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「桜丘」エリア再開発でますます発展する渋谷エリア【プロが教える不動産投資コラム】

新型コロナも2023年5月より2類から5類へ変更が決まり、にわかに街中における人の流れに活気が感じられるようになってきました。そこに各都心エリアの街の再開発がからみ、より一層経済にも良い影響が出る事が期待されます。東京都心エリアでは多くの再開発が進んでいますが、「渋谷」駅周辺でも「100年に1度」と言われる程の大規模な再開発が進んでいます。

筆者は2023年2日9日に行われた東急不動産発表の渋谷駅桜丘口地区における再開発事業の記者発表会に参加させて頂きました。このプロジェクトを含め渋谷エリアの将来性について検証してみたいと思います。

渋谷桜丘口エリア再開発の名称が「渋谷サクラステージ」に決定

記者会見の当日は多くのメディアが参加し、開発プロジェクトの目的、新名称のロゴ発表、プロジェクト概要も含めとても興味深いお話をお聞きしました。

「渋谷」駅北側の桜丘エリアは国道246号線を挟んで古からの飲食店などが建ち並ぶエリアでしたが現在は再開発が行われており、プロジェクトの名称は「渋谷サクラステージ」との発表がありました。2023年11月30日に竣工し、以降順次開業して2024年夏にまちびらきのイベントを実施する予定となっています。「渋谷」駅の新改札口も建設される予定です。

A街区(「SHIBUYAサイド」)には地上39階の「SHIBUYAタワー」と17階の「セントラルビル」、B街区(「SAKURAサイド」)には地上30階の「SAKURAタワー」などが建設される予定です。

単なる街づくりではなく、「働・遊・住」を兼ね備えた複合施設、国際競争力の強化に資する都市機能の導入など、とても興味深い情報が盛りだくさんでした。

「代官山」にも近く今後は大きな発展と就業人口の増加が予想されます。

プロジェクト地区平面図<資料:東急不動産株式会社>

渋谷エリアの再開発の歴史は

「渋谷」駅は歴史も古く1885年(明治18年)に日本鉄道の駅として開業しています。その後は玉川電気鉄道玉川線(東急玉川線)や今の東急東横線が開業、京王井の頭線や今の銀座線も開業しました。現在は多くの路線が利用できるビッグターミナル駅として多くの利用者があります。

筆者はサラリーマン時代を通じてその大半を渋谷区で過ごしました。今回取り壊しが決定した東急百貨店本店の横にバブル時代にあった大京のマンション情報館時代からするとこの30年間における渋谷の発展ぶりには驚くものがあります。

一口に再開発と言っても莫大な時間と地権者との調整も含め大きなプロジェクトとなる訳です。しかも渋谷のすごい所は広範囲に渡り同時多発的に開発が進んでいるという事です。日本国内においてもこれほどの再開発が一気呵成に進むエリアは極めて稀有な存在と言えます。

2000年に道玄坂「渋谷マークシティ」が開業、東口の「東急文化会館」が2012年には「渋谷ヒカリエ」に建替えられました。2017年には宮下公園前の「渋谷キャスト」、渋谷駅南側の「渋谷ストリーム」、東急東横線跡地の「渋谷ブリッジ」、国道246号沿いの南平台の「渋谷ソラスタ」などが開業しています。2019年には「渋谷スクランブルスクエア第I期(東棟)」や道玄坂一丁目駅前地区の「渋谷フクラス」が開業しました。超高層のビルが多く建設され駅前の様子も大きく変わってきています。

渋谷エリアでは現在も再開発が進行中

さらに現在でも渋谷エリアでは大きな再開発プロジェクトが進行しています。

「渋谷」駅前では「渋谷スクランブルスクエア 中央・西棟」が建設されており2027年に完成予定です。また「東急百貨店本店」も1月に営業を終了し、地上36階の複合商業施設「Shibuya Upper West Project(渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト)」として2027年に完成予定です。

「渋谷駅改良工事」も進んでおり2027年に完了する予定です。2027年にはリニア中央新幹線の開業も予定されており、始発駅となる「品川」駅までわずか5駅です。さらに2029年には「羽田空港アクセス線」も開業予定となっており「渋谷」駅から「羽田空港」まで直通のアクセスが可能となります。

周辺でも進む再開発

渋谷エリアの周辺は広域的に見ると多くの再開発が進行しています。

原宿では「神宮前六丁目地区第一種市街地再開発事業」が進行しています。表参道と明治通りの交差点に地上9階のビルを建設し、店舗ほか公共施設などが入り2023年8月竣工、2024年に開業予定です

明治神宮外苑では大規模な再開発である「(仮称)神宮外苑地区市街地再開発事業」が2023年1月30日に着工しています。神宮エリアは1964年の東京五輪の時に「国立競技場」がメインスタジアムとなりました。2021年の東京五輪の際には新たにリニューアルされました。他にも東京体育館、聖徳記念絵画館、神宮球場や秩父宮ラグビー場など多くの施設があります。

また「代官山」エリアでは「代官山町プロジェクト」が2023年秋に開業予定です。

新線「東急新横浜線」の開業も渋谷の発展につながる

東急東横線は「渋谷~日吉」駅間を運行していますが、「日吉~新横浜」駅間を運行する「東急新横浜線」が2023年3月18日に開業します。「新横浜」駅から相鉄線とも直通運転となります。「東急新横浜線」の開業により相鉄線が東急東横線、さらに副都心線にも直通となるなど利便性が向上します。

すでに相鉄線の「都心直通プロジェクト」により2019年には相鉄線とJRが直通となり、「渋谷・新宿・池袋」方面にも直通が可能となっています。

つまり相鉄線沿線は「渋谷」駅直通アクセスが可能となりますので、非常に広範囲のエリアから「渋谷」駅に直通となる訳です。

渋谷エリアの発展が不動産投資市場に与える影響は

「渋谷」駅にはJR山手線、埼京線、湘南新宿ラインの他、東急東横線、京王井の頭線、地下鉄銀座線、副都心線、半蔵門線など多くの路線が運行していますので、こうした渋谷の再開発はその周辺のみならず、沿線上など広範囲に影響をもたらし、「渋谷に直通」の路線沿線の住宅需要が増加し、住宅の資産価値も増加する可能性もあります。

さらに山手線沿線では新宿・池袋・品川・東京などを始め多くの駅周辺で大規模な再開発が進行していますので、山手線の駅周辺の不動産の資産性も高まります。

渋谷区は交通利便性、将来ともに高いエリアで、基準地価を見てみると商業地の地価も新型コロナ発生前までは9%台の上昇率と大きく上昇していました。

しかし2020年には新型コロナの影響で地価上昇率が縮小、2021年には下落に転じますが2022年には1.2%の上昇となりました。

地価はこのように調整局面にありましたが現在でも多くの再開発プロジェクトは予定通り進行しています。2023年以降は新型コロナによる規制の緩和も予想され、さらにコロナ発生前より渋谷エリアの利便性も高まっています。周辺や沿線も含めて渋谷を中心として波紋が広がるように地価や不動産の資産価値の上昇が起こる可能性もあります。

基準地価 商業地の地価変動率の推移

2017年2018年2019年2020年2021年2022年
渋谷区8.6%9.1%9.6%2.7%△ 0.6%1.2%
<国土交通省「都道府県地価調査」>

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