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不動産投資のリスクに備える【プロが教える不動産投資コラム】

これから不動産投資を始める方は、すべての投資・資産運用について言える事ですが、リターンだけでなく、リスクについてあらかじめ認識と対応策を持つ事がとても大切です。 マンション経営にもいくつかのリスクがあります。それらについて見てみましょう。

空室リスクとは

マンション投資の最も大きいリスクの一つとして「空室リスク」が挙げられます。

そもそも現在日本には830万戸の空き家がありますがマンションもその例外ではありません。例えば「都心から遠すぎる」「駅から遠すぎる」とか、さらに周辺の人口が急激に減り「駅前がシャッター通りになった」などのエリアでは税収減など自治体の財政の悪化に伴い住民サービスのクオリティが低下し、住みやすさも低下する訳です。

そこで売却を試みたり新たに賃貸募集をしたり、それでも買い手や借り手が見つからない、その結果空き家になってしまう、という構図もある訳です。

その点東京を中心とする首都圏の、都心にアクセスしやすく駅から10分圏内などの利便性が高く好立地のワンルームマンションは空室になりづらいと言えます。

家賃の下落リスク

また家賃の下落リスクというものもあります。

例えば同じような時期に建設されたAというマンションとBというマンションがあるとします。最寄り駅も一緒で駅からの所要時間も同じ徒歩8分とします。

新築の時はさほど差が出ませんが10年後、20年後、Aというマンションは長期修繕計画に沿って定期的な建物管理が行われ、大規模修繕工事計画などもしっかり実施されており建物の劣化のスピードが遅い、逆にBのマンションは管理費が安い代わりに建物管理がおろそかになり、見た目も雰囲気もよくありません。

こうした管理状態や住環境により資産価値にも差がつくケースがあります。

つまりいくら好立地のマンションでも建物管理のクオリティが低い物件は時間の経過と共に家賃が下がりやすい傾向となる訳です。

入居率の違い

それに加えてキーワードとして「入居率」が挙げられます。家賃が同じ8万円のマンションでもAというマンションは入居率が98%、Bというマンションは入居率が70%、どちらのマンションが将来家賃が落ちやすいでしょうか。これはもう明白です。

空き部屋が多い程家賃は値下げ競争という負のスパイラルに陥りやすくなる訳です。

利回りや家賃の高さだけでなく、賃貸需要や入居率を見極める必要があります。

金利上昇リスク

ローンを組んでワンルームマンションを購入する際は、金利の変動が大きな影響を与えます。現在は史上最低と言われる金利水準となっています。低金利であれば毎月の返済額も低くなりますのでキャッシュフローも良くなります。

現在はアベノミク・スガノミクス以来の金融緩和政策に加え、新型コロナによる景気の落ち込み対策として低金利政策が持続されており、今後もしばらくの間は低金利が持続されると考えられます。

但し将来的に金利は景気の回復状況によっては上昇する可能性もあります。金利上昇に備えるためには、金利上昇時に繰り上げ返済をするための手元流動性をある程度高めておく事も有効です。

またたとえすぐには金利が上昇しないにしても、返済計画に余裕を持つ事も重要となります。

資産価値変動リスク

ワンルームマンションを購入しても将来価格が下がってしまうという「資産価値下落リスク」を気にする方もいらっしゃいます。資産価値が落ちるという事は、収益還元法で考えると賃料が下落し売却価格が下落するという事にもなります。

収益不動産は長く所有する程、収益が多くなり、ローンの元金返済も進みます。その結果マンション売却時の損益分岐点は長期で保有する程下がる傾向となりますので、安定した投資計画を立てて長期的な不動産経営を行う事が重要となります。

またキャッシュフローが単年で赤字となったとしても、長期的に見ると黒字になるケースも多いので、安易に売却しないで長期的な視点から不動産投資を考える事も大切です。

気候変動リスクと土地のクオリティ

近年では新しい投資のリスクとして気候変動リスクが挙げられます。世界共通の大きな問題点として二酸化炭素の問題があります。多くの二酸化炭素を排出する事により世界の気温が上昇し、海面も上昇し私達が経験した事がないような大雨、台風、大きな災害がもはや常態化しつつあります。

最近では傾斜地における大規模土砂災害や河川の氾濫により財産である自宅が流されたりと様々な現象が起きています。

それらの現象にともない、火災保険料や地震保険料、建物の水害の保険料などの保険料も上昇傾向となっています。

土地は歴史的に水害を繰り返す場所や、長く水害などがなく安定している場所があります。現代は治水技術の進歩により、こうしたリスクは大きく改善してきました。一つの例として歴史的に氾濫を繰り返してきた荒川は、堤防や放水路などの整備により都内ではほとんど水害が発生しなくなりました。

埋め立て技術も進歩し、埋立地の地盤も非常に強くなり、旧来の土地より安全になる現象も起きています。

また過去においては阪神淡路大震災、東北大震災などの大きな地震もありましたが、これから不動産投資をする方は長期に渡って自然災害につよい強度の建物、クオリティの高い建物管理を有する物件を購入する事も大切です。

安心できる土地のクオリティとは

不動産投資には「安定した土地」に「安定した建物」を購入する事が重要となります。建物については安全性も高い水準となり、日本全国ほぼどこでも安定していると言えます。そのため、「建物のクオリティ」に加え「土地のクオリティ」に視点を向ける事が大切です。

土地のクオリティとは大きく分けると

  1. 土壌汚染がない、または安全に除去されている
  2. 液状化のリスクが低い
  3. 安定した地盤、また安定した地盤まで杭が届いている
  4. 水害に強い立地

などが挙げられます。

歴史的に安定したエリアには古くからの寺社や史跡など古くからの歴史が存在している事も多いので、目安になります。

また、例えば渋谷駅周辺など、昔は水害が多くても、現在は地下の巨大な貯水タンクが新設され安全性が大きく向上するなど、安全性が向上しているエリアも多くあります。

このようにこれから不動産投資をする方は、様々なリスクがある事を認識しつつ長期に渡って資産価値が落ちづらいマンションを選択する事が大切です。

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