現地よりレポート! 中野エリア再開発 最新事情!!【プロが教える不動産投資コラム】
2022年の夏は政府による行動制限がなく、人の移動も増え多くの観光都市で活況を呈したようです。依然コロナは厳しい状況であるものの、徐々に経済は回復基調にきているようです。
内閣府が8月15日に発表したGDP速報値においては4月から6月期においてコロナ前の水準を回復しており、また多くの企業においても企業実績が上向いています。
外資系企業の日本国内に向けた不動産買いも円安の影響もあり特に商業用不動産の需要がますます強くなっています。
特に東京においては都心エリア、山手線エリアの引き合いが強いようですが、今後は徐々に山手線周辺部にも人気が及ぶ可能性を秘めています。 今回は山手線外側のエリアで進行している「中野エリア」の大規模再開発について検証してみたいと思います。
山手線外側の大規模再開発は少ない
山手線の各主要ターミナル駅、例えば池袋、新宿、渋谷、品川、東京駅、秋葉原、上野などを見ても、それぞれの駅から二つ目や三つ目の駅における「駅前大規模再開発」はそれ程多くはありません。
「新宿」駅からJR中央線快速で1駅目の「中野」駅周辺エリアでは再開発により「四季の森公園」やオフィスビルである「中野セントラルパーク」などが完成し、明治大学、帝京平成大学、早稲田大学などの大学や「キリン(グループ)」などの企業も移転してきています。
中野エリアの特徴を見てみると、北口は公的施設が区役所を始め税務署、中野サンプラザ(現在は民営)など多く建ち並び、それらの老朽化と共に新たな街づくりが行われています。
また再開発をするにあたっては立ち退き交渉が最も重要なプロセスの一つとなりますが、公的セクターが絡む開発ですので話が進展しやすいという背景もあります。 南口においては新宿の主とも言える住友不動産中心による大規模駅前再開発が進行中で住宅系、商業系、オフィス系と言った開発により中野エリアのイメージが大きく変わるかと考えられます。
地価上昇率トップの中野エリア
2022年の公示地価では東京都の商業地の地価上昇率のトップ10に中野エリアが5地点もランキングしました。
1位と2位となった中野3丁目は中野駅南口駅前、中野5丁目は北口のブロードウエイの近くです。7位の中野2丁目の地点は南口の線路沿いの新宿方面、8位の野方1丁目の地点は東京警察病院の前です。いずれの地点も駅や再開発エリアに近く、将来性が高い事から地価が上昇していると考えられます。
では現在、中野エリアで進行している再開発について現地の写真と共に見てみましょう。 写真は全て2022年8月現在の状況です。
2022年公示地価 東京都商業地 上昇率ランキング
順位 | 区 | 場所 | 上昇率 |
---|---|---|---|
1 | 中野 | 中野三丁目107番10外 「中野3-36-15」 | 4.5% |
2 | 中野 | 中野三丁目111番52外 「中野3-34-13」 | 4.3% |
3 | 中野 | 中野五丁目21番7 「中野5-67-5」 | 4.2% |
4 | 足立 | 千住二丁目57番3外 | 4.0% |
5 | 足立 | 千住旭町45番2外 「千住旭町40-22」 | 3.7% |
6 | 荒川 | 東日暮里三丁目1338番1外 「東日暮里3-43-9」 | 3.5% |
7 | 中野 | 中野二丁目12番1 「中野2-11-1」 | 3.4% |
8 | 中野 | 野方一丁目1636番1 「野方1-29-2」 | 3.3% |
9 | 文京 | 小石川二丁目30番14外 「小石川2-25-18」 | 3.0% |
10 | 太田 | 西蒲田七丁目51番9 「西蒲田7-51-11」 | 3.0% |
中野駅周辺 再開発MAP
- 中野二丁目地区市街地再開発事業
- 中野三丁目土地区画整理事業
- 囲町東地区市街地再開発事業
- 囲町西地区市街地再開発事業
- 中野区新庁舎
- 新北口駅前広場
- 中野駅西側南北通路・橋上駅舎等
- 中野サンプラザ建て替え事業(中野サンプラザシティ)
- 中野四丁目西地区市街地再開発事業 ⑩中野四丁目東地区市街地再開発事業
中野二丁目地区市街地再開発事業<地図-①>
中野駅南口駅近くの新宿よりの線路沿いのエリアで、中野駅のホームからも建設中の大きな建物を見る事ができます。地上20階の業務棟と地上37階の住宅棟を建設中です。広場なども建設される予定で2023年度に建設工事完了、2025年度に再開発事業完了の予定となっています。周辺でも最も工事の進んでいるエリアとなっています。
現地は公団住宅のあった場所で、今後は定住人口や就業人口も増加すると考えられ、周辺の発展にも繋がります。
中野三丁目土地区画整理事業<地図-②>
中野駅南口の高円寺方面のエリアです。線路沿いに歩いて行くと現地があります。中野駅の西口が新設され、当該エリアに西口広場が建設される予定です。 さらにその隣にも再開発が進んでおり、共同住宅、店舗、事務所などが建設予定です。
中野区新庁舎<地図-⑤>
中野区役所を新設しています。駅から見て中野サンプラザの斜め後ろ方向で中野体育館のあった場所です。2024年の竣工を予定しています。
中野区役所は1968年(昭和43年)に竣工、1982年(昭和57年)には9階建てに増築されています。既に50年以上経過しており、新庁舎となる事で利便性を高め防災や新しい街づくりの拠点となる事が期待されます。
新北口駅前広場<地図-⑥>
中野駅の新北口の新設に伴い新たな広場を建設しています。将来的には中野サンプラザの再開発とつながります。 中野駅北口駅前は極めて大規模な再開発が予定されていますが、現在進行しているのは駅前エリアとなります。
中野駅西側南北通路・橋上駅舎等<地図-⑦>
中野駅の東西通路を建設し、駅上にビルを建設しています。中野駅の上に大きなビルができる予定です。新たに西口改札が設置され南北に出口が建設されます。2026年に新改札・西側南北通路が供用開始、2027年に駅ビルが完成予定です。
中野サンプラザ建て替え事業(中野サンプラザシティ)<地図-⑧>
中野サンプラザと中野区役所は2022年8月現在、まだ健在です。このエリアは「中野駅新北口駅前エリア」として再開発の計画があります。
中野サンプラザは1973年(昭和48年)に全国勤労青少年会館として開業しました。中野のシンボルとも言える建物です。2023年7月に閉館し、「中野サンプラザシティ」として大きく生まれ変わる予定です。
7000人収容のホールなどの入る複合ビルが2028年度に竣工予定です。中野エリアの新たなシンボルとなる可能性があります。
中野四丁目西地区市街地再開発事業<地図-⑨>
中野サンプラザの北側は現在も住宅や店舗などがありますが、このエリアも「中野四丁目新北口東地区再開発」「中野四丁目新北口西地区再開発」として再開発の予定地となっています。
現在中野区では「中野四丁目新北口地区まちづくり方針」が策定されています。 中野サンプラザの建替えに伴いこのエリアも大きく変わる可能性もあります。
新宿を中心としたメガシティを形成
「新宿」駅エリアは住友不動産を中心とする大手デベロッパーが多くの高層ビルなどを所有し、そこにファンド等の投資も相まって開発が続けられています。
筆者は長年東京における不動産市場を垣間見てきましたが、一つの特色として新宿エリアはその開発エリアにおいてまるでアメーバのように拡大してきたと考えられます。
新宿西口エリアを中心として「中野坂上」エリアや「初台」エリアに拡大し、さらに日本閣跡地に大規模再開発のある「東中野」駅エリア、そして「中野」エリアなどを含めて新宿エリアとのメガシティを構成すると考えられます。
まとめ
以上見て頂いたように、中野駅周辺全体で大規模な再開発が進行している事が分かります。
中野の発展によりJR中央線・総武線・東西線沿線はもとよりその周辺エリアなどの住宅需要も増加する可能性もあります。
中野エリアの再開発が進行し建物が完成してくれば、地価の上昇に拍車をかける可能性もあり、大規模再開発の進む中野エリアは今後大きな変貌と就業人口の増加が見込まれる街と言えます。