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20代で投資をしている人はどのくらいいる?Z世代におすすめの投資方法は

「投資ってなんだか難しい」「お金持ちがやること」などといって、投資をしない20代がいたらもったいない!今や投資はとても簡単ですし、少額からでも始められるからです。そのうえ、早く投資を始めることで20代ならではの武器「時間」を味方につけられます。

今回は、20代で投資をしている人の実態と、20代におすすめの投資方法を紹介します。

20代で投資をしている人の割合は?

三井住友カード「投資に関する意識調査」(2023年8月23日公表・20代の男女1,000人に調査)をもとに、20代の投資実態を探ってみましょう。

20代で投資をしている人の割合は?

三井住友カード「投資に関する意識調査」より

20代で投資をしている人の割合は29.3%。すでに3割近くの人が投資をしていると回答しています。男性は36.8%、女性は21.8%と15ポイントの開きがあります。「していないが、近いうちにしたいと思っている」も約3割いるので、20代のおおよそ6割は投資に興味・関心があると考えられます。

お金はただ貯めるだけでは増えない、むしろインフレでどんどんお金の価値が減っている、加えて給与が伸び悩み税金や社会保険料負担が増えている・・・そんな時代ですから、お金を増やしたいと考えるならば、「していないが、近いうちにしたいと思っている」人はもちろん、「していないし、今後もする予定はない」約4割の人もまずは投資のことを知ることから始めていただきたいものです。

投資をはじめたきっかけは?

三井住友カード「投資に関する意識調査」より

20代で投資をはじめたきっかけ(複数回答)は「無理のない範囲で将来の資金を準備したかった」がダントツでトップ。お金を銀行に預けても増える金額は年0.001%という時代ですから、投資することで将来のお金を用意しようと考える人が多いことがわかります。「現在の生活のために収入を増やしたかった」「NISAやiDeCo等の税制優遇を知った」も相応に多いですね。どちらかというと、女性は将来のお金、男性は現在のお金のために投資を始めているようです。

毎月の投資額は?

三井住友カード「投資に関する意識調査」より

毎月コツコツ投資する積立投資(詳しくは後ほど紹介)の投資額を聞いた質問です。もっとも多いのが「3万円以上〜5万円未満」で21.5%います。なかには「10万円以上」という猛者もいますが、それはほんの一握り(2.4%)。全体の約8割が5万円未満で、1万円未満も3割ほどいることがわかります。少額から取り組んでいる人も、それなりにいます。

実際、多くの金融機関では1,000円、SBI証券、楽天証券、マネックス証券といったネット証券では100円から投資ができます。たとえ毎月の投資金額が少額でも立派な投資には違いありません。早くからお金を働きに出す、投資の習慣を身に付けておくとよいでしょう。

ただ、生活費に困るほどお金がないという状態なら、まずはお金を貯めることを考えましょう。目安としては、生活費の6か月分。投資をするのはもしものときに必要になるお金を貯めてからにしましょう。

もっとも、生活費の6か月分はそれなりの金額で、貯まるまでには時間がかかります。ですから、3か月分が貯まって、お金が貯められる感覚がわかったら、月数千円程度の少額で投資を始めてみて、投資でお金を増やす感覚をつかんでみることをおすすめします。

20代最大の武器は「時間があること」

投資をするというと「お金が減ってしまいそうで怖い」という話をよく聞きます。確かに、投資には元本保証がありません。投資をした結果、お金が減ってしまうこともあります。

でも今は、投資をしなくてもインフレによってお金の価値が減っている時代です。

投資をしてもしなくても、お金が減る可能性があるならば、「投資をする」という選択をすべきです。ただ、投資をするにしても、できる限りお金を減らさずに増やしていきたいものですよね。

そこで、「長期・積立・分散」投資というポイントを押さえて投資をすることが重要です。

長期投資は、じっくりと長い期間投資を続ける方法です。金融商品は日々値動きしていますが、デイトレーダーのように日々値動きを見張って売買するのは大変ですし、そうした値動きに合わせて取引をすると、短期間で大きく損をしてしまう可能性もあります。しかし、長い時間をかけて投資をすれば、相場の変動がならされます。

また、長期投資をすると複利効果を生かすことができます。複利効果とは、利息や運用益が次の利息や運用益を生み出していく効果のこと。長期投資を続けるほどお金の増えるスピードが加速して「雪だるま式」にお金が増えていきます。

積立投資は、一定のタイミングで一定額ずつ、コツコツと金融商品を購入する方法です。金融商品の価格は日々上下しています。このなかで一定額の積立投資を行うと、金融商品の価格が安いときにたくさん買い、高いときに少ししか買わなくなります。これが続くと、平均購入単価を下げることができます。これを「ドル・コスト平均法」といいます。

平均購入単価が下がるほど、値上がりした時に利益を出しやすくなりますし、複利効果を味方につけることができます。

また、積立投資は、買うタイミングを考えずに淡々と続けます。金融機関で積立投資の設定をすれば、あとは自動的に投資ができるので簡単ですし、投資の最大の敵である感情にも左右されずに投資が続けられるのもメリットです。

そして分散投資は、値動きの異なる複数の投資先に自分の資産をわけて投資することです。

たとえば、株と債券は、反対の値動きをすることがよくあります。そこで、株と債券に資産を分散することで、資産を大きく減らすことを防ぎ、堅実に増やせるというわけです。

そもそも、次に値上がりする投資先がわかるのであれば、その投資先に一括投資すればお金が増やせますから、投資先選びに悩むことはありません。反対に、次に値下がりする投資先がわかるのであれば、そもそも投資をしないほうが良いでしょう。

しかし、次に値上がり・値下がりする投資先など、誰にもわかりません。また、将来値上がりするにしても、どの資産・商品がいつ値上がりするのかはわかりません。だからこそ、日頃から分散投資をすることで、負けの確率を減らすことが大切なのです。

20代の最大の武器は「時間があること」です。20代からスタートすれば、長期・積立・分散投資で大きくお金を増やせるはずです。長く投資をするには、早く投資することが何よりも大切なのです。

何に投資していいかわからないなら投資信託がおすすめ

長期・積立・分散投資がいいのはわかったけれど「何に投資していいかわからない」……。そんな方にまずおすすめしたいのが投資信託です。

投資信託は、投資家から集めたお金をプロがまとめて運用してくれる金融商品です。プロが運用してくれるので、運用の手間はかかりません。そして、運用の結果出た利益は投資家に分配されます。

投資信託の投資先は、国内・海外の株式・債券・不動産など。どの投資先に投資するかは、投資信託によって異なります。国内の株式だけに投資する投資信託もあれば、海外の不動産だけに投資する投資信託もあります。また、1本で複数の資産を組み入れる「バランス型」と呼ばれる投資信託もあります。

1本の投資信託は、通常数十から数百の投資先に分散投資をしています。これだけの分散投資を個人でするのは大変ですが、投資信託に投資をすることで、手軽に分散投資の効果が得られます。投資信託に長期・積立投資を行うことで、長期・積立・分散投資が実現します。

投資先を選ぶ際には、自分のリスク許容度を踏まえることが大切。リスク許容度とは、資産運用で損をした場合、どのくらいまでなら耐えられるかという度合いを表したものです。リスク許容度は、客観的には「年齢が低い」「収入や資産が多い」「投資歴が長い」「扶養家族が少ない」ほど高いと判断できます。しかし、リスク許容度が高いと思われる人でも、自分が「リスクをあまり取りたくない」のであればリスク許容度は低くなります。自分のリスク許容度を踏まえたうえで、投資先を選ぶようにしましょう。

なお、投資信託では主に3つの手数料がかかります。

・購入するとき…購入時手数料

・持っている間…信託報酬

・売却するとき…信託財産留保額

このうち、もっとも気にしたいのが信託報酬。信託報酬は投資信託の運用や管理をしてもらうためのコストで、日割り計算された金額が預けた資産から自動的に差し引かれます。たとえわずかな差であっても、数十年におよぶ長期投資をすると大きな差となりますので、なるべく安いものを選ぶようにしましょう。

お金は税金のかからない制度で貯める

投資信託を利用して長期・積立・分散投資を行い、お金を増やそうと思ったら、まずはNISA(ニーサ・少額投資非課税制度)を利用しましょう。

NISAは、投資で得られた利益にかかる税金をゼロにできる制度。通常、投資の利益には20.315%の税金がかかってしまいますが、NISAを利用した投資ならば税金がゼロにできます。

しかも、2024年からはNISAが「神改正」され、より使いやすい制度に生まれ変わります。新NISAでは、運用益非課税の投資が無期限でできるようになります。また、金融庁の定めた商品で積立投資ができる「つみたて投資枠」と、積立の他に株式投資などもできる「成長投資枠」の2つがあり、両者を併用することもできます。年間投資額も引き上げられ、一度売却しても翌年に非課税投資枠が復活するなど、さまざまな改正があります。ですから、これから投資をするならばまず新NISAを利用することを考えるとよいでしょう。

実際、冒頭のアンケートでも、20代が選ぶ投資対象の第1位にNISAが来ています。

20代が選ぶ投資対象ランキング

三井住友カード「投資に関する意識調査」より

20代に投資はまだまだ早い…ではなく、20代だからこそ投資を早く始めた方がいいことがお分かりいただけたのではないでしょうか。繰り返しになりますが、20代の最大の武器は、投資を長く続けるだけの時間があることです。その時間がある今のうちに、長期・積立・分散投資、NISAを利用した投資を活用して、お金を増やしていきましょう。

頼藤太希 (株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント

中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』や『Mocha(モカ)』を運営すると同時に、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書累計120万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。

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