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都心部・臨海地域地下鉄構想と不動産投資【プロが教える不動産投資コラム】

2022年もあっという間に年末に近づきつつあります。新型コロナにおいては2類から5類への変更が議論されていますがコロナと共生しながら社会経済活動の領域が広くなればよいと考えます。

今回のコラムでは不動産投資をする上で大切なポイントの一つである資産性に直結する新線計画と周辺への影響について述べてみたいと思います。

東京駅から東京臨海部への鉄道計画案が発表される

東京都から2022年11月25日に「都心部・臨海地域地下鉄構想 事業計画検討会<事業計画案>」が発表されました。

「東京(仮称)」駅を起点として「有明・ビッグサイト(仮称)」までの6.1㎞、合計7つの駅が新設される予定です。

新たに建設される駅は「東京」駅から「新銀座」「新築地」「勝どき」「晴海」「豊洲市場」から「有明・東京ビッグサイト」(いずれも仮称)となっています。東京駅から湾岸部を結びます。

まだ計画段階ですが、東京都心部にこれほど多くの新駅が新設される事は過去に事例がなく大きなニュースと言えます。

東京都の資料によれは2040年までの実現を目指すとされていますので、実現されれば不動産市場にも大きなインパクトを与えるのではないでしょうか。

<東京都「都心部・臨海地域地下鉄構想 事業計画検討会「事業計画案の取りまとめ」について」>

臨海部の発展は東京都の将来性にもつながる

東京都の小池都知事は「臨海部は大規模な再開発が進んで世界から人と投資を呼び込むエリア」としており「ベイエリアの鉄道網を充実させる事で東京を持続可能な都市にしていく」と説明しています。東京都では早期の実現に向けて検討を進めるとの事です。

東京都の進める6路線は既に発表されていますが、さらにこの「都心部・臨海地域地下鉄が加わった事になります。

湾岸部は東京や銀座などからも近い立地にありますが、現在も未利用地もあり「今後大きな発展の期待できるエリア」です。交通の発達により都心周辺からの広域的なアクセスが向上すれば、「周辺部の住宅需要の活性化」にもつながるのではないでしょうか。

東京湾岸部では発展が続く

こうした新線建設の背景には湾岸エリアの発展も挙げられます。豊洲を始め湾岸エリアでは開発が進み急速に発展してきています。

ベイエリアでは東京五輪の際の晴海の選手村がマンションとして売り出され話題になりました。東京五輪の延期により引き渡しが遅れ問題となっていましたが、この新線計画が実現して晴海エリアの交通利便性が高まればマンションの資産価値も一気に上昇する可能性もあります。

まさにマンションの資産価値と交通インフラの関係は重要だと認識できます。

豊洲エリアには「ららぽーと豊洲」が2006年に開業、「豊洲市場」が2018年に開業し、周辺はタワーマンションも建ち並ぶ立地となっています。

有明エリアでは「東京ビッグサイト」の他多くの物流施設やホテル、「フジテレビ本社」や「ダイバーシティ」などの商業施設などのあるエリアです。

また「築地」は築地市場の移転により将来的に発展が期待できるエリアです。「勝どき」は「もんじゃ」で有名な月島も近く、また晴海は多くのタワーマンションが多く建ち並び居住人口の多いエリアです。

筆者も豊洲エリアなど湾岸エリアで三井不動産、三菱地所、東京建物など大手不動産会社のタワーマンション購入セミナーの講師として講演を数多くさせて頂いた経験があります。当時から15年以上経過していますが、今なお発展しています。

こうしたエリアが東京駅に直通となれば、その交通需要もさらに拡大すると見込まれます。

豊洲からは有楽町線の延伸計画も

湾岸エリアの鉄道では、この他にも東京メトロ有楽町線「豊洲」駅からは路線が分岐して「住吉」駅への延伸が計画されています。

これは「豊洲」駅から東西線「東陽町」駅を通り都営新宿線・東京メトロ半蔵門線の「住吉」駅まで延伸するものです。

さらに将来的には「住吉」駅から「押上」駅やその先へも延伸が検討されています。

東京東エリアから都心や湾岸部へのアクセスがますます向上する可能性があります。こうしたエリアの不動産価格の上昇につながる可能性もあります。

「つくばエクスプレス」との接続

現在つくばエクスプレスは「秋葉原」駅が起点となっていますが、平成28年の交通政策審議会答申では都心部臨海地域地下鉄構想を一体で整備し直通運転を含めた事業計画について検討する事を期待と述べられています。

つくばエクスプレスは東京の東から北にかけて東京から埼玉・千葉・茨木など広範囲を運行する路線です。「東京」駅まで延伸が実現すれば沿線の利便性も大きく向上します。

「羽田空港アクセス線」との接続

羽田空港から東京・新宿方面などの運行が予定されている「羽田空港アクセス線」は新木場方面への運行も計画されており、臨海部や首都圏の国際競争力をより強化するため、都心部・臨海地域地下鉄の羽田空港への接続を今後検討の方向を示しています。

羽田空港から湾岸エリアへのアクセスが向上すれば、将来的にはインバウンドを始め来訪社が増加する可能性があり、また多くのエリアから羽田空港へのアクセスが向上します。空港へのアクセスが良いという事はビジネス旅行においてもとても有効となります。

例えばビジネスにおいてはそれだけ人と会う機会も増えビジネスチャンスが拡大する訳です。また観光も同様に多くの都市や観光名所に行きやすくなる訳です。

日本においては福岡空港が都心エリアへのアクセスが非常によく、そのようなエリアはさらに発展する可能性が高いと言われています。

今後長期的には横浜や神戸のように東京のベイサイドが大きく発展するのではないでしょうか。

再開発の進む「東京」駅周辺エリア

東京駅周辺は日本を代表するビジネス街である丸ノ内、大手町に加え八重洲エリアでもだ規模な再開発が進み、日本一の高さとなる「トーチタワーの建設も進んでいます。

さらに日本橋エリアでは首都高速道路の地下化に伴い周辺の大規模再開発の計画もあります。

銀座エリアからは築地市場の再開発が進んでおり、こうした東京~銀座エリアから湾岸エリアまでは「都市再生緊急整備地域」にも指定されており、将来的には大きなビジネス・商業ゾーンが形成される可能性もあります。

<内閣府「都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域の一覧」>

このように東京では東京駅や湾岸部を中心に羽田空港や東京東エリアなので鉄道ネットワークの構想が進んでいます。広域的なエリアで交通利便性が向上すれば、それだけワンルームマンションの立地として適したエリアが広がる事になります。

東京に不動産投資をするという事はこうした公共の交通インフラの恩恵を受け、マンションの利便性や資産価値を向上させる事ができると言えます。

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