今後どうなる地価動向【プロが教える不動産投資コラム】
新型コロナのワクチン接種がイギリスでは12月8日から始まりました。ロシアでも医療関係者などを中心にすでに接種が開始されています。日本でも国民全員が無料で接種できる「改正予防接種法」が12月2日に成立しています。
新型コロナが不動産投資市場に与えた影響と今後の予測を地価を通じて検証してみたいと思います。
地価LOOKレポート発表される
最新の地価動向を国土交通省が年に4回発表している「地価LOOKレポート」から見てみましょう。
これは全国主要都市の高度利用地区の地価動向についてその動向を発表したものであり、公示地価や基準地価とならんで、地価の指標となっています。
最新の地価動向は2020年3期(7/1~10/1)が発表されています。
レポートから東京圏の地価動向を見てみると、
令和元年第4四半期はまだその時点でコロナの影響はほとんど受けておらず、上昇地点が多くみられました。
令和2年第1四半期においてもコロナの影響はほとんど顕在化していませんでした。
しかし、令和2年第2四半期になると新型コロナの影響も大きくなり、上昇地点はなくなり横ばいの地点が最も多くなりました。直近の令和2年第3市半期においては横ばいが大半で下落地点も若干増えましたが、下落地点の内訳は下落率が3%未満の地点が多くを占めています。 今後コロナが落ち着いた局面ではまた横ばいから上昇というトレンドに入る可能性も秘めています。
リーマンショック時の地価動向は?
これを「リーマンショック」後の経済危機を迎えた2008年から2009年にかけての時期と比較してみます。
2007年のリーマンショックの発生により、世界はもとより日本の地価も大きな影響を受けました。
この当時の地価動向を見ると下落地点が多くを占めましたが、その後の世界的な金融緩和により、日本においても特に三大都市圏においては海外の有力なファンド、国内の有力不動産会社が5年とか10年というタームで考えた場合そこに割安感が台頭した事により取引件数も増加し地価は上昇局面を迎えました。
その当時の特色としては土地も「取引事例法」から「収益還元法」という考え方に基づきその地価の割安感が明確になった事がリーマンショック後の地価に影響を与えた事は明白です。
現在地価は高止まり状態
現在地価は「横ばい」地点が最も多くなっています。近年地価は上昇が続き、都心部を中心にかなりの高値となっていました。つまりコロナ渦によって上昇は止まりましたが、依然「高止まりの状況」にあると言えます。
また地価下落地点を見ると、都心のいわゆる「繁華街」が多くなっています。人が多く集まる場所の地価の影響が出ていようです。これに対してオフィス街・住宅地などは横ばいとなり、依然不動産需要が高い事が分かります。
また地価は一部のエリアで下落が見られますが、例えば都内の一等地においては売り物が出れば即座に購入の判断を下す投資家はかなり多く蓄積していますので、地価は高止まりする可能性を秘めています。
東京への不動産投資が増加、今後上昇へ転じるか
厚生労働省は新型コロナワクチンの接種を2020年度、つまり2021年の4月までに実施する方針としています。
東京五輪開催に向けて強い意志が感じられます。新型コロナが収束すれば、訪日外国人なども増加し、止まっていた地価の動きも一気に上昇に転じる可能性もあります。
さらにこのコロナ渦の中で、東京への不動産投資が大きく伸びています。不動産サービス大手、ジョーンズラングラサール(JLL)の調査によると、東京の商業用不動産投資額が2020年1~9月には193億ドル(2兆円)と世界1位になったとの報道もあります。
これは世界的に見ても日本の新型コロナの影響が少ない事が影響していると見られています。また投資先として、巣ごもり需要で躍進している「物流施設」、安定した賃料収入の得られる「住宅」などへの投資割合が多いとの事です。
東京は日本の経済の中心である事から、今後も不動産投資資金が多く流入する事も予想されます。
地価が落ち着いている今こそマンション購入のチャンス
新型コロナの影響もありますが、逆に株価は高値が続いています。12月始めには30年ぶりの高値を記録しています。
都心では再開発も進んでおり、新型コロナで抑えられていた不動産需要も、ワクチンの接種開始などで大きく動く可能性もあります。
新型コロナ渦でも東京圏の地価が大きく下落とならないのは、東京の経済力、再開発による将来性、そしてコロナ収束後を睨んだ思惑など様々な要因があります。 2021年にコロナ収束・東京五輪開催・訪日外国人の復活となれば、リーマンショック後に大きく地価が上昇したように、地価が再び上昇軌道に復帰する確率は高いと言えるのではないでしょうか。