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「人生100年時代」に備える資産戦略。高齢化社会で注目される不動産投資の可能性

2025年のノーベル賞受賞をきっかけに、老化や長寿に関する研究が世界的に注目されています。日本では高齢者人口が過去最高の29.4%に達し、平均寿命・健康寿命ともに延び続けています。

こうした背景の中、老後の生活を支える「資産収入」の重要性が高まっており、長期安定収益が見込める不動産投資が再評価されています。本コラムは人生100年時代において、資産寿命を延ばすための戦略について解説します。

長寿は人類共通の課題

2025年のノーベル賞は京都大学の北川特別教授と大阪大学の坂口志文特任教授が選出され、私たち日本人にとっても大変誇らしいことです。坂口氏は生理学・医学賞受賞という事で、がんや糖尿病、リウマチなどの治療に道が開けるそうです。さらに人間にとって必ず訪れる「老化現象」においてもその時期を遅らせる事も可能になる事が期待されるそうです。

ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席との会談の中で、両国が超長寿社会を目指す研究などについて話題が出たそうです。

長生きはいつでも人類の共通の課題とも言えます。

高齢者数と高齢者割合

我が国の高齢者はどれくらいいらっしゃるのでしょうか。総務省が発表した9月の敬老の日にちなんだ統計によると、我が国の65歳以上の人口は3619万人で前年に比べて5万人の減少ですが、総人口に占める割合は29.4%で過去最高となりました。

なんと日本では約3人に1人弱が65歳以上という事になります。昔では考えられない位の高齢化社会となっている訳です。

日本人の平均寿命は延びている

こうした高齢者の増加は、平均寿命が大きく伸びている事も要因です。厚生労働省の発表した「令和6年簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は男性では81.09年、女性は87.13年となりました。昭和22年には男性で50.06歳、女性で53.96歳でしたので、30年以上伸びた事になります。

日本の高齢化率(65歳以上人口の割合)は1950年にはわずか4.9%で、さらに80歳以上はわずか0.4%と非常にその割合も少なかった事が分かります。高齢化率は1985年に10%台となり2005年には20%となっています。近年急激に高齢化率が高まっている状況です。

日本では「老人の日」※に100歳を超える方へ内閣総理大臣からお祝いと記念品が贈られますが、今年は5万2310人に贈られたそうです。東京都では小池都知事からお祝いがあり、実際筆者の親戚のおじいちゃんも100歳を迎えた時に当時東京都知事だった青島幸男さんから記念品をもらいました。

日本人は昔から長寿を祝う慣習があり70歳では「古希(こき)」、77歳で「喜寿(きじゅ)」88歳で「米寿(べいじゅ)」など、年齢の節目でお祝い事があります。長寿のお祝い事が好きな国民性と言えるのではないでしょうか。

なんと120歳になると2回目の還暦を迎えた事で「大還暦」があり、さらにこれは未だ例がありませんが、250歳では天寿を全うする事から「天寿」と言われるそうです。

※老人福祉法では、「国民の間に広く老人の福祉についての関心と理解を深めるとともに、老人に対し自らの生活の向上に努める意欲を促す」ため、9月15日を「老人の日」と定めています。

日本の総人口と65歳以上人口の割合<2025年9月15日現在>

総人口65歳以上人口割合
1億2320万人3619万人29.4%
<総務省「統計からみた我が国の高齢者」令和7年9月14 日>

日本の65歳以上人口割合の推移

1950年1970年1990年2010年2020年
65歳以上割合4.9%7.1%12.1%23.0%28.6%
<総務省「統計からみた我が国の高齢者」令和7年9月14 日>

高齢者の就業者数は

平均寿命の延びに対応して、高齢者の就業人口が増加しています。総務省の「労働力調査」によると、2024年の65歳以上の就業者数は930万人で過去最多となり21年連続で増加しています。

2024年の男性の高齢者就業人口は538万人で2023年の534万人から4万人の増加ですが、女性の就業者数は391万人で2023年の380万人より11万人増加しています。

2024年の15歳以上の就業者のうち、65歳以上の占める割合は13.7%で、前年比0.2ポイントの増加で過去最高となりました。就業者のうち7人に1人が65歳以上となっています。

人口に占める就業者の割合

また65歳以上の人口に占める65以上の就業率は25.7%で前年比0.5ポイント上昇しています。年齢階層別に人口に対する就業者数の割合を見ると、65~69歳は53.6%、70~74歳は35.1%、75歳以上は12.0%で、いずれも過去最高となりました。

70歳まで半数以上の方が仕事をしている事になります。また70~74歳でも3人に1人が仕事をしており、高齢者の就業が多い事が分かります。

人口が伸びる中で老後の生活費を確保するために働いている高齢者の方が多い事も要因の一つと考えられます。よくコンビニやスーパーなどでも高齢の方が働いていらっしゃいますが、人手不足が問題となる中で、今後は高齢者の方と外国人の労働者がますます多くなってくるのではないでしょうか。

世界の国別にみた65歳以上の就業率

では世界で最も65歳以上の就業率が高いのはどこの国でしょうか。答えは「韓国」で2024年には38.2%にもなりました。日本は韓国に次ぐ2位の25.7%ですが、韓国の高齢者就業率が高い事には驚きます。いずれは日本も65歳以上の就業率が40%に近くなる可能性があるかもしれません。3位のアメリカは18.9%、4位のカナダは14.4%とともに10%台となっており、韓国と日本の就業率の高さが目立ちます。

世界の65歳以上の就業率ランキング

1位2位3位4位5位
韓国日本アメリカカナダイギリス
就業率38.2%25.7%18.9%14.4%11.6%
<総務省「統計からみた我が国の高齢者」令和7年9月14日>

健康寿命と高齢者の就業率

こうした高齢者の就業率が増えた要因として、「健康寿命」が延びた事も挙げられます。厚生労働省の発表によると日本人の健康寿命は男性で72.57歳、女性で75.45歳となっています。つまり男女ともに70歳位までは健康に働ける方が多いと考えられます。

このように健康寿命が伸びた要因として下記などがあると筆者は考えます。

  1. 食事や栄養などが良くなった
  2. 医学が急速に進歩した
  3. 病気にならないように「未病」の意識が高まった

また歳を取っても元気でいる人の共通点として下記などが挙げられると考えます。せっかく寿命が伸びたのなら、ずっと健康で暮らしたいものです。

  1. いくつになっても好奇心が強い
  2. 話が好き、友人などが多い
  3. 1日中テレビを見ている生活ではなく、外出する時間も多い
  4. 生活にオンとオフがある

日本人の健康寿命

男性女性
健康寿命72.57歳75.45歳
<厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」>

今後の高齢者の割合は

今後も高齢者数、高齢化率ともに増加していくと見られています。現在65歳以上人口は3619万人ですが2030年には3696万人、2035年に3773万人、2040年には3928万人、そして2045年には3945万人にまで増加すると予測されています。2050年には若干減少しますが、総人口も減少するため高齢化率は上昇を続け、2050年には37.1%となると予測されています。

65歳以上人口と割合の予測

2030年2035年2040年2045年2050年
65歳以上人口3696万人3773万人3928万人3945万人3888万人
65歳以上割合30.8%32.3%34.8%36.3%37.1%
<総務省「統計からみた我が国の高齢者」令和7年9月14日>

高齢化社会に対応した将来への備え

このように平均寿命が伸びるに従って、就業する高齢者の方が増えてきている事が分かります。また筆者は老後の収入として、「年金収入」「適度な労働収入」そして「資産収入」の3つを推奨しています。

適度な労働をする事で社会との接点があり、身体を動かす事にもなります。また資産収入がある事で歳をとって働けなくなってからも生活に困る事がないように安心した老後を過ごす事ができます。

平均寿命が伸びている中で、将来のための資産形成も「人生100年時代」に対応した「資産寿命の長い」資産を選ぶ事が重要となってきます。

これは長期間安定した資産収入の得られる「不動産投資」が適していると考えられます。ローンの返済が終われば家賃収入が年金代わりとなり、またいざという時には売却すれば大きな収入を得る事ができます。但しこれには将来的に資産価値が落ちない物件を選ぶ必要があります。特に好立地にあるワンルームマンションは将来の住宅需要も安定して見込めますので、長期に渡って安定した資産と言えます。

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