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地価LOOKレポートに見る最新地価動向と不動産投資【プロが教える不動産投資コラム】

国土交通省から2022年1月1日時点の「主要都市の高度利用地地価動向報告~地価LOOKレポート~」が発表されました。

これは都市部などの最新の地価動向を表しています。今回発表された内容と過去からの推移、そして不動産投資市場に与える影響を見てみましょう。

マンションの資産価値と地価

マンションの資産価値と地価には密接な関係があります。これはマンションの価格構成に占める地価の割合が比較的大きいからです。また都心部など地価の高いエリアは、郊外など地価が比較的低いエリアよりもマンション価格に占める割合が大きくなります。

ワンルームマンションの多くは資産価値・利便性の高いエリアに建設されますので、地価変動の影響も受けやすいと考えられます。

代表的な地価は二つ

「地価」には代表的な指標が二種類あります。

一つは「公示地価」で、これは1月1日時点の地価動向を国土交通省で公示するものです。路線価や固定資産税などの指標ともなる指標で毎年3月に公示されます。

もう一つは「基準地価」です。これは正式には「都道府県地価調査」となっており都道府県知事が7月1日時点の地価を判定するものです。土地取引規制に際しての価格審査や地方公共団体等による買収価格の算定の規準などにもなります。

地価LOOKレポートとは

以上の二つの地価に加え、主要都市の高度利用地の地価動向について発表されるのが「主要都市の高度利用地地価動向報告~地価LOOKレポート~」です。

主要都市の高度利用地の地価動向は先行的に表れやすく、地価動向の先行きなども予想する事ができます。「公示地価」と「基準地価」が年1回の発表に対して、地価LOOKレポートは年4回発表なので、それだけ詳しく地価動向を知る事ができます。

但し調査地点は主要都市の高度利用地のみなので、東京圏43地区、大阪圏25地区、名古屋圏9地区、地方中心都市等23地区の計100地区となっています。公示地価の調査地点26,000カ所と比較するとかなり少ないですが、逆にそれだけ調査地点が厳選されていると言えます。

全国主要都市の高度利用地の地価動向は

それでは地価LOOKレポートについて見てましょう。まずは全国(100地区)の動向です。

地価に新型コロナの影響が出る前の2018年から2020年初頭にかけての期間は「上昇・横ばい・下落」地点のうち「上昇」が最多となり、地価は上昇傾向にありました。しかし新型コロナの影響が出始めた令和2年第2四半期(2020年7月1日時点)には「横ばい」が最多となり「上昇」はわずか1地点に減少、下落が増加し38地点となりました。

その後令和2年第4四半期(2021年1月1日時点)は「上昇」が15地点に増加、その後は徐々に地価上昇地点も増加してきました。 今回発表された令和3年第4半期(2022年1月1日現在)では「上昇」地点も増加し55カ所と過半数となり、「横ばい」「下落」地点は減少しています。つまりこのコロナ禍においてもコロナの影響は時間の経過と共に軽微になるつつある事が分かります。

地価LOOKレポート
四半期の区分について
第1四半期:1/1~4/1
第2四半期:4/1~7/1
第3四半期:7/1~10/1
第4四半期:10/1~1/1

東京圏(埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県)の地価動向は

東京圏の動向はどうなっているでしょうか。東京圏の調査地点は43地点ありますが、今回の調査(2022年1月1日時点)では「上昇」が前回17地区から23 地区に増加、「横ばい」が前回14地点から 13 地区に減少、「下落」も前回12地点から7地区と減少となりました。変動率区分が「横ばい」から「上昇」、または「下落」から「横ばい」など上方に移行した地区は11 地区であり、下方に移行した地区はありませんでした。このように東京圏では地価の回復が徐々に進行していると考えられます。

東京都の動向は

では東京都の地価動向を詳しく見てみましょう。

東京都の調査地点は27地点あります。直近の推移を見て見ると、令和2年第1四半期(2020年4月1日現在)では上昇が18地点と過半数を占めていましたが、新型コロナの影響を受け地価上昇地点が減少し、その次の期の令和2年第2四半期(2020年7月1日現在)ではなんと上昇地点がゼロとなりました。それだけ都心部などの高度利用地は新型コロナの影響が大きいと言えます。

その後は上昇地点ゼロが続きますが、昨年の令和3年第1四半期(2021年4月1日時点)では地価上昇地点が4地点表れました。この時に上昇となったのが「千代田区番町」「港区南青山」「世田谷区二子玉川」「武蔵野市吉祥」ですべて住宅地となっています。つまりいち早く住宅地の地価が回復の兆しを見せた訳です。

その後は地価上昇地点が増加しています。今回発表となった令和3年第4四半期(2022年1月1日時点)では地価上昇地点は10カ所と大きく増加しました。地価上昇10カ所のうち、住宅地が9カ所を占め住宅地の調査地点は全て上昇となりました。 このように住宅地価の回復傾向が強い事が分かります。

◆東京都の地価変動率区分の推移

2021年
第1四半期
2021年
第2四半期
2021年
第3四半期
2021年
第4四半期
上昇4地点8地点8地点10地点
横ばい14地点9地点8地点10地点
下降9地点10地点11地点7地点
国土交通省「主要都市の高度利用地地価動向報告~地価LOOKレポート~」よりオフィス野中作成

都内の商業地でも「横ばい」地点が増加

では東京都の商業地の動向はどうなっているでしょうか。

今回の発表(2022年1月1日時点)を見ると、商業地である「新宿区歌舞伎町」「渋谷区渋谷」「港区品川駅東口周辺」「江東区青海・お台場」の4か所が「下落」から「横ばい」へと上方に推移しました。

東京都の商業地で「横ばい」となっているエリアは全部で10エリアとなっており、「横ばい」地点は全て商業地となりました。地価上昇傾向の中、「横ばい」のエリアは将来的には「上昇」へと転じる可能性もあります。 このように商業地も徐々に地価の回復が進んでいる事がわかります。

東京都の商業地の内、地価変動率が「横ばい」の地点

(1)横ばいが継続している地点

市区エリア
中央区築地中央
港区赤坂
港区虎ノ門
新宿区新宿
渋谷区表参道
立川市立川

(2)今回「下落」から「横ばい」になった地点

市区エリア
新宿区歌舞伎町
渋谷区渋谷
港区品川駅東口周辺
江東区青梅・台場

地価横ばいとなった商業地エリアの特徴は

東京都の主要商業地は徐々に「下落」から「横ばい」へ推移しつつある動きが見られます。こうしたエリアの特徴としては、下記3つの特徴があります。

  1. 山手線のビッグターミナル駅など大規模なビジネスエリアが集積している
  2. 大型の商業施設が多い
  3. 再開発などが進行しており将来性が高い

つまりこうしたエリアは将来的にも就業人口も多くなると考えられますので、こうしたエリアにドアToドアで30分以内で通勤しやすいエリアが、すなわちワンルームマンションなどの不動産投資にも適した立地であると考えられます。

さらに都内では大規模な再開発に加えて「リニア中央新幹線」や「羽田空港アクセス」などの新線計画に加え、地下鉄の延伸なども検討されています。東京都心部の今後の伸びしろは非常に高いと考えられます。

ちなみにいち早く上昇となった商業地は「中野区中野駅周辺」です。中野駅は中央線快速停車駅で新宿に1駅という極めて利便性の高い立地で近年大規模な再開発により様変わりしてきましたが、今後も中野サンプラザの建替え・中野区役所の建替えを始め大型の再開発計画が多くあります。

マンション投資の立地を考える上では、こうした全体的な地価動向とともに、エリアや沿線の将来性を加味して考える事も大切であると考えられます。

新型コロナ、オミクロンの影響はまだありますが、このように地価は徐々に上昇トレンドに回帰してきている事が読み取れます。 今後ファンドの動きも活発になったり、国内企業の土地需要も増加していく可能性もあります。東京都内の住宅需要は安定しており、マンションの資産価値も落ちづらく、不動産投資は今後も有望であると考えられます。

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