは従来のマンションと差別化しやすく、人気、資産価値ともに高くなると考えられます。

また年頭に発生した能登半島地震により、地震に対する関心も高まっています。耐震性の高い安全な住宅がますます重要となってくるのではないでしょうか。

家賃保証制度が進むか

少子高齢化の時代を迎え特に若い世代の人口減・働き手不足が大きな問題点となっています。

それらを解消するための即効性に配慮した政策として、海外からの留学生や働き手による人材の確保が大切な時代となりますが、海外の留学生や来日する人にとって賃貸入居に当たりその保証が足かせとなっていました。

しかし大手の金融会社、例えばクレディセゾンなどは外国人の家賃保証に乗り出すと表明しており、今後これらに追従する金融機関も今年は増えるのではないでしょうか。

現在でも高齢者の方などにも家賃制度を利用するケースも多くなっており、保証人が不要な事から賃借人の負担も軽減されます。

賃料も安定して受け取る事ができますので、賃貸経営のリスクが軽減し安定した賃料収入を得る事ができます。

低金利の継続で不動産市場には恩恵に

2024年は経済全体から見ると安定的な成長軌道に乗り、会社員の方の賃金の上昇が予想されるなど明るい兆しもありますが、本格的なインフレ時代へ向けて改めて資産運用に関心が高まる年となると考えられます。

金融市場の行方も気になる所ですが、都市部などで進む大規模な再開発の後押しもあり不動産投資市場における環境はさらに高まる年になるのではないでしょうか。

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