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統計で見る最新!賃貸市場動向【プロが教える不動産投資】

2024年もあっという間に時間が経過し年末も近づきつつあります。読者の皆様も忘年会の季節となり楽しいひと時をお過ごしの方も多いと思いますが、風邪も含め体調管理には気を付けたいものです。

さて近年ではマイホームを購入する方も多くなっていますが、マンションなどを含めた賃貸住宅に住まわれる方も依然として多くいらっしゃいます。マンション投資は長期の視点から見ても、こうした賃貸市場の動向をある程度把握しておく事も重要です。

国土交通省から発表された資料を基に最近の賃貸市場の動向を見てみましょう。

全国の持ち家率は60.9%

国土交通省が2024年9月に発表した「令和5年住宅・土地統計調査」から住宅の所有の関係を見てみると、全国では住宅が約5,566万ありますが、そのうち持ち家が3,387万あり、借家は1,946万となっています。

住宅全体に占める持ち家率は60.9%となり、住宅のうち約4割は借家住宅などに住んでいる事になります。

ちなみに全国の中で持ち家率が高いのが山形県で、最も低いのは沖縄県で次に東京都となっています。東京都の中でも中野区・豊島区・千代田区などは30%前後で推移しており借家率が極めて高いエリアの一つと言われています。

持ち家率は近年低下傾向にあり借家に住む方も増加しています。日本ではまだまだ借家住宅に住む方の割合は多く、賃貸需要も今後も堅調に推移すると思われます。

◼︎住宅の所有の関係<全国>

住宅総数持ち家借家持ち家率
2023年5,566万5千戸3,387万1,946万2千戸60.9%
<国土交通省「令和5年住宅・土地統計調査」>

◼︎持ち家率の推移<全国>

2013年2018年2023年
持ち家率61.7%61.2%60.9%
<国土交通省「令和5年住宅・土地統計調査」>

賃貸入居者の動向

では次に賃貸入居者の動向や住み替えの際のポイントなどについて「令和5年度住宅市場動向調査」から見てみましょう。

賃貸住宅に入居する方の選択の条件として最も多いのが「家賃」となっています。大企業などを中心として給与水準の上昇も進んでおり、賃貸住宅市場がより活性化し、また今後はよりグレードの高い賃貸住宅が求められる可能性もあります。しかし「妥協したもの」としても一位に家賃が挙げられており、多少高くても希望の物件があれば入居する方が多い事もうかがえます。

次いで「環境」「住宅のデザイン・広さ・設備」「交通アクセス」の順となっています。

賃貸住宅の選択理由については単身者かファミリー層によって異なると考えられ、単身者層は交通の利便性、職場からの距離などに重点を置き、ファミリー層は環境、広さなどに重点を置く傾向があると考えられます。いずれにしても家賃が適切であるかどうかは共通のポイントであると考えられます。

◼︎賃貸住宅の選択理由

理由割合
1家賃が適切だったから51.1%
2住宅の立地環境が良かったから32.1%
3住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから30.1%
4交通の利便性が良かったから30.1%
5職場から近かったか20.9%
<国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査」>

入居者の物件選びはインターネットが多い

賃貸住宅に入居される方の物件選びの方法を見ると「インターネットを通じた情報収集」が最も多く 66.7%となっています。

現在は賃貸住宅のサイトなどを見て物件を決める方が多い事が分かります。一昔前までは地元の不動産屋さんに行って物件を紹介してもらい内見をして決める、というパターンも多かったですが、最近は地方にいてもインターネットで物件を決めて、オンラインで契約などもできようになってきています。

それだけインターネットの重要性が高まってきていると考えられます。インターネットを通じて短時間で多くの情報を取捨選択できとても便利に時代になったと思います。

◼︎住宅を探した方法

情報収集方法割合
1インターネットで60.1%
2不動産業者で43.4%
3知人当の紹介で17.8%
<国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査」>

宅配ボックスについて

インターネットでのショッピングが多くなるにつれて、宅配ボックスの需要も高まってきています。コロナ時からは「置き配」も多くなってきましたが、誤配や盗まれるなどのトラブルも多く宅配ボックスがあると便利です。

民間賃貸住宅で宅配ボックスを設置している割合は令和4年度の34.2%から令和5年度は36.8%に上昇しています。上昇しているとは言え、未だ設置率は3分の1程度となっています。今後も宅配ボックスの有無が物件の魅力にもつながると考えられます。

◼︎賃貸住宅における宅配ボックスの設置率

2022年度2023年度
設置率34.2%36.8%
<国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査」>

最寄り駅までの距離

最寄りの交通機関までの距離を見ると、住み替え後には距離が短くなっています。2023年度では住み替え前の1.4キロから住み替え後は1.1キロとなっています。1.1キロというとワンルームマンションでは少し駅から距離があるように思えますが、これはファミリーマンションや戸建てなども含めた数値となっているからです。また徒歩時間は1分80mとなっていますので1.1キロと言う事は約14分となりますが、これは全国の平均なので、歳部ではさらに短くなると考えられます。

このように賃貸住宅の住み替えには駅までの距離を重視する方が多い事が分かります。ファミリーマンションや戸建てなどは駅から10分以上が多い中、単身者向けのワンルームマンションなどは駅から10分以内の建設も多くなっています。

2021年度2022年度2023年度
住み替え前1.3km1.4km1.4km
住み替え後1.1km1.2km1.1km
<国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査」>

通勤時間

通勤時間を見ると、住み替え後には時間が短くなっています。2023年度には住み替えの36.5分から住み替え後には33.0分と3.5分の短縮となっています。

住み替え後には駅までの距離も短くなるケースもありますので、賃貸住宅の交通利便性が重視されている事が分かります。

建物は時間の経過と共に自然劣化しますが、駅までの時間や駅から通勤地までの時間は変わる事はありません。逆に交通機関の発達により、到達時間が短くなる事もあります。これは「劣化」とは反対の意味で筆者は時間の「優化」と呼んでいます。

◼︎住み替えによる通勤時間の違い

2021年度2022年度2023年度
住み替え前39.7分38.5分36.5分
住み替え後33.2分31.1分33.0分
<国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査」>

※片道分

民間賃貸住宅の居住人数は

民間賃貸住宅の居住人数を見ると、最も多いのは「1人」で38.7%となっています。次いで「2人」が34.7%です。「3人」となると14.7%とその割合は少なくなります。

「1人」世帯が約4割弱となっており、ワンルームマンションなど優良な単身世帯住宅の需要も高いのではないでしょうか。

◼︎民間賃貸住宅の居住人数

人数1人2人3人4人
割合38.7%34.7%14.7%7.8%
<国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査」>

賃貸住宅の賃料は

再び「令和5年住宅・土地統計調査」から賃貸住宅の賃料を見てみましょう。

賃貸住宅の一か月あたりの家賃は全国平均で59,656円となりましたが、民営借家のうちマンションなどの「非木造」は68,548円でした。前回調査の2018年から7.0%の増加となっています。

◼︎借家の家賃の推移

賃貸住宅全般民営借家(非木造)
2012年5万4052円6万3005円
2018年5万5695円6万4041円
2023年5万9656円6万8548円
<国土交通省「令和5年住宅・土地統計調査」>

では東京圏のワンルームマンションの家賃はどうなっているでしょうか。公益財団法人不動産流通推進センターの資料によると、2024年3月時点の首都圏のワンルームマンションの平均家賃は7万8908円で、前回調査の2023年9月と比べて約2.7%の上昇となりました。首都圏のワンルームマンションの家賃は近年上昇傾向が続いています。

家賃上昇要因として物価上昇・マンション価格上昇による家賃水準の上昇などが挙げられます。また東京都都心部などではさらに家賃も高くなってきていると考えられます。

筆者も東京都内の多くのワンルームマンションを検証していますが、近年では東京の東側エリアでも25平米換算で月額10万円を超える賃料の物件も増えています。

◼︎東京圏の賃貸マンションの家賃相場の推移

平均家賃
2018年9月7万2723円
2023年9月7万6765円
2024年3月7万8908円
<公益財団法人不動産流通推進センター「2024不動産業統計集」>

東京都など世帯数の増加が予想されるエリアでは、特に若い世代の賃貸需要は今後も増加する可能性があります。賃料も上昇傾向にあり、交通利便性の優れた賃貸マンションの需要は堅調に推移するのではないでしょうか。

石破政権による経済対策が実行されれば今後来春の賃上げも期待され、今後の賃貸住宅の賃料の上昇も予想されます。但し賃貸住宅市場においても優勝劣敗の色がより濃くなり賃料が上がる住宅、下がる住宅、もっと極端な事を言うと借り手がつかない住宅と三者三様の状況を呈する時代となってきていると考えられます。

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