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インバウンド(訪日外国人)の緩和と不動産投資市場【プロが教える不動産投資コラム】

2020年春以降、新型コロナが日本にも蔓延し企業を始め私達の行動も大きな制限を受けました。あれから何度も緊急事態宣言が出された中での生活が続きましたが、ここにきてようやく明るい兆しが垣間見えてきました。2022年6月より多くの国から観光客を受け入れるようになります。

依然新型コロナは収束した訳ではありませんが、ウイズコロナの時代の中で新たな機運も盛り上がりつつあります。 今後訪日外国人が増加すると不動産市場にはどのような影響があるか検証してみたいと思います。

外国人観光客の入国が緩和に

5月26日には岸田総理から、6月10日から外国人観光客の受け入れを再開するとの発表がありました。1日あたりの入国者の制限の上限が約1万人から約2万人に引き上げとなります。

これまでは入国時には全員が検疫が必要でしたが、今後は陽性率などで国・地域を3グループに分け、最もリスクが低い国から入国する場合は入国検査を免除、自宅待機も求めない方針との事です。G7(先進7か国)の中でも入国枠を設定しているのは日本だけであり、緩和に向けた動きが見られると言えます。

さらに羽田~ソウル間の航空路線が6月15日に再開にむけて最終調整に入ったという報道もありました。

今後は平時同様の受け入れを目指すとの事です。観光・旅行業界を始め飲食店や商業施設など非常に多くの業界にもっても朗報となるのではないでしょうか。

過去の訪日外国人の状況は

このように訪日外国人の入国が緩和されれば、訪日外国人の数も増加が予想されます。

日本政府観光局の調べによると、2022年4月の訪日外客数は約13万9,500人と、2年ぶりに10万人を超えました。国内の観光客も増え観光需要も回復傾向にあります。しかし新型コロナの影響が出る前の2019年と比較すると95.2%の減少となっており、依然として低い水準にあると考えられます。これはやはり外国人観光客数の制限が大きな要因となっています。

訪日外国人の数は、新型コロナが発生する以前の2019年までは年々大きく増加しており、2019年には約3,188万人にもなりました。1964年にはわずか約35万人、2011年には約621万人でしたが2012年以降は急増しています。

2019年には政府は2020年の訪日外国人旅行客の目標を4,000万人として様々な施策などを推進していきました。また2030年には6,000万人としており、訪日外国人の増加による経済の活性化も大きく期待が持たれていました。 今後新型コロナの鎮静化し、訪日外国人の数が以前のように回復すれば、再び3,000万人台などへの回復の可能性があります。

訪日外国人の推移

人数
2011年621万人
2012年835万人
2013年1,036万人
2014年1,341万人
2015年1,973万人
2016年2,403万人
2017年2,869万人
2018年3,119万人
2019年3,188万人
2020年411万人
2021年24万人
<日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数の推移」より作成」>

ホテルの開業も増加に

こうした動きを見据えてホテルの新規開業もニュースなどでよく報道されるようになってきました。

2022年に東京で開業・または開業予定のホテルは、星野リゾートによる赤坂の「OMO3赤坂リゾート」、豊洲の「ラビスタ東京ベイ」、マリオットインターナショナルによる「東京エディション銀座」、JRグループの「ヴァイン赤坂」、八重洲の「ブルガリホテル東京」などを始め多くあります。

また観光地である「京都」などででもホテルの開業が続いています。アフターコロナを見据えた動きがホテル業界でも活発化してきていると言え、今後もホテル用地の取得が活発になればワンルームマンション用地と競合する可能性もあります。

過去にインバウンドが地価に与えた影響は

訪日外国人の増加は地価にも大きな影響を与えました。多くの訪日外国人が東京や大阪などの商業地、浅草や京都などの観光地などに訪れましたのでその経済効果も大きく地価も大きく上昇しました 2019年の公示地価を見ると、東京圏の商業地の地価上昇ランキングに、著名な観光地である「浅草」が1位から3位を占めました。

地価上昇率は20%から30%以上と非常に高くなっていた事も特徴です。浅草のある台東区の商業地は平均で11%の上昇となり東京都の中でも最も上昇率の高い区となりました。

2019年 商業地の変動率上位順位表(東京圏)

順位住所(住居表示)変動率
1『浅草1-1-2』(弘隆ビル)34.7%
2『浅草2-34-11』(二天門浅草ビル)24.9%
3『西浅草2-13-10』(蔵田フラッツ西浅)24.8%
<国土交通省「平成31年地価公示」より作成>

アフターコロナを見据えて地価上昇率に転じた「浅草」

新型コロナの発生により訪日外国人の入国が制限されると、こうした訪日外国人の増加によって地価が上昇したエリアの多くはその反動で調整局面に入る事になりました。

先程例として挙げた「浅草」エリアなどを始め多くのエリアで地価が大きく下落する事になりました。

しかし国内の観光もある程度回復してきている事から観光地などの地価も盛り返しを見せ始めています。2022年の公示地価では「浅草」の調査地点は2021年には10%以上の下落でしたが、2022年は上昇に転じています。

これは新型コロナ収束後の訪日外国人回復の期待感も要因であると国土交通省では分析しています。

地価回復を見せる浅草エリアの地価動向

標準地・所在地2021年公示地価
上昇率
2022年公示地価
上昇率
台東5-4[商業地]
浅草駅近接
▲12.0%1.1%
台東5-5[商業地]
つくばエクスプレス浅草駅160m
▲12.2%1.3%
<国土交通省「令和4年地価公示」特徴的な地価動向が見られた各地点の状況>

<地価形成要因等>
国内観光客が回復傾向にあり、浅草地区に立地する希少性から需要は底堅く、新型コロナ収束後の外国人観光客関連の需要回復に対する市場の期待感もあって、地価は上昇に転じた。

今後のインバウンドの増加と地価の関係は

2022年には「浅草」の他、都内の各エリアでは地価の反転が多くみられています。但し大阪中心部の商業地などでは依然地価が調整局面にあり、東京ではいち早く回復局面に近づいてきたと言えます。

「世界経済フォーラム(WEF)」によると日本は2021年の旅行・観光開発力の調査で初の1位となりました。新型コロナで外国観光客の受け入れは停止していますが、交通インフラや文化面などが評価されたようです。

日本は世界的にも有名な観光国でもあり、今後の海外からの潜在的な観光需要は大きいと考えられます。

円安がインバウンドを後押し

インバウンドの増加は円安がさらに後押しをします。一つの例ですが、タイのバンコクではタイバーツを日本円に換金する方がとても増えているそうです。

昔私がタイに旅行にいった時と比べて最近はバーツ高になっています。つまり現在タイの国民から見れば日本円を有利なレートで換金できる訳です。

円安によってインバウンドが増えるだけではなく国内における消費の高まりも期待できますので、日本の経済的にはGDPにも貢献の役割を果たしてくれる訳です。

インバウンドがマンション投資に与える影響は

外国人観光客の受け入れの緩和と言ってもまだ一部の事であり将来の事は断言できませんが、今後順調にインバウンドが回復すれば日本経済の回復も早まる可能性もあります。

インバウンドが増加すれば商業施設などサービス業なども活性化し、出店数の増加により雇用が拡大され就業人口の増加が期待されます。サービス業で働く方が増えてくれば、それだけ賃貸の入居者も増えてきます。また商業施設の多い駅の近くなどの住宅需要も増加する可能性もあります。

全国求人情報協会によると4月の求人広告件数は6割も増しているそうです。また飲食店の出店が増加しているとの報道も見られ、アフターコロナを見越して出店数、求人広告は既に先行して動いている事が分かります。

観光地を始め、サービス業等は商業地が特に活性化するので、ワンルームマンション用地と立地が重なる傾向があり、好立地の商業地などの土地需要も増加する可能性もあります。 入国者の制限が今後徐々に拡大されれば、コロナ前のような銀座の中央通りに外国人の観光バスがずらっと並ぶような光景の再現もそう遠くはないかもしれません。

この2年間どんよりと曇った世の中がインバウンドによって明るい兆しを作ってくれる要因になり、それが日本の経済、さらに不動産業界、そして投資系不動産業界にも良い影響が生じるのではないかと考えます。

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