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区分所有マンションと一棟不動産の違いは?【プロが教える不動産投資コラム】

不動産投資には様々な種類があります。区分所有のワンルームマンションやアパートなどを購入して賃貸収入を得るケースや、土地を所有している方はアパートなどを一棟を建設して賃貸住宅とするケースなど様々です。こうした不動産投資の種類と区分所有マンション投資のメリットなどについて考えてみたいと思います。

景気回復が進み給与水準も上昇に

新型コロナが2023年5月に「5類」に移行し、景気も回復傾向にあります。

2023年5月19日には東京株式市場で日経平均株価は一時3万900円台となり2021年9月の高値を超え、1990年8月以来約33年ぶりとバブル崩壊後の最高値となりました。さらに上場企業も2023年3月期の決算では過去最高を記録しています。

こうした景気上昇と共に給与水準も拡大しています。給与の拡大は大企業を中心として進んできました。大企業の賃上げ率は3.91%と30年ぶりの高水準となった事も報道されています。今後は給与水準の上昇も広範囲に広がっていくのではないでしょうか。

投資への関心も高まる

景気上昇の動きも活発化する中で、将来への投資への関心も高まってきています。

近年は投資の対象の多角化が進んでいます。ビットコインなどの仮想通貨など新たな投資形態が出現したり、個人投資向けにはiDeCoやNISAなども推奨されています。

中でも、「低金利」が続いている事もあり「不動産投資」にますます注目が集まっています。同じ不動産投資でも法人が投資するビルや商業施設、宅地開発などなどの大規模な不動産投資から個人の投資家が投資する区分所有建物や一棟収益物など多岐に渡ります。

個人投資家向けの「区分所有マンション」投資とは

中でもワンルームマンションなど「区分所有マンション」は1部屋から購入できますので、比較的資金が少なくても始められるのでサラリーマンの方などにも人気があります。

一般的な傾向としてワンルームマンションなどは東京、横浜など都心部の駅近の商業地に分譲される事が多く、投資家のニーズもそこにあるようです

投資用マンション市場はコロナ禍でも安定した推移を示しており、首都圏の年間の発売戸数は6千戸前後で推移しています。

全国の貸家(賃貸用住宅)の着工戸数は2022年には約34万戸となっており、全国の賃貸住宅の規模と比較すると首都圏の投資用マンションの発売戸数は規模が小さく希少性も高い事が分かります。

投資用マンション発売戸数

2019年2020年2021年2022年
(1月-6月)
発売戸数5,977戸6,260戸6,028戸3,768戸
<不動産経済研究所の資料より作成>

貸家住宅着工の推移<全国>

戸数
2022年345,080
<国土交通省「建築着工統計調査報告」令和4年計より作成>

アパートなど一棟収益投資とは

「区分所有マンション」より比較的規模の大きい不動産投資としては「一棟収益不動産」があります。不動産会社などが建設するアパートなどの収益不動産を一棟購入して賃貸経営をするものです。

アパート経営のメリットとして下記の4点などが挙げられます。

  1. 戸数が複数戸となるので総収益が多い
  2. 戸当りの建設費は木造の場合、RC造のマンションより安い分、相対的に利回りが高い
  3. エレベーターなどの共用部分がないのでその分の建設費・維持費が安い
  4. 稼働戸数が多ければ空室が出てもカバーできる場合もある

つまり区分所有マンションに比べて大きな投資ができるスケールメリットがあると言えます。

しかしデメリットもあります。

  1. 投資総額が大きくなり、借入額も大きく金利上昇時の影響を受けやすい
  2. 立地によってはアパートの供給増による賃貸需要の減少の可能性もある
  3. 建物や設備の劣化リスクによる修繕費の増大
    • 戸数が多い場合、例えば20部屋あると給湯器なども同時に交換の時期を迎えた場合、一戸当たり15万円としても300万円という大きな資金が動く可能性があるという事です。
  4. 地震リスク
    • 木造の場合、RC造と比較して基礎の構造による耐震性の違い
  5. セキュリティリスク
    • マンションと比較してオートロック、防犯カメラなどが装備さえたアパートもあるが割合が少ない
  6. 一般的に商業地ではなく住宅地に建設されるので容積率などに限界がある場合もある
  7. 価格が大きく流動性に時間がかかる場合がある

つまり規模が多きくなる程ハイリスク・ハイリターンとなる訳です。

また投資額が大きく、資金の借り入れが容易ではない場合や、RC造のマンションと比較して木造の場合には資産寿命が短い傾向にある場合などもあります。

土地活用によるアパート経営とは

同じアパート投資でも、親御さんから相続等で受けついだ土地にアパートを建設して賃貸経営を始める方も多くいらっしゃいます。

では読者の皆様、区分所有のワンルームマンション投資と土地の有効活用の決定的な違いは何でしょうか。それはズバリ、土地の選定(セレクション)があるかないかです。

ただそこに土地があるからという発想でアパートを建設しても、そこにある「マーケットリスク」をよく吟味しないと、空室が増えるなど上手くいかないケースもあるようです。

一棟収益物件は多くの戸数が一極集中しているため、街が発展する場合は全戸が恩恵を受けやすいですが、人口減少や街の衰退化などが起こると逆に全戸が影響を受ける可能性もあります。

マンション投資の立地と分散投資とは

このように不動産投資で重要な要素は「立地」と言えます。

ワンルームマンションは一つの会社に年間を通じて何百あるいはそれ以上の土地情報が入ってきます。その中からそのエリアの資産性、将来性、人口動態、期待利回り、プロジェクトにおける採算性などありとあらゆる角度から分析・検討し着工・発売にいたる訳です。つまり立地と将来性はプロの手によって厳選されている訳です。

さらにワンルームマンションの立地は比較的大都市圏の商業地域に集積しており、商業地の土地は法人・機関投資家など大口の投資が入りやすくその希少性、価値は際立っています。

アパートを1棟購入する場合でも、規模が大きい分、立地の選定にはシビアになる必要があります。

土地の有効活用については土地代がかからないので、利回りは跳ね上がりますが、その土地の「長期に渡る資産性」を吟味する事が大切です。相続対策として始める場合にもそのエリアの特性をよく知る事が重要となります。

リスクを分散するためには一棟収益不動産を何棟か購入して場所と時間を分散できるのであればよいのですが、価格総額が大きいのでなかなか難しいと言えます。しかし区分所有マンションでしたらエリアや購入時期をずらして購入すればリスクが分散する「分散投資」が可能となります。

土地をお持ちの場合は、土地を売却して立地を厳選したワンルームマンションを購入する事も将来性の高い投資と言えます。

このように不動産投資を始める際には立地の選定、リスク分析をしっかりやる事が大切と言えます。

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