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東京メトロ上場と不動産投資との関係【プロが教える不動産投資コラム】

10月23日に東京メトロが上場しました。上場後についた初値は1,630円と売り出し価格(1,200円)を36%上回り、久々の大型上場という事で注目が集まっていました。

今回のコラムでは東京都の鉄道交通を支える地下鉄と不動産投資との関係について検証してみたいと思います。

東京メトロが東証プライム市場に上場

日本政府は金融・通信・交通関係といったいわゆる公益性の高い事業会社の30社以上の株式を保有しています。その理由としては公共性の高い国民生活に大きな影響を与える事業に対してはその企業の経営に一定の関与をする事になっているからです。

東京メトロも同様で株式の約半分が国、約半分が東京都となっています。

今回はそれぞれの約半分が売りに出され、東証プライム市場に上場しました。初値も公募価格を上回る1630円になり、その関心度の高さが示されました。今回の株式売却で国は復興事業、東京都はインフラ整備事業などに利用します。

また東京メトロも時価総額が1兆円を超えましたので、今後新たな分野に対しての投資が可能となり業容拡大も期待されます。

株主優待は10,000株以上では全線定期がもらえる

株を購入して株主になると企業によって様々な優待がある場合があります。

東京メトロでは株主優待として200株以上所有している株主には所有株式数に応じて株主優待乗車証(全線きっぷ・片道1回限り)が発行されます。10,000株以上だと全線定期乗車証となります。

また関連施設の各種優待券として様々な優待も受けられるそうです。全線定期を得るには1,630円×10,000株で1,630万円(初値で計算)必要となります。

ちなみに全線定期は1年で約19万円です。また他にも地下鉄構内の蕎麦屋さんで利用できる「かき揚げ無料券」など庶民的な感じの優待もあります。

東京メトロは9路線

東京に多くの路線が運行していますが、東京メトロは現在9路線が運行しています。皆さん全ての路線を言えますでしょうか。

東京メトロの路線:
銀座線・丸ノ内線・日比谷線・東西線・千代田線・有楽町線・半蔵門線・南北線・副都心線

どの路線も東京にお住まいの方にはおなじみの路線とも言えるのではないでしょうか。

東京都及び周辺部に多く運行し、1日平均652万人(2023年度)が利用しています。都営地下鉄の4路線と合わせて東京には13路線の地下鉄が運行している事になります。

どうしてこんなに地下鉄が多いのでしょうか。

これはまず東京の人口が多く、在来線だけでは輸送需要を賄えない事や、地上の路線と違って地権者との交渉が少なく建設しやすい事、またJRと接合する事により、代替路線としても役割・能力が高い事、有事の際(大規模災害・地震など)において駅構内がシェルターとしての機能も合わせ持っている事なども挙げられます。

東京都内には多くの路線が運行していますので、地方から初めて東京に来た方にとっては多すぎて分かりづらいかもしれません…長年都内に住んでいる都民でさえ迷います(笑)。

またそれぞれの路線は郊外などに向かって直通運転をしている路線も多くあり、東京の交通利便性の高さの一因となっています。

東京メトロの駅で利用者の多い駅は

東京メトロの駅は180駅あります。これだけ多いと路線は全部言えても駅を全て言える方はいないのではないでしょうか。

それでは最も利用者の多い駅はどの駅でしょうか。

答えは「池袋」駅となります。「池袋」駅は東京メトロ丸の内線、副都心線を始め多くの路線が利用できる駅です。

3位には意外にも「北千住」駅が入っています。都心からは少し離れていますが、多くの路線が利用でき、大学も多い事から利用者も多いと考えられます。

◼︎東京メトロ 乗降人員ランキング(2023年度)

順位
1池袋
2大手町
3北千住
4銀座
5豊洲
6新橋
7新宿
8東京
9上野
10渋谷
<東京メトロ「各駅の乗降人員ランキング 2023年度」>

東京の地下鉄の歴史は

世界で初めての地下鉄はロンドンで1863年に誕生しました。日本では1927年(昭和2年)に「銀座線」が浅草~上野間に開通しました。2027年には開業100年となります。また12月30日に開業しましたので、この日は「地下鉄記念日」となっています。

その後は、1954年に「丸ノ内線」(池袋~御茶ノ水間)が開業し1962(昭和37)年には全線開業しました。

さらに1960年に都営浅草線(押上~浅草間)、1961年に日比谷線(南千住~仲御徒町間)、1964年に東西線(高田馬場~九段下間)、その後「千代田線」「有楽町線」「半蔵門線」「南北線」などが開業し、2008年に「副都心線」が開業しました。

銀座線や丸の内線など初期の頃の地下鉄は地上から穴を掘って地下鉄を建設し後で上を埋める工法となっていますので、地上からの深度も浅くなっています。そのため主要道路の地下などに建設されるケースも多く見られます。

後期になると地中を掘削する工法となるため深度も深くなっています。特に都心部では多くの地下鉄が運行しているため、非常に深い位置に駅のホームがある場合もあります。

例として大江戸線の「六本木」駅などは深い所にあります。ちなみに筆者は一回計った事がありますが、電車を降りてから地上に出るまで約5分弱かかりました。

<銀座線の駅の構内にある「地下鉄開通記念ポスター」のレプリカ>

※撮影:オフィス野中

銀座線や丸の内線はなぜ空中を走るのか

銀座線を渋谷に向かって乗車していると、渋谷駅前で突然地上に出ます。しかも銀座線の渋谷駅のホームはJRのホームのさらに上で地上のかなり上の方にあり、かつて隣接していた東急東横店の3階位とつながっていた記憶があります。

銀座線は表参道までは地下を運行していますが、どうして渋谷駅になると地上3階もの高さになってしまうのでしょうか。実は線路は水平に走っていますが、渋谷はその中の通り「谷」となっており、地形が低くなるのでこのような構造となっています。

また丸ノ内線ではお茶の水駅を出て淡路町方面に向かうと一瞬ですが高架となり地上に出ます。これは江戸城の外堀があるためです。お茶の水駅からも一瞬地上に出た丸ノ内線が見えます。

東京メトロ上場と不動産投資との関係は

JRを始め東急・京王といった私鉄の電鉄系会社は鉄道会社でありながら、意外にも売上の中に占める鉄道利益の割合が低いと言われています。多くの鉄道会社は沿線開発などを含めた不動産事業による売り上げ比率が極めて高くなっています。

例えば沿線上におけるデパートなど商業施設の売り上げ、開発するホテルによる売り上げ、その他多くのジャンルが寄与しています。ところが東京メトロは売上の大半が鉄道事業によるものとなっています。

今後は他の鉄道会社同様、不動産開発など売り上げの事業対象を拡大していくと表明しています。例えば東京メトロと他のベデロッパーが共同で開発を進めればより速いスピードでより魅力的な街づくりが可能となります。

さらに東京メトロの駅周辺などの開発も進む可能性もあり、周辺の利便性の向上や地価を押し上げる効果も期待されます。

現在東京都内では東京メトロ南北線「白金高輪~品川」、有楽町線「豊洲~住吉」などの延伸が計画されています。今後は潤沢な資金のもと、さらに新たな延伸計画及び開発なども期待されます。

このようにメトロ上場後は地域開発、不動産開発、より魅力的な東京の街づくり開発が期待され不動産投資をされる方にとっても心強い味方になると考えます。

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