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資産10億ドル超! テイラー・スウィフトが音楽だけでビリオネアを達成した凄さと資産形成術

米経済誌Forbesが年に一度、資産10億ドル以上の富豪(=ビリオネア)を発表する「世界長者番付」をご存知でしょうか。今年の4月に発表された世界長者番付のビリオネアの数はなんと2781人。昨年から141人増加し、過去最多人数となりました。

人数だけでなく、総資産額も昨年から+2兆ドルの14兆2000億ドルと過去最高額に到達。AIブームなどによるテクノロジー界の盛り上がりが一因と考えられていますが、ほかにスポーツ選手や芸能人の多くも保有資産を増やしているようです。

その中のひとりが、アメリカのペンシルバニア州出身の世界的大スター・Taylor Swift(テイラー・スウィフト)。彼女は240人の新たなビリオネアたちと共に今年のランキングに加わり、2545位にランクインしました。

本記事ではビリオネアになった女性アーティスト、テイラー・スウィフト氏の資産額や億万長者になれた理由などを深掘りしていきます。

新たにビリオネア入りを果たした理由

Forbesは昨年10月時点でスウィフト氏の資産を11億2500万ドルと推定。内訳としては音楽の印税とツアーからの収入が5億ドル、音楽カタログ(作詞作曲した曲に対する権利)の価値増加による収入が5億ドル、不動産による収入が1億2500万ドルと試算していました。

今年4月2日午後の時点(米国東部時間)では、資産は約11億ドルであると推定しています。

「世界長者番付」に掲載されたミュージシャンの中では、リアーナやジミー・バフェット、以前の記事でご紹介したラッパーであり資産家のJay-Z氏らに続いて4人目のビリオネアとなりましたが、テイラー・スウィフト氏は「歌とパフォーマンスだけでビリオネアになった最初のミュージシャン」として注目されています。つまり、コスメやファッションブランドなどほかのビジネスではなく、音楽だけでビリオネアという偉業を成し遂げたところが注目すべきポイントなのです。

スウィフト氏をビリオネアの地位に押し上げたのは、世界5大陸で開催されている彼女の5年ぶり6回目のコンサートツアー「The Eras Tour(ジ・エラズ・ツアー)」だと言われています。

コンサート業界向けメディアのPollstarによると、本ツアーの推定興行収入は最初の60公演だけで10億4000万ドル。史上初めて興行収入が10億ドルを超えた歴代1位のコンサートツアーになりました。全公演を終了すれば、20億ドル以上になるとも予想されています。

さらに、米映画情報サイトのBox Office Mojoによると、ツアーを題材にした映画の世界興行収入は2億6000万ドル超え。コンサート映画とドキュメンタリー映画においても歴代1位を記録しました。

なお、同ツアーは開催地の経済も押し上げています。例えばロサンゼルスが舞台となったツアーでは、最後の6夜に3億2000万ドルを同市にもたらしたと推計。オーストラリアで開催された際にはメルボルンとシドニーでホテルや航空便の予約が困難になり、オーストラリア全体に1億4000万豪ドルの経済効果をもたらしたとされています。

今年2月に開催された4日間の来日公演では、調査サイトの経済効果.NETによると、341億円もの経済波及効果があると試算されていました。これにはチケット代やグッズ代だけでなく、世界中から集まったファンの宿泊費や交通費、観光での支出拡大が含まれています。

アメリカ中央銀行のFRB(連邦準備理事会)議長の記者会見では、「ツアーによる消費活動がアメリカ経済を押し上げている」と話題に。また、地方連銀の地区経済報告でも「コンサートで観光産業が伸びている」と報告が上がりました。その経済への影響力の大きさは「Taylornomics(テイラーノミクス)」や「Swiftonomics(スウィフトノミクス)」といった造語が生まれるほどです。

チケット販売会社SeatGeekのマーケティング責任者 クリス・レイデン氏も、CNNの取材において彼女やそのツアーに対し、「エンタメ経済の定石を塗り替えている」「単なるパフォーマーではなく経済現象」と評していました。

複数の物件を所有する“不動産投資家”としての一面も

スウィフト氏の推定約11億ドルという莫大な資産額には、今回のツアーだけでなく過去のツアーや音楽のセールスも貢献しています。前回のスタジアムツアー「Reputation」は3億4570万ドル、ワールドツアー「The 1989」は2億5070万ドルの収益を記録。

またアメリカレコード協会によると、これまでのアルバムセールスは5100万枚、シングルセールスはデジタルだけでも1億3750万枚となっています。2006年にシングル「ティム・マックグロウ」で音楽シーンに登場して以来次々とヒット曲を生み出し、リリースしたアルバムのうち10枚が「Billboard 200」のアルバムチャート1位を獲得しています。

このような記録的な快挙を成し遂げていることから、先述のとおり「歌とパフォーマンスだけでビリオネアになった最初のミュージシャン」と評価されているスウィフト氏ですが、彼女の資産を形成してきたものは実は音楽だけではありません。

スウィフト氏は過去に俳優や声優として数々の映画に出演しています。「アムステルダム(2022)」や「キャッツ(2019)」、「ギヴァー 記憶を注ぐ者(2015)」などがあり、これらに出演した際のギャラは公表されていないものの、かなりの金額であると予想できるでしょう。

また、自身のブランド力を活かし、「コカ・コーラ」「アップル」をはじめとするさまざまな企業と広告契約を結んでいます。

加えて、アメリカ各地の主要都市にいくつかの高級不動産を所有していることでも有名です。2015年に購入した約3000万ドル相当の価値があるビバリーヒルズの大邸宅のほか、ニューヨークにある4000万ドルのアパート、テネシーにある550万ドルの物件、ロードアイランドにある1700万ドルの家など、その資産価値は1億ドル以上に及ぶと推定されています。

長期保有をベースにしつつ、2018年にはビバリーヒルズのコテージを400万ドルで、別のビバリーヒルズの自宅を265万ドルで売却するなど、これまで数回の売却によって大きな利益を得てきたようです。

メディアで取り上げられることは少ないですが、スウィフト氏は代々銀行の頭取をしていた家系の出身。父親が大手投資銀行メリルリンチの元財務顧問、母親が投資信託マーケティングの元幹部と金融家系であることから、労働所得を不動産という不労所得(資産)に変換することは彼女にとって当たり前なのかもしれません。

このようにテイラー・スウィフト氏は音楽業界での成功とともに、戦略的な資産形成と多様な収入源の確立、そして比較的安定した資産である不動産への投資によってビリオネアの地位に到達しました。彼女の賢明なビジネス判断と戦略的な資産運用からは、今後も目が離せません。

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