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新時代のマネーリテラシー 森井先生と「税」を学ぼう#6 【税についてもう一度考えよう編】

毎回ゲスト講師をお招きして、お金についてもっと「考える、きっかけ」を配信している72channel。

今回の講師は税理士業務、企業コンサル・監査を務める傍ら、お金にまつわる執筆や子育て論などのTVコメンテーターとしても活躍中の森井じゅん先生。稼ぐためには投資も大切ですが、出ていくお金を「守る」ために、私たちの生活からは切っても切れない「税金」について、様々な角度から教えていただきます。

第6回目は・・・「『税』についてもう一度考えよう」編です。

本編はこれまで色々な切り口で習ってきた税金に対して、改めて考え方を学べるお話です。以前のものをまだ見ていない人も、動画の最後に総集編のまとめもついていますので、是非ご覧ください!

消費税が導入された理由を知っていますか。

今回は森井先生からの質問からはじまりました。

「消費税がなぜ導入されたか知っていますか?」

なんとなく、社会的なことに使われる、公共のことに使われる。そのための資金が足りなかったから?などとイメージをしますが、そうではないと森井先生は言います。

「消費税がなぜ必要なのか。実は、時代によってどんどんストーリーが変わっているんです。もともとは、財界の要望として始まっています。その時は『直間比率の是正』というテーマが掲げられていました。直間比率とは、直接税、間接税の比率です。直接税は例えば所得税。儲けて手にしたお金に対して税金を払うといったわかりやすいものです。一方間接税は、たとえばタバコ税などがイメージしやすいですね。タバコを買う人が直接税金を収めるのではなく、事業者が間に入って徴収した税金を収めている形です。日本はもともと直接税が多い国家でした。それは、戦後アメリカに習って税制の政策が進められてきたからです。アメリカは直接税が多い国なんです。けれど、直接税ばかりだと税収が安定しないから、という理由で導入された間接税=消費税という立て付けなんです。」

生まれた頃から当たり前に消費税があって、疑問を持ったこともありませんでした。確かに5%が8%に、8%が10%に、と上がっていくのには抵抗がありましたが、そもそも何のために導入された制度なのかを知ろうと思ったことはなかったです。

しかもその目的が時代によって変わっているとのこと。これは興味深い話です。森井先生は、消費税の目的の変化についてお話する前に、まず直接税と間接税についての理解を深める話をしてくれました。

本当はあいまいな直接税・間接税の違い。

「間接税は購入した方から預かった税金を集めて、国に収めるものだとお話をしました。例えばタバコなら定価があって、タバコ税が決まっているのでわかりやすいのですが、ここで注目したいのは消費税なんですね。世の中の多くのものは実は定価がありません。たとえば、法律で値札の表示を税抜から総額表示にしなければいけなくなったとき、1980円(税抜)で売っていたものを、企業努力でコミコミ1980円(税込)にした会社が結構あったと思います。」

たしかに、某ファストファッションの会社などは、税込表示になっても値段を据え置きしてくれたおかげで、安く服が買えると喜んだ記憶がありますね。

「そういったように、金額というものは常に変わっていて、一定じゃないんですよね。そうなると、本体価格と税額を厳密に分けることは難しくて、しかもさじ加減ひとつで変動するもの。そうなってしまうと、誰かから預かった税金を変わりに収める仕組みなんて、そもそも成立しないんじゃないかと思うところもありますね。」

もともとは、税収の安定化を意図して間接税である消費税が導入されたと聞きました。しかし、収めるべき税額を値段の変更ひとつで変えてしまえるような状況であれば、安定という目的に対してはどうなのだろう、と素人感覚では思ってしまうところもありますね。

これからの時代、更に税金が増えていくのか。

少子高齢化。私たちが生きるこの先の未来。若者が減り、お年寄りが増えれば社会保障を厚くしなければいけない。そうなると、税金やっぱり増えていくんでしょうか。そんな点に関して、最後に森井先生はお話をしてくれました。

「そもそも、税収を増やしたいのであれば、国民の所得を上げることですよね。所得が増えたら所得税が上がるんです。一方消費税は税率を強制的に上げてしまう方法です。本来的には、所得がどんどん増えて、勝手に税収が増えるのが当たり前であるべき姿なんです。」

それはそのとおりですね。自分も所得がどーんとあがれば、その分所得税を払うのは受け入れられそうですが、所得が全然上がらないのに消費税がどんどん上がっていくのはちょっと受け入れがたいです・・・。

「消費税を導入させたのは、直間比率の話もありましたが、実は法人税を下げたかったからという話もあります。消費税導入当時は法人税は40数%あったものが、今では20数%ですから。法人税と所得税が減った分の穴埋めとしてスタートした消費税は、いつの間にか日本の借金が多いから必要な税収だと言われたり、少子高齢化だから社会福祉のために必要な税収だと言われたり。その時々で正当性がつくられ、話のストーリーも変わってきたんです。私は消費税を廃止すべきとか、間違っているという話をしますが、間違っているからといって払わなくてもいいわけではありません。大事なのはその税金が、日本を豊かにするものなのか?とみんなが考えること。そういう視点を持って、もっといい仕組みに変えていく必要があるということなんです。」

最後は、森井先生から熱いお話も聞くことができました。

本当に大切なのは私たち一人ひとりがちゃんと税金を学んで考え、行動することなんですよね。これまでは入ってくるお金ばかりに興味を持っていました。けれど、出ていくお金である税金のことも知り、国のことをもっと考えたり、お金とうまく付き合っていきたいと強く思うようになりました。森井先生、ありがとうございました!

森井じゅん プロフィール

公認会計士/税理士/ファイナンシャルプランナー。
高校中退後に、大検取得・留学・出産を経て一念発起。シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。
現在、森井会計事務所代表として税理士業務、企業コンサル・監査を務める傍ら、お金にまつわる執筆や子育て論などのTVコメンテーターとしても活躍中。

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