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賞金50億円超!加熱するeスポーツ界のお金事情や日本と世界の格差を解説

近年世界中で急成長しているeスポーツ市場。日本では、アジア版オリンピックと言われるアジア競技大会においてeスポーツが正式種目に採用された2018年頃から注目度が高まり、多くの日本人プロゲーマー(eスポーツ選手)も活躍するようになりました。

2024年1月に角川アスキー総合研究所より発売された「日本eスポーツ白書2023」内のデータによると、2022年の国内eスポーツ市場は125億円を突破。今後も年平均20%を超える成長率で拡大し、2025年には200億円を超えることが見込まれています。

対する世界の市場規模を見てみると、米Statistaのデータによれば2022年時点で14.5億ドル(約2239億円※)。同時期の日本市場は世界市場の10%未満にとどまっています。

※1ドル154.38円(4月19日 7時時点のレート)で換算した場合。以下同様

しかしながら、世界有数のゲーム先進国として知られており、ゲーム人口も多い日本におけるeスポーツの潜在需要は大きいと考えられています。今後、選手・ファンの増加や大会規模の拡大、環境整備によって高成長が続いていくでしょう。

そこで気になるのが、eスポーツとお金の関係性です。

本記事では、eスポーツのプロ選手としての稼ぎ方や国内外の大会賞金額などを解説します。

1億円以上を稼ぐプレイヤーも!eスポーツ選手の収入源

eスポーツとは、コンピューターゲームやビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉えたものです。野球やサッカーといった伝統的なスポーツと同様に、プレイヤーとして活躍する「eスポーツ選手」とその選手が競い合う「大会」、そして彼らの対戦を観戦する「ファン」が存在します。

eスポーツ選手の収入源も、ほかのプロスポーツ選手のそれと大差ありません。

  • 大会に出場して賞金を獲得する
  • プロのゲーミングチームに所属して報酬をもらう
  • イベント・メディアに出演して出演料をもらう
  • 企業と契約してスポンサー収入を得る
  • ゲームトレーナーとして指導料をもらう(講演会、セミナー、専門学校での授業など)
  • 動画配信サイトにゲーム実況動画を投稿して広告収入を得る など

eスポーツプレイヤーの推定平均年収は約400万円だと言われています。ただし、副業として数万円稼ぐ人もいれば数千万円稼ぐ人も存在し、選手の実力や知名度によって格差が大きいです。

例えば、「かきP」として知られるプロのeスポーツプレイヤー・柿沼秀真さんは、2021年に開催された「Shadowverse World Grand Prix 2021」という大会で優勝し、賞金約1億5000万円を獲得しています。

eスポーツでは他のスポーツのように、プロになるための明確な規定が十分に定められていません。一般のゲーマーからアマチュアプレイヤー、そしてeスポーツで稼ぐプロプレイヤーへと育つ環境が整っていないため、柿沼さんのようなトップ選手まで登り詰める道のりは険しいものの、夢のある職業だと言えるでしょう。

eスポーツ大会の賞金規模における日本と世界の差

eスポーツ選手の収入の主軸は大会の賞金です。

海外では、優勝者に数十億円の賞金が出される大規模なeスポーツ大会も開催されています。

海外人気が非常に高いチームゲーム「Dota 2(ドータ・ツー)」の公式世界大会である「The International」は、高額な賞金が獲得できることで有名です。2023年度の大会では優勝チームが140万ドル(約2億1600万円)、準優勝のチームが38万ドル(約5900万円)を獲得しています。

バトルロワイヤルゲームとして日本でも人気がある「Fortnite(フォートナイト)」は、2019年の大会で16歳の少年が優勝し、賞金300万ドル(約4億6300万円)を手にしたことで話題になりました。

一方、日本の大会はどうでしょうか。

スマートフォン向けのバトルロイヤルシューティングゲーム「PUBG MOBILE」において、2022年に開催された国内プロリーグ「PUBG MOBILE JAPAN LEAGUE SEASON2」の賞金総額は3億円。優勝チームは賞金5,500万円を獲得しました。

日本の大会賞金も十分大きな額ではあるものの、海外と比べると桁がひとつ違う印象です。

eスポーツにおける日本の賞金額が低い理由には、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)が関係しています。この法律が適用されると、課金によってプレーヤーが強くなるゲームの大会賞金には上限(10万円)が設けられる可能性があります。

高額賞金につられてユーザーの課金が加熱してしまう恐れがあることを防止するための規制ですが、海外のように数億円単位の賞金を出すことが違法になってしまうと、日本のeスポーツ業界の発展に影響するだろうと懸念されていました。

そこで日本eスポーツ連合(JeSU)は、景品表示法の規制対象にならない「仕事の報酬」として賞金を出すことを目指しました。課金が必要なゲームにおいても、興行性のあるeスポーツ大会に参加するプレーヤーのパフォーマンスに対し、「仕事の報酬」として渡す賞金には上限が設けられていないからです。

そうした努力の結果、近年では「PUBG MOBILE」のような高額賞金を出すeスポーツ大会が増えてきました。しかしやはり限界があり、海外との差はまだまだ大きいことも事実です。

日本でeスポーツがさらなる発展を遂げるためには、迅速に大会賞金に関連する法整備を進める必要があると言えるでしょう。新たなビジネスチャンスをもたらす可能性を秘めたeスポーツ業界がどう変化していくのか、今後の動向から目が離せませんね。

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