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2024年公示地価から見る東京の最新地価動向【プロが教える不動産投資コラム】

4月に入り東京でも待望の桜の開花も進んできました。この時期は新たな年度の始まりで新しい学校や職場などに通い始める方も多いのではないでしょうか。

この年度の変わり目となる毎年3月の終わり頃に国土交通省から公示地価が発表されます。これは前年1年間の地価の動きを示した統計で、不動産投資においても大変重要な指針となります。2024年の公示地価から東京都の最新の地価動向を見てましょう。

東京都・区部の地価動向は

2024年の公示地価では東京都の地価は住宅地で4.1%、商業地で6.3%の上昇となり、それぞれ前年より上昇率が拡大しました。

東京都区部ではさらに上昇率が高く、住宅地で5.4%、商業地で7.0%の上昇となりました。

東京都の地価は2019年頃までインバウンドによる経済効果や五輪開催の期待、再開発の進行など様々要因で地価が大きく上昇してきました。

その後は新型コロナの発生による行動制限やインバウンドの減少などから地価も調整局面となっていました。しかし2023年に新型コロナが5類に移行、インバウンドも増加してきており東京の地価も再び上昇基調となってきています。

公示地価 地価変動率の推移<東京都> 住宅地

2023年2024年
東京都2.6%4.1%
東京都区部3.4%5.4%
区部都心部4.1%7.1%
区部南西部3.2%5.0%
区部北東部3.5%5.0%
多摩地域1.6%2.7%
<国土交通省「令和6年地価公示」>

公示地価 地価変動率の推移<東京都> 商業地

2023年2024年
東京都3.3%6.3%
東京都区部3.6%7.0%
区部都心部3.1%7.3%
区部南西部4.0%6.7%
区部北東部4.2%6.6%
多摩地域2.1%3.8%
<国土交通省「令和6年地価公示」>

区部都心部:千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、渋谷区、豊島区
区部南西部:品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区、練馬区
区部北東部:墨田区、江東区、北区、荒川区、板橋区、足立区、葛飾区、江戸川区

東京都の区別の地価動向は

<住宅地>

東京都の地価を区別に見ると、住宅地では最も上昇率が高い区は豊島区で7.8%の上昇となりました。豊島区には副都心である「池袋」があり、さらに交通路線が発達し都心部へもアクセスしやすい立地にあります。

「池袋」駅西口では「池袋西口地区市街地再開発事業」が進んでおり、3棟の高層ビルの建設が予定されています。渋谷や新宿などの駅周辺の再開発が進んでいますが、「池袋」駅周辺も今後は大きく発展していく事も期待されます。職住近接でマンションなど住宅の人気も高く地価上昇に結びついています。2位は都心部の中央区、3位は文京区などが続きます。都心に近いエリアも「準都心化」しており地価上昇が波及してきています。

東京都区部 上昇率ランキング<住宅地>ベスト5

上昇率
1位豊島区7.8%
2位中央区7.5%
3位文京区7.4%
4位目黒区7.3%
5位港区7.2%
<国土交通省「令和6年地価公示」より作成>

<商業地>

商業地では台東区が9.1%の上昇でトップとなりました。台東区は後で述べますが、価格上昇率の高い「浅草」を擁するエリアです。インバウンドの回復により浅草エリアの地価が2023年に引き続き大きく上昇している影響から平均で高い上昇率となりました。

2位は荒川区で8.3%の上昇となりました。荒川区は「日暮里」駅から成田空港へもアクセスしやすく、やはりインバウンドの増加が地価上昇に結びついたようです。荒川区は2018年頃にも大きく地価が上昇していますが、これは都心に近い立地にありさらに上野東京ラインの開業で周辺の交通利便性が上昇した事なども要因と考えられます。

3位は中野区で8.2%の上昇です。中野区は「中野」駅周辺で大規模再開発が進行しており街が大きく発展してきています。現在は「中野」駅南口の高層ビルが完成し、駅ビルや南口の線路沿いのエリアの工事が進んでいます。中野の象徴とも言える「中野サンプラザ」も営業を停止し建替えの予定です。今後は中野市役所などと一体開発の計画があります。

筆者のオフィスも中野にありますが、「中野」駅周辺はここ20年間でも最も変わってきていると感じます。また中野駅前には高級賃貸マンションや大手財閥系の1億を超えるファミリーマンションも出現するなど、再開発に伴い不動産の相場も大きく上昇しています。

東京都区部 上昇率ランキング<商業地>ベスト5

上昇率
1位台東区9.1%
2位荒川区8.3%
3位中野区8.2%
4位杉並区8.0%
5位豊島区8.0%
<国土交通省「令和6年地価公示」より作成>

東京都区部の地価の高い地点は

<住宅地>

東京都区部の住宅地で地価が最も高かったのは港区の「赤坂1-14-11」で1㎡当たり535万円となりました。「六本木一丁目」駅や「虎ノ門ヒルズ」駅などが近く、アークヒルズとホテルオークラに挟まれた一等地です。周辺は「麻布台ヒルズ」や「虎ノ門ヒルズ」など大規模再開発が次々と開業している事もあり高価格を維持しています。

2位は千代田区の六番町です。歴史のある高級住宅街であり、ブランドエリアと言えます。以下「白金台」や「南麻布」など都心の高級住宅地が高価格となっています。

こうしたエリアは超高級マンション、外資系企業、ファイブスターを始めとする超高級ホテルの出現などで、限りなく「外国化」しているエリアとも言えます。

東京都区部 高価格ランキング<住宅地>

所在地「住居表示」価格(円/㎡)上昇率
1位港区赤坂一丁目1424番1
「赤坂1-14-11」
5,350,0004.5%
2位千代田区六番町6番1外4,390,0002.6%
3位港区白金台三丁目55番4外
 「白金台3-16-10」
4,260,0006.8%
4位港区 南麻布一丁目35番1外
 「南麻布1-5-11」
3,750,0004.5%
5位港区南麻布一丁目35番1外
 「南麻布1-5-11」
3,700,0009.1%
<東京都「令和6年地価公示価格(東京都分)」>

<商業地>

商業地では上位を中央区の「銀座」が占めました。

銀座は日本でも最も知名度の高い商業エリアとも言えるエリアです。1位の 「銀座4-5-6」は山野楽器のある地点で銀座三越の正面に位置します。1㎡当たり5,570万円で、畳1畳で約9,000万円となる所を歩くのも複雑な気分になります。2位の「銀座5-4-3」は地下鉄「銀座」駅に直結の「エルメス」など高級ブランドの入るビルです。

銀座は高級ブランドショップが建ち並ぶエリアで、地価は高価格となっていますが今後も国内人流の増加やインバウンドの増加などでショップや商業施設などの売り上げも増加すれば、今後ますます地価が上昇する可能性もあります。

5位は新宿三丁目がランクインしました。新宿三丁目は伊勢丹などのある商業エリアです。新宿駅周辺では京王・小田急百貨店の建替えなど大規模な再開発が進んでおり、また国内の人流やインバウンドによる集客の増加などによる商業施設の活性化などもあり地価が上昇していると考えられます。

東京都区部 高価格ランキング<商業地>

所在地「住居表示」価格(円/㎡)上昇率
1位中央区銀座四丁目2番4
 「銀座4-5-6」
55,700,0003.5%
2位中央区銀座五丁目103番16
 「銀座5-4-3」
47,600,0003.5%
3位中央区銀座二丁目2番19外
「銀座2-6-7」
40,900,0003.5%
4位中央区銀座七丁目1番2外
 「銀座7-9-19」
39,900,0003.4%
5位新宿区新宿三丁目807番1外
「新宿3-24-1」
38,000,0003.8%
<東京都「令和6年地価公示価格(東京都分)」>

地価上昇率の高い地点は

では次に価格上昇率の高い地点を見てみましょう。

<住宅地>

住宅地では1位が港区の「芝浦2-3-27」で13.9%の上昇です。この地点はJR「田町」駅や「芝浦ふ頭」駅などに近い湾岸エリアです。2位は「港南3-7-23」で13.0%の上昇となりました。こちらは「高輪ゲートウェイ」駅に近い湾岸エリアです。いずれも大規模再開発の進行している「高輪ゲートウエイシティ」に近く、将来性の高さから地価が大きく上昇していると考えられます。

3位の新宿区赤城下町は「神楽坂」駅に近く、周辺には都心でありながら古くからの商店街があり交通利便性・生活利便性の高さから地価上昇率が高くなっています。

東京都区部 上昇率ランキング<住宅地>

所在地「住居表示」上昇率
1位港区芝浦二丁目1番33
 「芝浦2-3-27」
13.9%
2位港区港南三丁目6番7
 「港南3-7-23」
13.0%
3位新宿区赤城下町69番2外12.7%
4位目黒区三田二丁目205番4
 「三田2-1-5」
10.1%
5位品川区東品川四丁目13番
「東品川4-2-11」
10.1%
<東京都「令和6年地価公示価格(東京都分)」>

<商業地>

商業地で地価上昇率の高いエリアは「浅草」「西浅草」が占めました。浅草は世界的に有名な観光地でもありインバウンドの増加から地価が大きく上昇していると考えられます。1位の 「西浅草2-13-10」はつくばエキスプレス「浅草」駅や浅草ROXなどが近い地点です。2位の浅草1-1-2は「浅草」駅近くの「神谷バー」などがある地点です。西浅草から浅草まで広範囲で地価が大きく上昇している事が分かります。

東京都区部 上昇率ランキング<商業地>

所在地「住居表示」上昇率
1位台東区西浅草二丁目66番2
 「西浅草2-13-10」
17.8%
2位台東区浅草一丁目16番14外
 「浅草1-1-2」
16.8%
3位台東区西浅草三丁目2番10
 「西浅草3-4-2」
15.4%
4位台東区西浅草三丁目15番10
「西浅草3-9-3」
15.2%
5位台東区浅草二丁目52番11
「浅草2-34-11」
14.8%
<東京都「令和6年地価公示価格(東京都分)」>

このように東京の地価は上昇傾向が強まり、新型コロナからの影響を脱してきていると考えられます。

さらに東京では再開発が加速しており2023年には多くのビルや施設が開業していますが、2024年以降も大きな再開発プロジェクトが目白押しとなっている他、リニア中央新幹線を始め新線・新駅計画もあり東京の利便性もますます高まってきています。

また東京への転入人口も増加し、就業人口が増える中、企業も設備投資を増やしオフィス需要も増加してきています。さらに今後インバウンドがコロナ前の水準に回復すれば商業施設の需要もますます増加すると考えられます。

このように地価上昇要因が多い東京では、今後も地価の上昇基調が強まる可能性があります。

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