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商業施設の進化がマンション投資に与える影響とは【プロが教える不動産投資コラム】

マンションを選定する際に、立地条件、駅からの距離、建物のクオリティはもとより生活利便性は大切な要素となります。

昔ながらの風情のある懐かしい商店街がある街も多くありますが、近年では都内でも大規模な商業施設が建設される事も多く、周辺や沿線に与える影響も大きくなっています。

こうした商業施設とマンション投資との関係を検証してみたいと思います。

投資マンションでは何を買っているのか

ワンルームマンションの購入につきましては、どうしても価格と部屋の面積に意識が偏りがちですが、マンションは実は部屋以外にも多くの要素を「購入」している事が分かります。

(1)部屋(専有部分)

〇〇マンションの○○号室、○○㎡といった区分所有マンションのいわゆる専有部分を購入する訳です。

(2)共用部分

専有部分以外にもマンションのエントランスホール、エレベーターやエレベーターホール、さらにお部屋のバルコニーなども共用部分ですが、これは持ち分比率で購入している事になります。共用部分の維持管理のために管理費の支出があります。

また土地の所有分もあります。

(3)街・周辺環境や利便性

もちろん街が自分のものになる訳ではありませんが、マンションの周辺や駅からの交通機関などを含めて、マンションと同時に周辺の商店、銀行、飲食店、カフェ、病院、公園など様々な施設・環境なども含めて「生活利便性」などの「生活文化圏」も買っている事になります。また物件の周辺に大規模商業施設があれば、敷地も大きく周辺の新規マンション用地の減少にもつながりますので既存物件の希少性・資産性も向上します。

不動産はその名の通り「不動」なので、その立地も永久的に不変となります。つまりマンションはその「立地」自体を買う事にもなりますので、立地の選定は重要と言えます。

(4)沿線・ターミナル駅などの利便性

最寄りの沿線は通勤などで毎日利用する事になりますので重要です。

さらに近隣や沿線のターミナル駅などに大規模な商業施設があれば、会社帰りや休日などにショッピングも可能で、沿線のイメージアップにもなります。

「住みたい沿線」のランキングなども発表されるように、沿線のイメージは重要です。つまりこうした沿線と沿線上やターミナル駅にある商業施設などの利便性も買っていると言えます。

都心部の大規模商業施設が沿線に与える影響は

こうした生活利便性の中でも都心部の「大規模商業施設」の沿線への影響が注目されています。

かつては「郊外型」の大規模商業施設が多く建設されましたが、現在では「都心型」の大型商業施設も多く建設されています。また大型の商業施設が開業すると周辺の地価の上昇につながるケースも散見されています。

多くの方がショッピングなどで訪れますので、就業人口や経済効果も高く、また周辺にも多くの店が集まり商業エリアが形成されてきます。さらに商業施設によるイメージアップ効果も大きいと考えられます。

つまり都心部の大型商業施設が沿線上にもたらす効果も大きいものがあります。

老舗のデパートのあるエリアは

老舗のデパートのあるエリアとしては「日本橋」「銀座」や「浅草」などが挙げられます。

日本で始めてのデパート(百貨店)は三越と言われています。日本橋三越本店は1904年(明治37年)に開業しました。その後呉服店などを起源とし多くの百貨店も開業しました。現在日本橋では再開発により多くの高層ビルが建設され、商業施設も多く建設されており、大きく発展しています。今後は首都高速の地下化により周辺の大規模な再開発も予定されています。

銀座にも老舗デパートが多く「松坂屋」が1924年(大正13年)、「松屋銀座」が1925年、「銀座三越」が1930年に開業しました。銀座には「みゆき通り」などの高級店が並ぶ通りを始め多くのブランドショップなどがあります。日本有数の一大商業エリアが形成され企業なども多く地価も日本一高いエリアとして有名です。

こうした古くから発展してきたエリアには多くの路線からアクセス可能です。現在も発展しており郊外からの直通運転によって直通できるエリアも拡大しています。

増加する駅ビルと生活利便性

東京や大阪などの主要駅に隣接したエリアにも多くのデパートが解消しています。

さらにテナントの多く入る商業ビルも多く開業しています。駅に直結する駅ビルデパートとして日本で最初に開業したのは「松屋浅草」で1931年(昭和6年)です。浅草は日本初の地下鉄が開業するなど昔から発展していたエリアで、観光地としても有名で地価も上昇に転じています。

現在では駅ビルと言えば「ルミネ」などが有名です。ファッション関係のお店も多く女性にも人気があります。

またルミネに限らず駅ビルの商業施設も多くなってきています。こうした駅構内の商業施設は都市計画法の容積率の緩和によって増加し駅の「街化」が進んでおり、単身者を含めて駅利用者の生活利便性も高まります。

デパートなどの集まる三大駅の商業施設

東京地区の百貨店の売上を日本百貨店協会の発表した東京地区百貨店売上高概況から見ると、東京地区の9月の売上は6.4%のプラスとなり25ヵ月連続の増加となりました。

「新宿・渋谷・池袋」などの都内の駅周辺にも多くのデパートなどの商業施設が建ち並び、東京を代表する商業エリアとなっています。

この3つの駅は多くの路線が利用できる鉄道のターミナル駅となっており都内でも利用者も多い駅です。就業人口も多くこうした沿線上の住宅需要にも寄与していると考えられます。駅周辺のデパートなどのリニューアルなど進んでいます。

(1)渋谷エリア

渋谷の顔とも言える東急東横店、西館・南館は閉店し「渋谷スクランブルスクエア(Ⅱ期)」が建設されます。渋谷駅周辺では「100年に一度」と言われる再開発が進み、駅前のデパートなどは姿を消してビルとなる予定です。再開発ビルには商業施設も併設される事が多く「渋谷スクランブルスクエア(第Ⅰ期)」なども多くの店舗などが入居して多くの人で賑わっています。

渋谷東急百貨店本店は「Shibuya Upper West Project(渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト)」として165mのビルに生まれ変わり2027年竣工予定です。渋谷の街は大きく変貌していく途中にあると言えます。

(2)新宿エリア

新宿駅前には東急歌舞伎町タワーが2023年に開業しました。今後も新宿駅周辺は「新宿グランドターミナル」として再開発が進んでいます。

新宿駅前の小田急百貨店新宿店本館は地上48階の大型施設に変わり2029年竣工予定です。新宿ミロードなども一体となって再開発されます。

京王電鉄は新宿駅前に225mのビルを2028年に開業、京王百貨店も建て替えられ2040年代の開業を予定しています。

このように新宿駅周辺でも駅隣接型のデパート・百貨店は高層ビルと一体となった複合型のビルに生まれ変わってきています。

(3)池袋エリア

池袋は埼玉方面や東京北部からアクセスしやすい事もありショッピングなどで訪れる方も多いエリアです。池袋駅周辺には西武、パルコ、東武やサンシャインシティを始め多くのデパートや商業施設、量販店などが建ち並ぶ商業エリアとなっています。

池袋西武は経営が変った事が大きくニュースなどでも取り上げられました。建替えなどの計画はないようですが、店内は今後は大幅なリニューアルも予想されます。

平日でも多くの方が集まる池袋周辺は再開発も計画されており、今後ますますの発展も期待されます。

今後も増加する商業施設

都内ではいわゆるデパート、百貨店は減少の傾向にありますが、新たに建設されるビル内の商業施設も併設される「複合ビル」が多くなっています。オフィスと商業施設が併設されますので、就業人口の増加だけでなく周辺や沿線の利便性の向上にもつながります。

今回取り上げたエリアだけでなく、東京・六本木・虎ノ門、日本橋、品川周辺などを始め多くの大規模再開発には商業施設も併設され、周辺や沿線の利便性なども向上してきます。

マンション投資の立地を選定する際にはこうした沿線上の商業施設の動向も重要な要素の一つとなります。

都心では次々と商業施設も生まれ変わっていますが、地方では商業施設の閉店も多くなっています。商業施設の発展しているエリアは人口や人流も多く、こうした沿線の不動産の資産価値とも密接な関係があります。

今後の再開発や商業施設などの開業予定などもチェックしてみてはいかがでしょうか。

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