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就業動向から考える不動産投資【プロが教える不動産投資コラム】

ワンルームマンションを借りてお住まいになる方の多くは会社員などサラリーマンの方であると思いますが、仕事を持つ女性の方も増えてきています。

働いている方が増えれば、当然住宅需要も多くなります。現在は単身者が多くなっていますので、住宅需要が増えればワンルームマンションなどの単身世帯用の住宅の需要も多くなると考えられます。

今回のコラムでは総務省が2023年7月に発表した「令和4年就業構造基本調査 」から就労動向と不動産投資の関係について検証してみたいと思います。

全国の就業者数は増加傾向に

では最初に全国の就業人口の動態から見てみましょう。

全国の就業状態を見ると、就業者数は増加しており、2017年の6621.3万人から2022年は6706.0万人と84.7万人の増加となりました。過去20年間の推移を見ると2002年の6500.9万人から2012年に一時減少したものの、ほぼ増加傾向にあると言えます。また2022年の就業率は60.9%と60%を超え、2002年以降で最も高くなりました。

15歳以上の就業者数の推移

2002年2007年2012年2017年2022年
有業者数6500.9万人6597.8万人6442.1万人6621.3万人6706.0万人
有業率59.5%59.8%58.1%59.7%60.9%
<総務省「令和4年就業構造基本調査 」よりオフィス野中作成>

※割合は15歳以上人口(以下同じ)

女性の就業者数が増加

こうした中でも近年の特長として就業している女性が増加している事が挙げられます。女性の就業動向を見てみると、2017年の2913.9万人から2022年は3035.4万人と121.5万人も増加しました。

過去20年間では2002年の約2697万人から2022年には3035万人と約337万人も増加しました。女性の就業率を見ると、2022年には53.2%と2002年以降最大となっています。

男性の就業者は女性とは逆に2017年の3707.4万人から2022年は3670.6万人と36.8万人の減少となっています。

つまり働く男性が減少し働く女性が増加している状況となっている事が分かります。

就業者数の男女別推移と増減数

2017年2022年増減数
総数6621.3万人6706.0万人84.7万人
男性3707.4万人3670.6万人△36.8万人
女性2913.9万人3035.4万人121.5万人
<総務省「令和4年就業構造基本調査 」よりオフィス野中作成>

<女性>の就業者数と就業率の推移

2002年2007年2012年2017年2022年
就業者数2697.5万人2780.3万人2767.6万人2913.9万人3035.4万人
就業率47.9%48.8%48.2%50.7%53.2%
<総務省「令和4年就業構造基本調査 」よりオフィス野中作成>

年齢別の有業率

さらに就業者を年齢階級別に見ると、ここでも女性の就業率が増加している傾向が見えてきます。

2022年の就業率は、男性は25歳から59歳までの年代では90%を超えています。女性は25~29歳の年代が最も高く85.1%、30~34歳では81.0%、35~39歳では78.7%に低下、40~19歳で80%台と男性と比較して若干低くなっています。

しかし前回調査の2017年と比較してみると、男性の就業率は20~44歳の年代においてその割合が減少していが逆に女性は増加してきています。

特に30~34歳の世代では就業率が7.0ポイントも増加し、さらに35~39歳では5.8ポイント、40歳代でも3ポイント増加しているなど全年代において就業率が増加し、その中でも特に若い女性の就業率が高くなってきている事が分かります。

年齢別の有業率(2022年)

総数男性女性
20 ~ 24 歳69.6
(1.0)
67.8
(△0.2)
71.5
(2.3)
25 ~ 29 歳87.7
(0.8)
90.2
(△0.1)
85.1
(3.9)
30 ~ 34 歳86.5
(2.8)
91.9
(△1.2)
81.0
(7.0)
35 ~ 39 歳86.0
(2.7)
93.0
(△0.5)
78.7
(5.8)
40 ~ 44 歳86.8
(80.1)
93.3
(1.3)
80.1
(△0.5)
45 ~ 49 歳87.4
(1.7)
93.5
(0.2)
81.2
(3.3)
50 ~ 54 歳85.8
(0.9)
92.8
(△0.2)
78.8
(2.0)
55 ~ 59 歳82.6
(1.7)
90.7
(△0.7)
74.6
(4.2)
※()内の数値は2017年とのポイント差

女性の役員を30%目標、今後は女性目線が重要に

このように働く女性が増えていますが、政府は今後、男女共同参画の推進として女性役員の比率を30%以上にする事を目指しています。女性役員が増えれば、ますます女性も働きやすい職場となり、女性社員も増える可能性もあります。

今後はこうした働く女性の増加を見据えて、ワンルームマンション選びも「女性の目線」が大変重要となってきています。

具体的には、セキュリティを始め使いやすいキッチンやバス、洗面所などの水回りなどの充実、また周辺環境も明るく安全で、生活利便施設も女性向けの店が多いエリアなども好まれるのではないでしょうか。

最も就業率の高い都道府県は東京都

次に都道府県別に就業率を見てみましょう。

全国で最も就業率が高いのは東京都で66.6%となりました。以下福井県、愛知県などの就業率が高くなっています。

就業者数を見て見ると、東京都が最も多く約788万人となっています。次いで神奈川県が490万人で、東京・神奈川を合わせて1278万人もの就業人口があるという事になります。

さらに増加率のランキングでは、沖縄県がトップで5.8%、2位が東京都5.2%、3位が神奈川県で4.4%となっています。

東京・神奈川の就業者の増加率が高くなっており、今後も増加する可能性もあります。

全国の有業率ランキング

順位都道府県有業率
1東京都66.6%
2福井県63.5%
3愛知県62.8%
4滋賀県62.8%
5神奈川県62.6%
<総務省「令和4年就業構造基本調査 」よりオフィス野中作成>

全国就業者数ランキング

順位都道府県有業率
1東京都788.7万人
2神奈川県490.1万人
3大阪府465.1万人
4愛知県406.9万人
5埼玉県390.7万人
<総務省「令和4年就業構造基本調査 」よりオフィス野中作成>

就業者増加率(2017年→2022年)ランキング

順位都道府県増加率
1沖縄県5.8%
2東京都5.2%
3神奈川県4.4%
4大阪府4.0%
5福岡県3.7%
<総務省「令和4年就業構造基本調査 」よりオフィス野中作成>

東京都の単身者の就業者数は

東京都の就業者を年代別に見ると、45~49歳、50~54歳の世帯が多く、ついて25~29の世代が多くなっています。

ワンルームマンションの賃借人となる「単身世帯」の就業者数を見ると、最も多い世代は25~29歳で、次いで30~34歳、20~24歳が多く、「若い世代」の単身の就業者が多い事が分かります。就業者のうち単身世帯の割合を見ても15~19歳は100%と最も多く、20~24歳で94.9%、25~29歳で83.2%と若い世代では、働いている方のかなりの割合が単身世帯と言えます。また30~34歳で58.4%、35~39歳で48.3%と半数前後となっています。

つまりそれだけ若い世代の住宅需要が多く、東京都のワンルームマンションなどの単身世帯用住宅の需要は底堅いものがあると考えられます。

東京都区部の単身世帯の就業者数

総数単身世帯割合
総数3,970,2001,954,30049.2%
20~24歳223,800212,40094.9%
25~29歳447,700372,60083.2%
30~34歳440,100257,20058.4%
35~39歳404,700195,60048.3%
40~44歳424,700172,80040.6%
45~49歳448,900171,10038.1%
50~54歳448,100171,60038.2%
55~59歳385,500136,70035.4%
<総務省「令和4年就業構造基本調査 」よりオフィス野中作成>

まとめ

働く人が増えているという事はそれだけ経済が活性化してきていると言えます。就業人口が増えればそれだけオフィス需要も高まり、地価・不動産価格の上昇にもつながります。

また女性の就業人口が増加してきており、不動産投資をする上でも重要なポイントとなってきています。

東京都は就業人口や就業率が共に高く、さらに有業の若い単身者が多い事から、今後もワンルームマンションの需要は高く不動産投資の立地としても適していると言えるのではないでしょうか。

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