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新時代のマネーリテラシー 森井先生と「税」を学ぼう#4 【金融所得編】

毎回ゲスト講師をお招きして、お金についてもっと「考える、きっかけ」を配信している72channel。

今回の講師は税理士業務、企業コンサル・監査を務める傍ら、お金にまつわる執筆や子育て論などのTVコメンテーターとしても活躍中の森井じゅん先生。稼ぐためには投資も大切ですが、出ていくお金を「守る」ために、私たちの生活からは切っても切れない「税金」について、様々な角度から教えていただきます。

第4回目は・・・「金融所得」編です。 前回は「所得」自体に何種類もあることを教えてもらいました。

#4ではその中でも金融所得にスポットを当て、かかってくる税金や注意するポイントなどを学んでいきます!

金融所得は税率が低い!?

前回は所得にもいろんな種類があることを教えてくれた森井先生。今回はその中のひとつである「金融所得」について、お話してくれました。

「投資で得たお金、いわゆる『金融所得』の課税の仕組みは給与に対する課税とちょっと違っています。株で儲けました、投資信託で儲けました、となった時には億万長者であっても低所得者であってもにかかる税金は、一律で約20%なんです。」

金融所得は、累進課税ではないということですね。これは、まったく知らない事実でした。

「ただ最近熱い話題になっている、仮想通貨がありますね。これは実は金融所得ではありません。累進課税の仕組みに当てはめて、儲けた人はその分大きな税金を払う可能性がありますので、気をつけましょう。」

えっ!そうなんですね。

仮想通貨も投資と考えると、金融所得な気がしてしまいますが違うということですか。これから仮想通貨の投資を始めようと思っている人は、かなり大事なことなので知っておくと良いでしょう。

仮想通貨を始める時に陥りがちな罠。

仮想通貨で得た利益は金融所得ではないという話がありました。では、仮想通貨を運用する際には、どのように税金が発生するのでしょうか。森井先生は言います。

「仮想通貨は、購入したときには税金がかかりません。その代わり、現金に戻したりとか売ったりした時に儲けが出ていた場合、そこに対して税金がかかる仕組みになっています。気をつけなければいけないのは、仮想通貨でお買い物をする場合。一度仮想通貨を売って現金に変えてから買った扱いになるので、税金がかかる可能性があるので注意しましょう。」

最近では、ビットコインなどで買い物ができるサイトが増えています。けれど、買い物をした場合にも税金がかかる可能性があることを知らずに使い続けたら大変なことになりそうですね。

今知っておいてよかった情報です。

「もう一つ気をつけてほしいことがあります。例えばある一年のなかでビットコインを買ったとします。その保持しているビットコインを売って現金化、そのお金でまた同じ額のビットコインを買ったとしても、売却時に利益が出ていた場合は税金が発生することになります。その後ビットコインを保持しつづけて価値が下がってしまった場合でも、そのまま翌年納税はしなければいけません。ずっと塩漬けしていれば税金はかかりませんが、一度利益を確定してしまうと税金も確定してしまうのでどうにもならず、破産する人も出てくる恐れがあります。仮想通貨を始めている人、これから始めようと思っている人は、税金がどうなるかと考えて行動してほしいですね。」

仮想通貨は、利益が出た時点で税金が発生する。これを覚えておいて、現金化するタイミングもしっかり見計らっていかなければ、値上がり値下がりが激しいがゆえに、税金で破産してしまう恐れがありそうですね。気をつけましょう。

株価が上がっても国が豊かにならない理由。

「例えば月給が30万円だとすると、社会保険はだいたい5万円くらいですよね。ですが月給以外に株や投資で1億円の金融所得があったとしても社会保険は一緒なんです。金融所得には社会保険は入らない。となると、たとえば1億円を給与で受け取るよりも金融所得で受け取ったほうが、社会保険の面でも税金の面でも全てにおいて得という話になってしまいます。」

金融所得と給与所得の税制の仕組みの違いですね。続けて森井先生は、今の日本の経済に起きている問題について話をしてくれました。

「経済には2種類あって、まずはモノやサービスを生産して誰かが消費する、需要と供給で成り立つ実体経済。もう一つに株の取引や投資信託など『お金を転がす』などと言われますが、金融経済というものがあります。今株価は上がっているけれど、生活は豊かにならないと言われているのは、金融経済ばかりでお金が回っていて、実体経済ではお金が回っていないからなんですね。そうなってしまう原因に、税金の仕組みが関係しているんです。」

確かに、日経平均が3万円を突破した!なんてニュースを見ても、どう見ても不景気でボーナスも増えない。どういうことだと感じているところでした。

「実体経済をストップさせるのは、消費税だったり、社会保険料だったり。みんなの使えるお金を減らすものは大きな原因ですね。逆に金融経済に対しては政府も株価を上げるために惜しみなくお金を投入し、税制も有利なため投資家のお金も流れる。どんどん金融経済にお金が流れているんです。そして金融経済で得たお金って、実体経済に使われることがあまりない。貯蓄から投資へ!と金融に有利な政策を近年の政府は行ってきましたが、これ以上金融経済を有利にしてどうするんだろう。実体経済を回す税金の仕組みに変えていくことをしなければ、国は豊かにならないんです。」

確かに、投資で得たお金はまた当たり前のように投資に回されていきます。

大きなお金が金融市場にあったままでは、私たちの暮らしは豊かにならないのですね。その問題を引き起こすのも、解決する可能性があるのもまた税金。

これからの時代を生きていく私たちは、やはりもっと税金のことを知らねばならないと改めて感じました。

今回は、金融所得のお話から、国が抱える課題にまで切り込んで話をしてもらいました。

金融経済と実体経済。株価が豊かさに直結しないのはなぜなのかの疑問が明らかになりました。森井先生の税金の話は、さらに広がりを見せていきます。次回にも期待しましょう。

森井じゅん プロフィール

公認会計士/税理士/ファイナンシャルプランナー。
高校中退後に、大検取得・留学・出産を経て一念発起。シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。
現在、森井会計事務所代表として税理士業務、企業コンサル・監査を務める傍ら、お金にまつわる執筆や子育て論などのTVコメンテーターとしても活躍中。

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