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東京 陸と空のアクセス 最新情報【プロが教える不動産投資コラム】

日本では訪日外国人の数が大きく増加しています。日本政府観光局の発表によると2024年5月の訪日外客数は304万人で5月として過去最高となりました。3ヵ月連続で300万人を超え、インバウンドはコロナ前の水準に回復してきています。

こうした中で注目されるのが東京のゲートウェイとも言える「品川・羽田」両エリアです。今回のコラムでは品川と羽田の最新状況とマンション投資に与える影響について検証してみたいと思います。

東京サウスゲートと不動産投資との関係は

マンション投資では立地が重要な要素となります。特に交通利便性の高いエリアの需要が高まってきています。

都心部では大規模な再開発が相次いで進行しています。今後さらに発展するエリアのキーワードとして「陸と空」のいわゆる長距離交通網の発展が挙げられます。具体的には新幹線などの鉄道インフラと航空機などの航空インフラです。

こうした交通機関は多くの「ヒト・モノ・カネ」を運ぶ事になり、その起点のエリアは大きな経済の発展も見込まれるからです。

東京では品川駅を中心とした鉄道、羽田空港による空のアクセスがありいずれも東京の南側に位置しています。こうした東京のサウスゲートは今後、東京南部および周辺部の大きな発展も見込まれます。

陸のアクセス<品川・リニア中央新幹線>

1、品川駅とリニア中央新幹線

品川が注目されている一番の理由としましては、何と言っても「リニア中央新幹線」の開業が予定されている事が挙げられます。品川駅は2003年に「東海道新幹線」の停車駅となっており、さらに「リニア中央新幹線」が利用できる事になれば「東京の玄関口」としての役割はますます大きくなっていきます。

静岡県の工事の遅れからリニアの工期延長が見込まれていますが、岸田総理は品川~大阪間の開業について「2037年の全線開業」の目標を堅持する考えを表明しています。

リニア中央新幹線の品川駅の建設も進んでいます。東海道新幹線の下の地下空間に巨大な駅の空間を建設する非常に大規模な工事となっています。現在ある新幹線のホームの基礎を再構築してから地下空間を掘削し新駅を建設します。

リニア中央新幹線「品川」駅は新幹線ホームのさらに下に建設中

2、高輪ゲートウェイの再開発が進む

また品川エリアでは大規模な再開発も進んでいます。

「品川」駅の隣に2020年3月に開業した「高輪ゲートウェイ」駅付近の大規模再開発「高輪ゲートウェイシティ」の建設が進んでいます。筆者も出張時に新幹線の車窓から見える当該エリアの変貌ぶりを目の当たりにして、その変化が実感できます。

再開発エリアは「高輪ゲートウェイ」駅と「泉岳寺」駅に挟まれたエリアとなります。

オフィスやホテル、商業施設が入る複合棟1が「THE LINKPILLAR(ザ リンクピラー)1」の「NORTH」と「SOUTH」、複合棟2が「THE LINKPILLAR 2」と名付けられています。

コンベンション施設も設置されますので国際会議や大規模イベント等に利用できるMICE機能も期待されます。他にトラベルセンターや保育園などもオープンする予定です。

現地は都営浅草線「泉岳寺」駅からもアクセスしやすく、都営浅草線や直通の京浜急行線などの沿線の利用も増加する可能性もあります。

泉岳寺駅では「泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業」も進行しており、駅前に地上30階のビルが2028年に完成の予定です。このように周辺エリアの再開発も加速し、巨大なオフィスビルが建設される事で就業人口も増加しますので、ちょっと大げさかもしれませんが「第2の丸の内」となる可能性もあります。

<出典:東日本旅客鉄道株式会社>
https://www.jreast.co.jp/press/2023/20240305_ho02.pdf

3、東京メトロ南北線の品川延伸

現在「品川」駅にはJRの他には京急線しか接続していませんが、今後東京メトロ南北線が「白金高輪」駅から分岐・延伸して「品川」駅に接続する計画が進んでいます。

東京都の都市計画審議会は2024年5月に延伸について都市計画を承認し、6月には東京都が都市計画を決定する予定です。2030年代半ばの開業を目指しているようです。

現在南北線は「六本木一丁目」などのビジネス街、永田町などの官庁街、「四ツ谷」「市ケ谷」など中央線の駅を通り「駒込」「王子」、さらに「赤羽岩淵」駅から埼玉高速鉄道に直通運転しています。広域エリアから品川へのアクセスが向上します。

4、リニアと今後の経済効果は

製造業の多い中京エリアと金融・ITの中心である東京とが40分でつながる事になれば、まるで一つの都市として一体となった発展も可能となり、世界的規模な経済成長が見込まれる可能性もあります。つまりリニアが開通すれば「東京・名古屋・大阪」が一体となって発展する「スーパーメガリージョン」が実現する可能性があります。交通政策審議会の分析では全国で生産額が8,700億円増加すると推測されています。

リニアは大阪延伸までまだ時間的余裕がありますので、今後長期的に東京サウスエリアは大きな発展が続く可能性がある訳です。つまりサウスゲートにアクセスしやすい沿線の住宅需要や不動産の資産価値も大きく増加する事も考えられます。

空のアクセス<羽田空港>

1、日本一の利用者の羽田空港

羽田空港(東京国際空港)は日本の空港の中でも最も利用者の多い空港です。インバウンドや国内旅行も増加し羽田空港の利用者も増加しています。

2023年度の羽田空港の旅客利用者は国内・国際合わせて約8085万人となり国内トップとなっています。2位の成田空港の3381万人と比較しても倍以上、3位の関西空港2580万の3倍以上の利用者となっています。いかに羽田空港の利用者が多いかが分かります。

筆者も時々海外旅行で羽田空港を利用しますが、空港内の広さの拡大や施設の充実度には驚かされています。まさにアジアのハブ空港としての存在価値も高まってきていると考えられます。

2、「羽田イノベーションシティ」が開業→楽しめる街へ

こうした利用者の増加もあり、京急線・東京モノレールの「天空橋」駅直結の「羽田イノベーションシティ」が2023年に開業しています。商業施設を始め研究開発施設、先端医療研究センター、コンベンション施設などのある先進的な施設です。

羽田空港の見える部屋のある「ホテルメトロポリタン羽田」を始め、無料の「足湯スカイデッキ」や未来型ロボットレストラン「AI_SCAPE」、「GURUNAVI FOODHALL WYE天空橋」など家族やカップルなどでも楽しめるスポットとなっています。

3、羽田空港アクセス線の建設が進む

羽田空港はJRからの直通路線がありませんでしたが、JRが羽田空港に延伸する「羽田空港アクセス線」の計画が進み、2023年から工事も開始されています。

ルートは羽田空港から東京駅方面を結ぶ「東山手ルート」、新宿駅方面を結ぶ「西山手ルート」、湾岸方面を結ぶ「臨海部ルート」が予定されています。

このうち「東山手ルート」が建設中で、東京駅から宇都宮線・高崎線・常磐線からのダイレクトな接続も可能となり、広範囲から羽田空港へ直通アクセスが可能となり2031年度の開業を目指しています。

将来的には、広域から直通で羽田空港へのアクセスが可能となり、また羽田空港からの来訪者も東京を始め各所に行きやすくなると考えられます。

4、新空港線の行方は

大田区では蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶ「新空港線(蒲蒲線)」の開業を検討しています。JR蒲田駅や東急線などから羽田空港へ直通アクセスが可能となります。

大田区の試算によると東京都及び周辺部の経済効果は初年度2,900億円、開業後10年で約5,700億円とされています。現在はまだ検討段階ですが、将来的に実現すれば羽田から蒲田などの東京南側エリアの大きな発展につながる事も期待できます。

今回のコラムでは陸と空の交通アクセスの発展、及び当該エリアの街の発展等について述べさせて頂きましたが、今後は新線や延伸される地下鉄なども含めて経済の構造が大きく転換する事が期待されています。

そうなると地方からの本社機能の移転、ホテル需要、就業人口増加による法人賃貸需要も含め不動産投資としての魅力がますます高まっていくと考えられます。

東京サウスエリアを始め東京全体の発展にも繋がっていくのではないでしょうか。

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