大谷翔平「50―50」達成で動く“お金”の流れは? 記念カードの売上11億円超&HRボール1.7億円超に騒然
ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手は、9月19日(日本時間20日)にメジャーリーグ史上初の「50本塁打&50盗塁(50―50)」を達成しました。
9月29日(日本時間30日)には今季レギュラーシーズン最終戦となるロッキーズ戦に1番DH(指名打者)で出場し、50―50からさらに記録を伸ばして「54本塁打&59盗塁(54―59)」を達成。130打点で2年連続キング&日本人初の二冠&打率3割以上で日本人初のトリプルスリーを達成し、全日程を終了しました。
これらの歴史的快挙はスポーツ界だけでなく、ビジネスや投資の世界でも大きな話題を呼んでいます。50号ホームランボールや記念の限定カード、さらにはチャリティ活動まで、さまざまな形で大金が動いているからです。
本記事では、大谷選手の今回の功績を資産形成という視点から掘り下げ、私たちが学ぶべきポイントを紹介します。
11.1億円!限定カードの爆発的な売上
まず驚くべきは、「50―50」達成の限定カードの売上額です。
現地メディアによると、スポーツやエンターテインメントの記念すべき瞬間を商品化しているアメリカのトレーディングカードメーカー・Topps社が24時間限定で予約発売する「Topps Now」の発行枚数が同社の最高記録を達したとのこと。大谷選手の「50―50」到達シーンをカード化したところ、なんと65万3737枚が販売され、たった1日で780万ドル(約11億1000万円※)もの売上をもたらしたのです。
※1ドル142.41円(9月30日2時時点のレート)で換算した場合。以下同様
これは、パリオリンピックの男子バスケットボールで金メダルを獲得した3名のアメリカ代表選手(ステファン・カリー氏、レブロン・ジェームス氏、ケビン・デュラント氏)が1枚に映ったカードの販売数58万8030枚、売上700万ドルを抜き、Topps社の最高記録を更新しました。
同社は大谷選手が「40―40」に到達した際にも記念カードを出しており、15万6658枚を販売しましたが、今回は桁違いです。カードの印刷代や配送料、ライセンス料やサイン料を差し引いても、短期間で莫大な収益を得たことになります。
アメリカのスポーツトレーディングカード専門サイト「Sports Collectors Daily」のリッチ・ミュエラー氏は、同カードの販売価格が通常のTops Nowカードよりも3ドル高い1枚11.99ドルに設定されていたことに驚き、かつ「もしも大谷選手のサインカードを引き当てた場合、10万ドル(約1400万円)の価値があるだろう」とも言及しました。
Topps社は9月28日(日本時間29日)に、大谷選手が50―50を記録した試合で着用していたユニホームパンツのMLBロゴマンパッチが入った限定カードも発売すると発表。ファンからはすでに「欲しい!」「これは買わないと!」といった期待の声が上がっており、こちらの売上の行方にも注目です。
50号HRボールは4億円超なるか?
大谷選手が「50―50」を決めたホームランボールは、9月27日(日本時間28日)から「ゴールディン・オークションズ」にて競売にかけられており、最初の設定価格は50万ドル(約7120万円)からスタート。開始たった約8時間で100万ドルに達した後、日本のファッション通販サイト「ロコンド」を運営するジェイドグループのCEO・田中裕輔氏が105万ドルで入札し、「最終的に大谷選手の希望に沿いたい」というXでのポストが話題に。その後さらに値段が上がり、29日(日本時間30日)時点で最高入札額は田中氏の120万ドル(約1億7000万円)となっています。
なお、ドジャース側がこのホームランボールを拾ったとされる男性ファンに買い取り交渉した当初の金額は30万ドル(約4270万円)でした。ファンはこの提案に応じずオークションに出品。一連の入札額の高騰を見て、米SNSでは嘲笑の声が上がっています。
この“お宝ボール”を巡るオークションは10月16日(日本時間17日)までの予定で、即決価格は450万ドル(約6億4000万円)。野球ボールの最高額は、1998年にセントルイス・カージナルスのマーク・マグワイア選手が放ったMLB記録となる70号本塁打ボールにつけられた305万ドル(約4億3000万円/当時のレートでは3億5000万円)で、これを更新するかどうかも注目ポイントとなるでしょう。国際情報誌フォーサイト元編集長で大リーグに詳しい堤伸輔氏は、「大谷選手の50―50は270万ドルを超える価値があると思う。今のレートなら4億円いってもおかしくない」と私見を述べています。
ただし、今回の50号HRボールは所有権をめぐってフロリダの裁判所に訴訟する騒ぎにもなっています。激しい争奪戦の末にボールをゲットした男性ファンがオークションに出品しましたが、18歳の少年ら複数のグループが「自分がキャッチしたのに混乱の中で不正に奪われた」と主張。裁判所は10月10日の審理より前にボールを売却することを認めていません。
野球の歴史と人々の記憶に残る“お宝ボール”である一方、落札されればより複雑な事態に陥る可能性もあるようです。
資産形成において重要な「稼ぐ力」
大谷選手の「50―50」達成を受け、ドジャース基金は9月20日(日本時間21日)に本拠地で行われたロッキーズ戦での「50/50 Raffle」の収益を、日系米国人の文化遺産保護を目指す団体「イーストサン・ガブリエルバレー・日系コミュニティーセンター」に寄付することを発表。ファンからは称賛の声が挙がっています。
「50/50 Raffle」とは、アメリカのスタジアムで多く見られるくじ引きです。この日の全購入額は4万6690ドルで、そのうち半分が当選者に、残り半分の2万3345ドル(約332万円)が同センターに贈られるようです。
また、大谷選手とスポンサー契約を結ぶ企業からは、Xで祝福ポストが相次ぎました。
野球用具の提供などを行う「ニューバランス」は、大谷選手が「50/50クラブ」の初めてのメンバーとなる演出のお祝いムービーを投稿。グローバルアンバサダー契約を結んでいる「伊藤園」は、公式キャラクター・お〜いお茶くんのXアカウントにて「史上初!大谷翔平さん 50本塁打50盗塁 #お~いオオタニサン、前人未到の快挙達成おめでとうございます!」とお祝いの言葉を送りました。
その他、サポート契約を結んでいる日本航空(JAL)、大谷選手をブランドアンバサダーに起用している語学教室のECC、寝具の西川や三菱UFJ銀行などもお祝いのメッセージを綴っています。
スポーツ選手の収入は試合での活躍だけでなく、こうしたスポンサーシップ契約も大きな割合を占めています。今年の5月にはアメリカの経済誌「フォーブス」が、大谷選手がスポンサーなどから得る副収入が本業の約2.3倍に相当する6000万ドル(約85億4400万円)に達したことを報じていました。今回の「50―50」達成に伴って彼のブランド価値はさらに高まり、今後のスポンサー契約料の増加も見込まれるでしょう。
このような「稼ぐ力」は、もちろん大谷選手ほどの大金を稼ぐことはできないものの、私たちの資産形成においても重要な要素です。お金を稼ぎ、稼いだお金をどう使うか、どこに投資するかが、長期的な資産形成の成功を左右します。不動産や株式、ビジネスなど投資対象を分散することで、リスクを抑えつつ着実に資産を増やしていくことが可能です。
大谷選手の活躍やその経済への影響からヒントを見つけ、将来に向けて賢い資産運用を考えることが、より豊かな人生への第一歩となるでしょう。
ちなみに、50―50を達成した「9月19日」は大谷選手と何かと縁のある日付です。12年前の同日は、花巻東高等学校時代の彼が「世界一の選手に」と決意を込めてプロ志望届を提出し、所属連盟がそれを受け付けた日。さらに、昨年の同日は大谷選手が二度目の右肘手術を受けた日でもありました。
来年の9月19日はいったい何が起こるのか? を含め、大谷選手の活躍からは今後も目が離せませんね。