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マンションの将来寿命と管理【プロが教える不動産投資コラム】

不動産投資はマンション投資も含め長期に渡る投資と言えます。では、マンションには「寿命」があるのでしょうか。

マンションの将来の資産価値とマンションの耐久性、そして人生100年時代にふさわしい「資産寿命の長い」状況を維持するための「管理・修繕」などについて考えてみたいと思います。

マンションは期間の長い投資

マンション投資はもちろん現金で購入する方もいらっしゃいますが、概ね不動産投資ローンを利用する方が多い投資と言えます。

基本的には賃料収入でローンを返済し、ローン返済終了後は賃料収入が年金代わりとなる資産形成です。ローンの返済期間が35年とすると、そのローン終了後もマンションの建物や設備などの機能が維持されている必要があります。

35年後にマンションの資産価値が大幅に低下してしまっては投資として成り立たないからです。

逆に言えば長期に渡って高い入居率を維持でき、一定の経済成長に合わせて賃料の上昇が続くマンションは、経済的な側面から見れば資産価値が続くと考えられます。

マンションの耐用年数とは

まず一つの指標としては、「法定耐用年数」というものがあります。これは税務上の耐用年数を示しているもので実際の耐用年数とは異なります。

いわゆる「帳簿上」の耐用年数という事になり、この年数を過ぎても使用・居住はもちろん、賃貸や売却もできます。

この法定耐用年数は減価償却などの税務上の数値ですので、実際の建物の状態とは必ずしも連動する訳ではありません。しかし構造の違いによる耐用年数の違いは参考になりますので見てみましょう。

木造では20~22年ですが、マンションなどの鉄筋コンクリートは47年と倍以上となっています。あくまでも税務上の数値ですが、木造と比べてマンションは耐用年数が非常に長くなっている事が分かります。

◼︎法定耐用年数(住宅)

建物の構造耐用年数(住宅用)
木骨モルタル造20年
木造、合成樹脂造22年
鉄筋コンクリート造47年
鉄骨鉄筋コンクリート造47年
<国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」より作成>

マンションの実際の耐用年数は

では、実際のマンションの耐用年数はどれ位あるのでしょうか。一般的に鉄筋コンクリート造の建物の寿命は長く、日本に多くのマンションが発売されるようになった高度経済成長期以降の建物はまだ現役の物が多くあります。

2021年末現在で築40年以上(1982年以前)のマンションは全国に115.6万戸、築50年以上は21.1万戸あります。つまりマンションが多く発売されるようになった当時の建物の多くがまだ現役である事が分かります。

東京のヴィンテージマンションの例では、東京五輪の翌年の1965年に竣工した「原宿」駅前の「コーポオリンピア(東京都渋谷区)」は未だに健在です。

さらに近年のマンションは構造・耐震性・スペック・管理共に大幅に向上してきており今後はますますマンションの需要が長くなると考えられます。

マンションの資産価値を維持する「マンション管理」とは

こうしたマンションの性能を支えているのは「マンション管理」です。毎月の管理費により委託した管理会社がマンションの共用部分の管理を行ないます。

共用部分は長期修繕計画に基づき、毎月支払う「修繕積立金」により定期的なメンテナンスが行われ、さらに20年超え位になると「大規模修繕工事」も行われます(実施時期はマンションによって異なります)。

マンションの所有者は全て管理組合の一員となります。また最近では理事会などを管理会社など外部に委託する「第三者管理方針」も進んできています。

この場合の委託した業務状況をチェックする「監事」を管理組合に設置する事などの制度も検討されており2024年3月にガイドラインが取りまとめられる予定です。

また、マンションの修繕については所有者の過半数の賛成が必要ですが、これを出席者の過半数にする事も検討されており、修繕工事もより決定しやすくなる可能性があります。

マンションの耐用年数を決めるものは

このように実際のマンションの耐用年数は長く、60年、あるいは正しくメンテナンスをすればそれ以上とも言われています。実際に木造建築物であっても日本には多くの古い建物なども維持されています。

但し投資用マンションとして考える場合の寿命は、「収益性」がポイントとなります。賃料収入が入る限り投資用物件としての「投資寿命」は続く可能性があります。逆に収益性が低下した場合は投資用マンションとしての寿命となると言えます。

都心などへアクセスしやすい、駅に近いなどの交通利便性、生活利便性などの高い立地にあるマンションは将来的にも需要が多いので、資産価値が高く投資物件としての寿命も長いと考えられます。

反対に住宅需要の少ないエリアでは不動産投資を続ける事が難しくなりますので、建物は健在していても投資物件としては寿命となる可能性もあります。

つまり立地の選定も極めて重要となってきます。

マンションの耐震性能

耐震基準は大きな地震の発生などを機会に改正されてきた歴史があります。

1924年に前年の「関東大震災」を受けて初めて耐震基準が設けられました。1978年の「宮城県沖地震」を契機に1981年に「新耐震基準」が制定され、それ以前の基準は「旧耐震基準」と呼ばれるようになりました。1995年には「阪神淡路大震災」の発生や2000年の「熊本地震」を受けて2017年には戸建てを中心に耐震性が強化されました。

また2024年元旦に「能登半島地震」が発生しました。被災者の方々の一日も早い普及を望みます。

このように住宅の耐震性は大きな地震ごとに強化されてきました。現在、新築の住宅は歴史的に最も耐震性が優れていると言えます。

多くのマンションは地中の硬い層(支持層)まで杭を打っており、その上に建設されますので、地震による液状化などにも強い構造と言えます。戸建て住宅の場合は地面の上に直接基礎を築く場合が多いので、戸建てなどより液状化などの影響を受ける影響は少ないと考えられます。

◼︎マンションの耐震基準の推移

耐震基準
旧耐震基準1950年
新耐震基準1981年

マンションの建替えとは

築年数が大きく経過したマンションが増えるにつれて「建替え」の事例も少しずつ増えてきています。1956年に竣工した日本最初の民間分譲マンションと言われた「四谷コーポラス(東京都新宿区)」は2019年に建替えられました。

建替えの際は合意形成も周到に準備する必要もあり、マンション寿命の長くなりそれほど多くは進んでいない事も現状です。

建替えは議決権者の5分の4以上の賛成が必要となりますが、今後築年数の大きく経過したマンションが増えてきている事から、建物に客観的な問題がある場合はこれを4分の3以上にする案も法制審議会で示されています。また所在不明者は反対票と見なされていますが、これを除く事も示されています。

今後は建て替えも制度の緩和が進むと考えられます。容積率の緩和などの特例を受けられれば費用負担も少なく建替えが可能となるケースも予想されます。

好立地のマンションのエリアは再開発に含まれる場合も

筆者は2017年7月に竣工した「ザ・パークハウス西新宿タワー60」のマンションギャラリーで何度か講演させて頂きました。

当該物件は当時日本一の超高層マンションで敷地面積も広大でした。その広大な敷地の中には戸建て・商業ビル・店舗・分譲マンションなどが元々あった場所です。実はその中に大京が発売したライオンズマンション(ワンルームタイプ)も存在した訳です。

このように駅近の商業地における大規模再開発においてはワンルームマンションが一棟丸ごと再開発に含まれるケースもあります。

これはほんの一例ですが、駅近の商業地は周辺の建物と共同事業化され、ミニ再開発になるケースもあり、そのような意味でも商業地に建設されるワンルームマンションはさらに価値があると考えられます。

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