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新NISA開始1年、みんなの投資額はいくら?どんな投資をしていたのか

投資で得られた利益にかかる税金をゼロにできるNISA(ニーサ・少額投資非課税制度)。2024年に制度が改正されたことで「新NISA」と呼ばれ、大きな話題になりました。

新NISA開始から1年が経ち、みんながどんな投資をしていたのかがわかってきました。そこで今回は、新NISAに関する統計から、新NISAがどのように使われているのかを紹介します。

新NISAはどのくらい利用されている?

新NISA口座、みなさんは持っていますか?新NISA口座は文字どおり、新NISAを利用して投資をするために必要な口座。証券会社や銀行などの金融機関で開設します。新NISA口座は一人一口座と決まっているため、複数の金融機関を利用していても、新NISA口座はひとつしか持てません。

新NISAの新規口座開設数は?

金融庁「NISA口座の利用状況調査(令和6年12月末時点(速報値))」によると、2024年12月末時点の新NISA口座数は全部で2560万4058口座となっています。その1年前、2023年12月末時点の「旧NISA」の口座数(つみたてNISA口座+一般NISA口座)は2124万7420口座でしたので、1年間で新NISAの口座数は約435万口座も増えていることがわかります。

◼︎NISA口座数推移(2023年〜2024年12月末まで)

金融庁「NISA口座の利用状況調査」より(株)Money&You作成

2023年12月から2024年3月の、新NISAに移行した時期には3か月で約195万口座も口座数が増えています。それだけ、新NISAで新たに投資しようと考える人が多かったのだと考えられます。2024年後半になると、新規口座開設数は多少落ち着いてきていますが、それでも総口座数は2500万口座を超えて、多くの人に利用されている様子がうかがえます。

新NISAでどれだけ投資されている?

新NISAでは、「つみたて投資枠」「成長投資枠」の2つの投資枠を利用して投資ができます。

つみたて投資枠は積立投資専用の投資枠で、金融庁の一定の基準を満たした投資信託・ETF(上場投資信託)に投資ができます。

成長投資枠は、積立投資だけでなく一括投資もできる投資枠。上場株式・ETF・REIT(不動産投資信託)・投資信託に投資ができます(一部投資できない商品もあります)。つみたて投資枠よりも自由度が高いのが特徴です。

同じく金融庁「NISA口座の利用状況調査」によると、2024年1年間での新NISAの新規買付額は、となっています(端数処理の関係で合計は一致しません)。

  • つみたて投資枠…4兆9857億円
  • 成長投資枠…12兆4627億円
  • (合計) 17兆4485億円

新NISA利用者1人あたりの投資額はいくら?

新NISAのつみたて投資枠では年間120万円、成長投資枠では年間240万円まで投資ができます。つみたて投資枠と成長投資枠は併用ができますので、最大で年間360万円まで投資ができます。

【つみたて投資枠のみんなの投資額は?】

日本証券業協会「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)」によると、新NISAのつみたて投資枠での1人あたり平均投資金額は47.3万円となっています。

47.3万円というと、1か月あたりにすると4万円に少し届かない程度(3万9400円ほど)です。多いと思われる方、少ないと思われる方、どちらもいるのではないでしょうか。そこで、同調査のつみたて投資枠での投資額の分布を確認すると、次のようになっています。

◼︎つみたて投資枠の性別×年齢別・年収別の購入額

日本証券業協会「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)」より

全体の平均こそ47.3万円ですが、「5万円未満」から「20万円〜40万円未満」までで全体の56.6%を占めています。実は、つみたて投資枠の前身である旧NISAの「つみたてNISA」の年間投資額は最大で40万円でした。制度改正によって3倍の120万円まで投資できるようになったといっても、半分以上は投資額を40万円以上にしていないことがわかります。また、「40万円〜60万円未満」が11.1%いることを考えると、新NISA利用者の6割くらいは平均の47.3万円まで投資できていないことがうかがえます。

反対に、全体の20.8%の人はつみたて投資枠で100万円以上投資しています。「120万円」と、つみたて投資枠の年間投資枠を使い切った人も15.3%います。つみたて投資枠の投資額の平均は、こうした人たちが押し上げているものと考えられます。

つみたて投資枠で100万円以上投資している人の割合は、20代から60代と年代が上がるにつれて増加しています。そして、70代となると多少減少しています。男女でその割合に少し差はありますが、傾向は変わりません。また年収が多いほどつみたて投資枠の投資額が多くなります。こちらはおおむね想像どおりでしょう。

【成長投資枠のみんなの投資額は?】

同様に、成長投資枠も見てみましょう。新NISAの成長投資枠での1人あたり平均投資金額は103.3万円となっています。

◼︎成長投資枠の性別×年齢別・年収別の購入額

日本証券業協会「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)」より

成長投資枠で投資できる金額の上限は240万円で、つみたて投資枠の2倍です。そのため、平均投資額もつみたて投資枠より多い、ということはあるでしょう。

しかしこちらも全体で見ると「10万円未満」から「50万円〜100万円未満」の人を合計すると57.9%と、6割近くの人は投資額が100万円未満になっています。

反対に、200万円以上の人は26.3%で、「240万円」も16.6%いますので、投資額の差はつみたて投資枠よりも激しいということができそうです。

年代別・性別・年収別の傾向はつみたて投資枠とおおむね一緒ですが、つみたて投資枠よりも70代の利用額が高い傾向が見てとれます。

新NISAで何に投資している?

2024年中に新NISAを使って投資された商品をおおまかに分類すると、次のようになっています。

◼︎つみたて投資枠で投資された商品の内訳

日本証券業協会「新NISA開始1年後の利用動向関する調査結果(速報版)」より

つみたて投資枠で投資された商品の65.5%がインデックス型の投資信託。市場全体の値動きを示す指数と連動する成果を目指す商品です。なかでも「日本を含む全世界株式型の投資信託」が36.8%と人気。続いて、「日本を除く全世界株式型の投資信託」18.5%や「複数資産に投資するバランス型の投資信託」10.2%となっており、日本国内よりも、海外に(海外にも)投資している商品が多く選ばれています。

一方、指数を上回る成果や絶対リターンを目指すアクティブ型は6%と、あまり買われていない様子です。アクティブ型のなかにもいい商品はあるかもしれませんが、保有中のコストがどうしてもインデックス型よりも高くなることもあり、インデックス型に人気が集まっているようです。

◼︎成長投資枠で投資された商品の内訳

日本証券業協会「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)」より

成長投資枠では株に投資できるため、やはり株を選んでいる人が多いようです。ただ、投資信託と違って株は「日本国内株式」が48.8%と大勢を占めています。「先進国の外国株式」は3%、「新興国の外国株式」は0.6%ですから、その差は歴然です。

また、成長投資枠でも投資信託を購入できるため「インデックス型」も24.6%と、相応に選ばれています。こちらも「日本を含む全世界株式型の投資信託」が13.1%ともっとも多くなっています。

売れ筋の投資信託は?

日本経済新聞によると、2024年の年間資金流入額トップ10の投資信託は、次のようになっています。

日本経済新聞の記事より(株)Money&You作成

1位は「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」。「オルカン」の愛称で投資家にも人気で、投資家が選ぶ投資信託のランキング「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year」(2024年より「個人投資家が選ぶ!Fund of the Year」)でも2019年より6連覇しています。全世界の株式市場に幅広く分散投資できることに加え、信託報酬も年0.05775%ととても安いことがその人気の理由になっています。

10位までを見ると、7位以外はすべて「全世界株」「米国株」に投資する商品で、日本株のみを対象にした商品はランクインしていませんでした。投資信託においては、全世界株や米国株の人気がよくわかる結果です。

新NISAでどんな情報を参考に投資している?

新NISAが利用できる証券会社には、街のなかに店舗を構える対面型の証券会社(店舗証券)と、店舗を持たずにネット上で運営しているネット証券会社(ネット証券)があります。このほか、銀行や郵便局などでも新NISAを利用できます。

新NISAで投資をする際、どんな情報を参考にしているかは、店舗証券とネット証券で意外と違いがあります。

◼︎新NISAの取引にあたって参考としたもの

日本証券業協会「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)」より

店舗証券では、担当者からの説明を参考にした人の割合が27.3%ともっとも多くなっています。店舗証券のメリットは、投資の知識に自信のない初心者であっても、担当者と相談しながら投資できることにあるので、ある意味順当な結果でしょう。次いで参考にしているのは「新聞やテレビ、ラジオからの情報」で、23.4%となっています。

一方、ネット証券にはそもそも「担当者」がいないので、投資先を自分で考えて選ばなければなりません。そのため、もっとも参考にされているのが「SNSや動画サイトを通じた情報」で33.6%。ついで「証券会社からのインターネットを通じた情報」で23.6%となっています。

どちらかというと、店舗証券の利用者はネットを利用せず、ネット証券の利用者は新聞・ラジオを利用していない割合が多いのはそれぞれの特徴を表している結果と言えます。また、店舗証券もネット証券も「家族からの意見やアドバイス」を参考にしている人が一定数いるようです。

投資をするにあたって、投資先を自分で決めるとなると大変かもしれません。新NISAで初めて投資をするとなればなおさらです。専門家やネットの情報、あるいは家族の意見などを参考にして決めたいという気持ちは理解できます。

しかし、たとえ専門家やネットの情報などで、いくら信用できそうだといっても、それを鵜呑みにして投資するのは危険です。特にインフルエンサーなどの情報はあくまでもその人の成功体験であって、万人に共有するものではない可能性が高いからです。

投資して値下がりしてしまったり、手数料の高い商品を買わされたりしても、投資はすべて「自己責任」です。他の人の意見を参考にしながら、少しずつでも自分で勉強していくことをおすすめします。

新NISAで利益が出ている人はどのくらいいる?

2024年の市場は8月まではおおむね順調で、日経平均株価や米国のS&P500、ダウ平均株価といった株価指数も軒並み史上最高値を更新しました。しかし8月には「ブラックマンデー以来」といわれる大暴落も発生しました。その後はやや値を戻し、落ち着いた展開になりましたが、浮き沈みの激しい1年だったということができるでしょう。

そんな市場環境のなか、新NISAで投資した人のうち、利益(含み益)が出ている人の割合と、損失(含み損)が出ている人の割合は、次のようになっています。

◼︎新NISAの利益・損失

日本証券業協会「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)」より

新NISAで利益(含み益)のある人の割合はつみたて投資枠で82.8%、成長投資枠で70.2%。そして損失(含み損)のある人の割合はつみたて投資枠で2.3%、成長投資枠で12.2%と、利益を出している人のほうが圧倒的に多いことがわかります。

損失を出している人がどうして損失を抱えてしまったのかまでは、調査のデータからはわかりません。しかし、8月の暴落の際に慌てて売ってしまった人が多いのではないかと考えられます。

実は、暴落のときに一番してはいけないのは、資産を売却することなのです。売却してしまうと、その時点で利益(または損失)が確定してしまいます。また、積立投資をやめてしまうこともNG。その後の資産回復・上昇の恩恵を一切受けられなくなってしまいます。

そのことを知っていた人は、暴落があっても慌てず、資産を売却しなかったかもしれません。金融経済教育を受けた経験のある人は、金融経済教育を受けた経験のない人よりも利益が出ている人の割合が多い、というデータも出ています。

◼︎新NISAの利益が出ている人の割合(金融経済教育の有無別)

日本証券業協会「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)」より

本稿執筆時点(2025年3月12日)では、米トランプ大統領のいわゆる「関税政策」によって景気後退が懸念されたことをうけて、米国株が急落しています。この問題がどうなるかは、執筆時点では正直わかりません。ただ、過去の相場に照らすと、一時的に暴落したとしても、数ヶ月から数年後には値を戻し、以後はそれ以上に値上がりしているのも事実です。

1980年からのS&P500の推移と主な下落イベント

(株)Money&You作成

※2025年3月は3月12日時点

「今回も必ず値上がりする」という保証はもちろんできませんが、長い目で見れば再び株式市場は上昇していく期待はできるでしょう。

新NISAを1年続けてきた方も、2025年から始めようと考えている方も、ぜひ長期的な目線で新NISAを利用することをおすすめします。

執筆:高山一恵
(株)Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー

(株)Money&You取締役。中央大学商学部客員講師。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。NHK「日曜討論」「クローズアップ現代」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「マンガと図解 はじめての資産運用」(宝島社)など書籍100冊、累計180万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。

X(旧Twitter):@takayamakazue

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