コロナ渦による婚姻意識と不動産投資【プロが教える不動産投資コラム】
2020年は年頭から日本及び世界をコロナが旋風を起こし、世界内外において大きなダメージを与えました。このような状況の中でも、ウイズコロナという考え方が世の中に浸透しコロナを警戒しつつ経済活動を推し進めていくという流れになってきています。
政府による様々な経済政策が奏功し街角景気は少しずつですが指数は上がりつつあります。GO TO キャンペーンの都民バージョンはわずか3分で完売したそうです。
このような景気対策の下、足元では景気回復が少しずつ感じられますが、問題は構造的な経済活動にあります。多くの企業では減収・減益が見込まれ、公務員も人事院の勧告では冬のボーナスも減少傾向となっています。但し業績好調企業も多々あり、その格差は今後さらに拡大して来るでしょう。
このような状況下で20代~40代のいわゆる結婚適齢期の方々の意識に変化が住宅事情にどのような影響を与えるのかを考えてみたいと思います。
婚姻件数は大幅増加から減少に
2019年に元号は「平成」から「令和」に変わりました。
これをきっかけに「令和婚」という事で2019年の婚姻数は大幅に増加し7年ぶりの増加となりました。特に2019年5月に「令和」となった事もあり、5月の婚姻数は9万1560組(前年同月比4万5588組増)とほぼ倍増しています。
またこの流れは2020年も続き、2020年2月には7万2,766組と前年2月の4万3,729組と比較して大きく増加しています。
しかし2020年には新型コロナの影響も大きくなり、3月には東京五輪の延期が決まりました。このような影響もあり3月からは一転して婚姻数は減少となり、4月には緊急事態宣言が発令された事もあり2020年5月には3万2,013件と前年同月比で65%もの減少となりました。
これは単にコロナにより結婚式を延期したという事ではなく、このコロナ渦の先行き不安から結婚自体を先送りする方が増えているかもしれません。
婚姻件数の推移
2020年 | 2019年 | |
---|---|---|
1月 | 35,851 | 40,537 |
2月 | 72,766 | 43,729 |
3月 | 42,220 | 52,299 |
4月 | 37,233 | 36,313 |
5月 | 32,013 | 91,560 |
6月 | 43,166 | |
7月 | 42,463 | |
8月 | 41,658 | |
9月 | 46,106 | |
10月 | 37,104 | |
11月 | 74,689 | |
12月 | 49,432 |
婚姻の減少で未婚率が進むか
婚姻件数が減少傾向にあるという事は、未婚率が増加する事にもつながります。
もともとこの未婚率というのは、地域によってかなり隔たりがあります。
現在2020年の国勢調査は現在進められていますが、前回(2015年)の調査によると、都道府県の生涯未婚率(女性)を見ると最も低いのが福井県、8.66%、次が滋賀県9.21%となり最も高い都道府県は東京都で19.2%という事でした。もちろん東京都は男性の未婚率も高い傾向にあります。
なぜこのような現象が起こるかというと、東京は女性が活躍できる金融、IT、サービスという様々な多くのバリエーションに富んだ産業構造を有する事と、女性が安心して暮らせる街並、オートロック、セキュリティを備えた優良な住宅が多くある事、と言えます。
つまり東京都でワンルームマンション投資をする場合には「女性の目線」が重要となってくる事を意味します。
生涯未婚率(女性)
順位 | 都道府県 | 未婚率 |
---|---|---|
1位 | 滋賀県 | 8.66% |
2位 | 福井県 | 9.21% |
3位 | 岐阜県 | 10.00% |
↓ | ||
47位 | 東京都 | 19.20% |
離婚件数の増加
またこのコロナ渦においてはあまり明るい題材ではありませんが、離婚件数も増加傾向のようです。筆者も先日久々に業界の仲のいい仲間でソーシャルディスタンスをしっかりして5人で飲食を共にしました。驚いたのは、このコロナ渦、約半年の間に二人が離婚していました。実に確率40%です。
日本における離婚率はデータにあるようにもともと1.69%(対人口率)と高い水準ですが、ちなみに2019年の婚姻件数59万9,007件とくらべると、離婚数は20万8,496件で実に34.8%にもなります。コロナの影響かどうか分かりませんが、離婚の件数も増えているようです。約平成30年は20万8,333件からわずかですが増加しています。
現時点で一番新しいデータを見ても、令和2年1月2月が16,000件台だった離婚件数が、3月には23,185件と急増しています。
このような状況の中で、特に20代から40代にかけて結婚をしてあるいは婚姻生活を続けていれば「ファミリー向け住宅に居住すべき需要層」が、自ずと「単身者向けのワンルームマンション、あるいはそれよりも少し広めのコンパクトマンションに居住するという需要」に振り変わっている訳です。
離婚件数の推移(2020年)
離婚件数 | |
---|---|
1月 | 16,209件 |
2月 | 16,305件 |
3月 | 23,185件 |
東京からの転入・転出状況に変化が
コロナによって都心に通勤する必要性が低くなり、郊外の古民家やその種の住宅に転居する方もいるそうですが、そのような転出人口と新たなシングル需要層が相殺して東京圏の単身者向け住宅の需要は安定して方向に向かうのではないでしょうか。
東京都の人口は近年転入超過が続きましたが、2020年に入り新型コロナによるテレワークなどの影響もあり転出超過となる月も多くなってきました。2020年の5月、7月、8月が転出超過となっています(8月までの統計)。
さらに東京全体の人口から見れば転出超過も割合的にもごく僅かと言えます。 今後は東京から転出超過となる可能性もありますが、いずれは落ち着きを取り戻すと思われます。また東京都内において本当に自己満足度の高い住宅に居住している方程、転出の可能性も低いと言えるかもしれません。
今後の住まいのエリア選択はやはり交通利便性を重視に
東京都周辺の人口移動状況と見ると、東京都からの転出者の前年同月比では神奈川、千葉、埼玉などの件が多くなっています。
つまり東京から転出するといっても、遠い田舎に引っ越す訳ではなく、ある程度都心への交通アクセスも確保できるエリアに移動しているといった状況ではないでしょうか。
テレワークと言え、都心に出る必要もありますし、用事や買物、レジャーなどで都心に出かける場合にも、交通アクセスも重要となってきます。
特に不動産投資としての立地の選定においては長期の目線が大切で、世界の大型ファンドから大胆な投資が続く東京の成長性は継続されますので、そのような視点で不動産投資をする事が大切と考えます。