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最新東京マンション事情【プロが教える不動産投資コラム】

東京のファミリーマンションの価格が上昇を続けています。こうした不動産価格の上昇は投資マンション市場にどのような影響を与えるでしょうか。

経済動向なども含めてマンション投資市場への影響を考えてみたいと思います。

東京のマンション市場が大きく変動

近年は世界的な金融緩和の進展により株価のみならず不動産・金を始めとする多くの商品価格が上昇しています。近い所ではロシアウクライナ情勢の影響もあり私達の食品において大切な小麦粉相場も上昇しています。

米国における消費者物価指数の上昇スピードが若干落ちたという事で、金利上昇圧力も緩やかになるという憶測により為替が一機に130円台に突入するなどボラティリティの動きが激しくなっています。

世界的な緩和マネーは多くの主要都市の不動産価格を押し上げていますが、東京においても例外ではありません。

筆者は長年全国の不動産事情を見てきましたが、現在の東京都心のマンション市況はまさに国際水準に近くなっていると言っても過言ではありません。

首都圏のマンション価格は過去最高に

ファミリーマンションの価格が上昇しています。不動産経済研究所の調べによると、2021年の首都圏の新築マンションの平均価格は6,260万円とバブル期を抜いて過去最高となりました。㎡単価は93.6万円でした。東京都の平均価格はさらに高く8,293万円で、㎡単価は128.2万円となりました。

マンションなど不動産価格が高騰していたバブル期の1990年の首都圏平均価格は6,214万円で、その当時はあまりの高さに驚いたものですが、現在はそれよりも高くなっているという訳です。

こうした価格高騰の要因は様々ですが、高額物件の増加も要因の一つとなっています。

都内では億ションが次々と誕生

大手不動産会社が分譲した六本木の檜町公園近くのマンションなど何十億もするような物件もありその高額さに驚きましたが、2020年に入ると原宿のラフォーレ原宿の裏手に1戸67億と言われる高額マンションが出現して話題となりました。

現在発売中の新築マンションを見てみると多くの億ションが発売されており、4億円や5億円のマンションなども普通に見られます。

不動産経済研究所の調べによると2021年に首都圏で発売された1億円以上のいわゆる「億ション」は2,634戸で、3億円以上のマンションは126戸ありました。渋谷区、文京区では最高価格が5億円以上のマンションも発売されています。

2021年の東京都区部で発売された新築億ション

価格戸数
1億円以上2,150戸
2億円以上358戸
3億円以上126戸
合計2,634戸
<不動産経済研究所「全国マンション市場動向」より作成>

2021年 東京都区部の各区の新築マンション最高価格

価格
5億円台文京区、渋谷区
3億円台港区、目黒区
2億円台千代田区、中央区、江東区、品川区、世田谷区
1億円台新宿区、台東区、杉並区、豊島区
<不動産経済研究所「全国マンション市場動向」より作成>

金融緩和の影響は

このようにマンション市場が好調な要因として「低金利」が挙げられます。

欧米などで次々と金融引き締めが行われる中、日銀は10月28日の金融政策決定会合で金融緩和の継続を黒田総裁が発表しています。これは円安が日米の金利差が要因であるという見方もある事から金利の動向について注目が集まっていたからです。

昔の住宅融資向けの公的金融機関である住宅金融公庫では、金利5.5%の時代が長く続いたので、現在は金利がいかに低いか分かります。こうした低金利によりファミリーマンションの購入のすそ野が広がっているのが現状です。さらに夫婦ともに収入の高い「パワーカップル」などは高額マンションの購入層ともなっています。

価格の安定している東京の投資マンション市場

このように大きく変動しているファミリーマンション市場に対して、東京の投資マンション市場は比較的安定している事が特徴です。

都心部の価格が上昇しているので、立地は都心周辺の交通利便性の高いエリアにシフトしており、利回りや価格はそれほど大きく上昇していないと言えるからです。

その背景にはワンルームマンションの入居者の多くは20~30代のサラリーマン層が支えています。新築のワンルームマンションの価格設定はその物件からどの程度家賃を得る事ができるかという収益還元法に基づいていますので、利回りと家賃収入の関係からするとマンション価格も安定的に推移する傾向となります。

但し今後サラリーマン層の給与水準が上昇すれば「賃料アップ→マンション価格上昇」というシナリオも十分に考えられます。

首都圏の投資用マンション価格の推移

2020年2021年2022年
平均価格3,176万円3,132万円3,221万円
㎡単価120.2万円116.9万円120.7万円
<不動産経済研究所「2022年版 投資用マンション市場動向」より作成>

円安で海外からの投資が増加

東京の不動産市場に影響を与えるのは海外投資家の存在です。渋谷の再開発にノルウェーのファンドが投資参画した事も記憶に新しいですが、近年でも海外からの投資が増加しています。

大手不動産調査会社の調べによると、2022年1~9月のインバウンド投資は前年同期比11%増加しているとの報道もあります。

円安で日本の不動産が購入しやすくなっており、こうした海外からの投資マネーの流入は今後東京などの不動産価格を上昇させる要因ともなっています。

富裕層増税の影響は

現在の税制は累進課税となっていますが、金融資産には一律20%の分離課税のため金融資産の多い富裕層に有利な税制になっているとの指摘もあります。これは所得が1億円を超えると実質的に税の負担が下がるため「1億円の壁」とも呼ばれており、税の不公平感が問題となっています。こうした点を解消するために超富裕層への課税強化が検討されているとの報道もあります。

今後、富裕層への増税が進めば、こうした富裕層による投資資金が不動産に流入する可能性もあります。

これまでマンション投資の需要層は中堅のサラリーマン層などでしたが今後は新たな不動産投資層が出現する事になり、投資マンション市場が活性化する可能性もあります。

今後マンション投資市場はどう動くか

現在、新型コロナの影響もまだ残っていますが、このようにマンション市場は大きく動いています。今後の不動産市場を占う不動産市況ID(全国宅地建物取引業協会連合会調べ)は7期連続でプラスとなっています。これは3ヵ月後の見通しを4半期ごとに算出したもので不動産市場が堅調に推移している事を示しています。

今後は、インバウンドの増加やホテル・商業施設などとの用地競合などで投資マンションの価格上昇要因も予見されますが、現在は、東京などの投資マンション市場は比較的安定しており、将来の資産形成のための投資にも適している時期と言えるのではないでしょうか。

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