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ヒップホップ界初のビリオネア・Jay-Zの資産額は? アーティストとしての成功を超えた大富豪のビジネスを徹底分析

日本では「世界の歌姫・ビヨンセの夫」として知られるJay-Z(ジェイ・Z)氏ですが、アメリカではヒップホップをカルチャーにしたラッパーであり資産家としても高い知名度を誇る超有名人です。

Jay-Z氏は2019年にヒップホップ界で初めてビリオネア(資産10億ドル超)に到達し、さらに2023年には総資産額が25億ドル(約3900億円※)に到達したことが米経済誌Forbesで報じられています。つまり、たったの数年で資産を倍以上伸ばした計算になります。

※1ドル155.47円(6月5日 3時時点のレート)で換算した場合。以下同様

ラッパーとしての実力はもちろん、ビジネスの才能においても他に類を見ないJay-Z氏は、どのようにして莫大な資産を築き上げたのでしょうか。

本記事では、Jay-Z氏が輝かしい称号を手に入れるまでの軌跡や彼が手がける複数のビジネスに迫ります。

貧困地域で育ったJay-Zのハードな生い立ち

Forbesが毎年発表している、世界のヒップホップ界で最も稼いだアーティストのランキング「ヒップホップ長者番付」において、Jay-Z氏が初めて首位に躍り出たのは2017年版。当時は「彼の天下は長続きしない」と予想するメディアもありましたが、その2年後にはビリオネアに到達し、“世界で最もリッチなラッパー”の称号を手にしました。

また、Jay-Z氏はビヨンセ氏とともに“音楽業界最強のパワーカップル”としても知られています。資産25億ドル到達が報じられた2023年には、ロサンゼルス郊外に2億ドル(約300億円)もの大豪邸を購入したニュースが話題になりました。

今でこそヒップホップ界の帝王に登り詰めたJay-Z氏ですが、幼い頃はニューヨークのブルックリンで生活保護を受けるような厳しい環境で育った人物です。

10代の頃にラップに目覚めたものの、ストリートで生き残るために一度は音楽から離れた生活をせざるを得ませんでした。26歳の頃に通り魔によって至近距離から拳銃で銃撃された事件を境に再びラップに挑戦することになり、そこから彼の音楽人生がスタートします。

1996年に1stアルバムをリリースし、その3年後に出したアルバムで初の全米チャート「Billboard 200」1位を獲得。現在までで史上最多となる14枚のアルバムが初登場1位を記録しており、さらにグラミー賞受賞を24回果たしています(ノミネートは88回)。

このようにラッパーとして着実にステップアップを重ねていくうちに、アーティスト活動だけでなく経営者、そして投資家としても裾野を広げていきました。

経営者としてビジネスの才能も開花

Jay-Z氏はビヨンセ氏と結婚した2008年にレコードレーベル「ロック・ネイション」を設立し、代表に就任。音楽界のエグゼクティブとして活躍するだけでなく、この会社を設立する少し前からすでにさまざまなビジネスに着手し始めていました。

実は、彼が所有する資産の多くは、音楽活動以外のビジネスによってもたらされたものなのです。

例えば2003年には、ニューヨークにスポーツバー&ラウンジ「40/40 Club」をオープン。その後複数のエリアにチェーン店舗を拡大し、現在もオーナーとして経営を続けています。

また同じ頃、彼の地元に本拠を置くNBAチーム「ブルックリン・ネッツ(旧ニュージャージー・ネッツ)」を買収。音楽やエンターテインメントだけでなく、スポーツ分野への関心の高さも伺えます。

2004年には、1995年に共同設立していた「ロッカフェラ・レコード」を1000万ドル(約16億円)でアイランド・デフ・ジャム・グループに売却。2005年〜2008年は「デフ・ジャム」のCEOを務め、有名アーティストのプロデュースも行いました。

2007年には、1999年に立ち上げたアパレルブランド「ロカウェア」を2億400万ドル(約320億円)で売却し、売上状況によって売却先であるアイコニックス・ブランド・グループの株式3,500万ドル(約54億円)をオプションとして受け取る契約を締結。売却時点でのロカウェアの年間売上高は7億ドル(約1000億円)と勢いのあるブランドということもあり、売却後も株式を保持して商品開発やライセンス業務を引き続き務めた点や関連会社の権利を保有し続けた点に、経営者としての手腕が光りますね。

投資によって資産増加のペースが加速

2012年頃からは「Uber(ウーバー)」や「Block(ブロック)」といったIT系スタートアップへの投資をスタート。2017年には、自身のレーベル「ロック・ネイション」の社長であるジェイ・ブラウンとともにベンチャーキャピタルを立ち上げたことも報じられています。

ベンチャーキャピタル創設の2年前には、ノルウェー発の音楽ストリーミングサービス「Tidal(タイダル)」を5600万ドル(約87億円)で買収。2015年の買収から6年後の2021年には経営権を含む株式の過半数を2億9700万ドル(約462億円)で「Square(スクエア)」に売却しており、5倍以上の投資成績を収めました。

2019年にビリオネアに到達してからは、より利益の高い酒類ビジネスにも着手。例えば、2021年には彼が7年前に買収したフランスの高級シャンパンブランド「Armand de Brignac(アルマン・ド・ブリニャック)」の株式50%を「LVMH」に売却し、3億2000万ドル(約498億円)の利益を得ています。

さらに、2023年にはコニャックブランド「D’USSÉ(デュッセ)」の株式の大半を7億5000万ドル(約1166億円)で「Bacardi(バカルディ)」に売却しており、この契約が資産額25億ドル突破の大きな要因になったと考えられています。

上記のように投資家として驚異的な成功を収めるとともに、音楽資産や美術コレクション、不動産などを含む幅広いポートフォリオを所有しているJay-Z氏。こうして経歴を振り返ってみると、ラッパー、プロデューサー、実業家、プロスポーツクラブのオーナー、株式投資家、美術コレクター……と多くの顔を持つ彼の敏腕ビジネスマンっぷりに驚かされるばかりです。

同氏はCBS Newsのインタビューに登場した際、「ビジネスのアドバイスは全て音楽に込めている」と語りました。彼のラップを聞いたことがないという方は、そのリリックをじっくりと読み解くことで成功への道筋が見えてくるかもしれませんよ。

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