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東京のワンルームマンション賃貸需要安定の理由とは?【プロが教える不動産投資コラム】

マンション投資を行うに当たって「賃貸需要」は重要な要素となります。賃貸需要の高いエリアでは空室率も低く、安定したマンション経営ができるからです。

今回は東京の「賃貸需要」について検証してみたいと思います。

賃貸の需要と供給の関係について

ワンルームマンションを借りる方が多ければ、それだけ賃貸需要は安定していると言えます。賃貸の需要を見るに当たって、東京都の「持ち家率」を見てみましょう。

総務省の発表した最新の国勢調査(2020年)によると、東京都の持ち家率は46.1%で、これは全都道府県の中で最も低い率となっています。東京都は全国でも最も世帯数が多い中で持ち家率が低いので、賃貸需要も非常に多いと言えます。

持ち家率の低い都道府県ランキング

順位都道府県持ち家率
1位東京都46.1%
2位沖縄県46.0%
3位福岡県52.6%
4位大阪府55.0%
5位北海道56.4%
<総務省「令和2年国勢調査」より作成>

東京都の単身世帯動向は

ワンルームマンションの需要層となる単身世帯の動向も重要です。国勢調査によると東京都の世帯数に占める単身世帯の割合は2015年の47.39%から増加し2020年には50.26%と半数以上となりました。単身世帯数は2020年には362万世帯にもなり、それだけ多くの単身世帯住宅の需要があると言えます。

さらに前回調査から46万世帯も増加しています。これは全世帯の増加率の実に87.7%にも相当します。つまり東京都では単身世帯が大幅に増加している事が分かります。

5年間で46万世帯、1年に換算すると9万世帯以上も単身世帯が増加していますので、単身者向けの住宅の需要が多い事が分かります。

東京都の単身世帯の推移

2015年2020年増加率
一般世帯総数6,690,934世帯7,216,650世帯7.86%
単独世帯数3,164,675世帯3,625,810世帯14.57%
単身世帯割合47.39%50.26%
<総務省「令和2年国勢調査」より作成>

増加世帯のうちの単身世帯の割合が多い

2015年から2020年にかけての増加数
一般世帯総数525,716世帯
単独世帯数461,135世帯
増加数のうち単身世帯の割合87.7%
<総務省「令和2年国勢調査」より作成>

都心回帰が進み若い世代の集まる東京都

東京都ではWithコロナの時代を迎えて、都心回帰の傾向にあります。東京都への転入超過人口は増加傾向にあり、2022年の1年間の転入超過数は3万8,023人で前年の5,433人から大きく増加しています。また転入人口自体は2021年には約42万人、2022には約44万人にもなります。

転入超過人口の中でも20代などの若い世代の転入が多い傾向にありますので、ワンルームマンションの賃貸需要も大きいと考えられます。

東京都の転入超過数の推移

2021年2022年
転入超過数5,433人3万8,023人
転入人口420,167人439,787人
<総務省「住民基本台帳人口移動報告2022年結果」より作成>

テレワーク率は徐々に減少に

東京都の発表したテレワーク実施率を見ると、緊急事態宣言のあった2021年(令和3年)8月には65%の実施率がありましたが、2023年1月には51.7%にまで低下しています。

新型コロナ発生によりテレワークが多くなり、東京都心部などから周辺部に転出する方も多くみられる傾向にありましたが、2023年5月からは新型コロナが5類へ移行する事も予定されており、東京への人口集中がますます進む可能性もあります。

安全な住宅の需要の高まり

最近は「犯罪」が増えるなど物騒なニュースを耳にする事も多くなってきました。こうした中で住まいに対する「セキュリティ」が重要となってきています。新築のワンルームマンションでは最新のセキュリティ設備を備えていますので安心度も高いと言えます。オートロックやモニター付きインターホンを始め構造的にも安全性が高く、特にセキュリティを重要視する女性にも需要が高いと考えられます。

またワンルームマンションは災害にも強い事が挙げられます。ワンルームマンションは堅固な鉄筋コンクリート造であり、最新の耐震規制をクリアした安心な構造となっています。マンションは地盤の堅固や支持層まで杭を打つため、液状化などにも強く長期に渡って安心して住めると言えます。

給与水準の引き上げによる需要層の拡大

インフレで多くの物の値段やエネルギー価格などが上昇していますが、給与水準はなかなか上がらない状況が続いています。こうした事から岸田政権は年始に給与水準の引き上げの要請を発表しています。

しかし最近では給与水準の引き上げの傾向が見られるようになってきました。厚生労働省が発表した「令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」によると、全国の企業のうち賃金を引き上げた、また引き上げる割合は85.7%で前回調査の80.7%よりも増加しています。

さらに企業規模別に見ると、5,000人以上の企業では「賃金の改訂を実施した又は予定している」割合は97.3%、1,000~4,999人では92.2%と大企業程高くなっています。

こうした給与水準の拡大は賃貸需要層の拡大にもつながります。

「賃金の改訂を実施した又は予定している」企業の割合

規模100~299人300~999人1,000~4,999人5,000人以上
割合84.6%90.8%92.2%97.3%
<厚生労働省「令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」より作成>

年間を通じてあるワンルームマンションの賃貸需要

さらに賃金の引き上げは大企業だけではなく中小企業にも広がる期待感もあります。需要層としてはより良質な住宅への転入、例えばアパートに住んでいた方が新築のワンルームマンションへの転居など需要構造の拡大が期待されます。賃貸需要というと春先が一番多くなる季節と世間一般では言われていますが、実は1年の大半の月を通じて安定した需要がある訳です。例えば学生さんや新社会人はスタートは4月からですが、実はその前の年の秋ぐらいから既に企業であれば内定も出ており、早い時期から動く傾向があります。社会人においては9月が中間決算の企業も多く移動の季節となります。そのため法人賃貸需要などは6月位からその調査に入る企業もあると聞いています。

筆者は多くの不動産投資系の企業などで講演させて頂いておりますが、各企業の担当者にヒアリングしても賃貸需要は極めて好調とお聞きしています。

まとめ

このように東京の賃貸需要は多く、マンション経営の安定性も高いと言えます。

さらに東京都では多くの再開発が進行しており、新たなビルの建設による企業の移転などで多くの就業人口の増加が見込まれます。特に大型オフィスビルが建設されると、多くの企業の移転によりそのビルは一つの街と言える程の就業人口が発生します。

但し新規のワンルームマンションの供給は首都圏でも年間6,000~7,000戸程度であり、需要に対して供給数が少なく希少性も高いと言えます。

こうした事から今後もワンルームマンションの賃貸需要は安定的に推移すると考えられます。

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