日本橋再開発が変える不動産投資の未来|首都高地下化と「日本橋リバーウォーク」の衝撃
2026年も東京各地で再開発が進む中、私が今、不動産投資の視点で最も注目しているのが東京駅の東側、「日本橋」エリアです。
本記事では、マンション選びのプロとしての知見に基づき、以下の3点を中心に日本橋の変貌を紐解きます。
- 歴史的背景: 五街道の起点であり、日本の「金融の源流」としての圧倒的な地歴
- 最新計画: 2040年の「首都高速地下化」と巨大プロジェクト「日本橋リバーウォーク」
- 投資への影響: 就業人口の増加がもたらす周辺エリアの「新たな住宅需要」
江戸時代からの伝統を継承しつつ、国際ビジネス拠点へとアップデートされる日本橋。インフラの変化が不動産投資の資産価値にどう直結するのか、一歩先を行く投資戦略のヒントとしてお役立てください。
【1】江戸時代の物流の中心「日本橋」
筆者は出張で大阪によく足を運びますが、大阪の千日前線をはじめ、いくつかの路線が乗り入れる「日本橋」駅は「にっぽんばし」と読みます。当該エリアも江戸時代から水陸交通の要所として栄えていました。
一方、東京の日本橋は「にほんばし」と読みます。徳川家康が1600年に江戸幕府を設置し、1603年に「橋」としての日本橋が完成。1604年には五街道の起点となりました。江戸時代には物流の中心として栄え、現在の三越や東急百貨店などにもつながる大きな商店が集まりました。この頃の様子は浮世絵などでも見ることができ、皆さんにもお馴染みかと思います。
また、日本橋にはかつて「金座」があり、紙幣の発行など現在の中央銀行の役割を担っていました。金座は明治2年に廃止されましたが、明治29年にはその跡地に日本銀行が設立されました。さらに、隣接する兜町では明治11年に渋沢栄一の働きもあり、現在の「東京証券取引所」(当時は「東京株式取引所」)が開設されたのです。
【2】日本橋周辺に建ち並ぶ日本有数のデパート
日本橋には日本有数の高級デパートが次々と開業しました。1904年(明治37年)には三越が日本初の百貨店として開業し、1914年(大正3年)に建設された新店舗は現在も営業されています。「白木屋呉服店」は、1903年(明治36年)に百貨店形態となりました。
また、1933年(昭和8年)には日本橋高島屋が開業しました。日本橋高島屋の店舗も現存しており、多くの高層ビルの中でレトロな姿を見ることができます。日本橋や銀座は昭和の頃から高級店やデパートが建ち並ぶ「高級」なイメージがあり、筆者も時々買い物に行きますが、「にんべん」を始めとする多くの老舗があり、独特の雰囲気を味わうことができる街と言えます。
【3】三井不動産による「日本橋再生計画」の進展
「越後屋」を基とする三井不動産が1941年に誕生し、2000年代には「日本橋再生計画」として多くの再開発が行われてきました。
2004年からの第一ステージでは「コレド日本橋」「COREDO室町1」などが完成。続く2014年からの第二ステージでは「COREDO室町2・3」「日本橋室町三井タワー」などが次々と竣工しました。これにより、日本橋はまさに高層ビルの林立するオフィス街へと急変していきました。
【4】首都高速地下化を機に動き出す「日本橋リバーウォーク」計画
1964年の東京五輪を機に建設された日本橋上空の首都高速道路ですが、老朽化や景観上の問題から地下化の検討が2017年に具体化されました。2040年頃に高速道路が撤去されるのと同時に、周辺の大型再開発「日本橋リバーウォーク」が計画されています。
日本橋を中心に、以下の5つのエリアから成る計画の概要を見てみましょう。
- (1)八重洲一丁目北地区: 東京駅や現在建設中の「東京トーチ」に近い位置。2029年度〜2032年度にかけて竣工予定。
- (2)日本橋一丁目1・2番地区: 日本橋の南側に隣接。2030年代に順次竣工し、デッキや地下通路で周辺街区と接続されます。
- (3)日本橋一丁目中地区: 2026年3月竣工予定と最も早く完成。地上52階。オフィス、ホテル、居住施設、商業などの複合ビルで、「日本橋」駅に直結します。
- (4)日本橋一丁目東地区: 茅場町方面に近いエリア。地上51階の住宅棟などが2031年度に竣工予定です。
- (5)日本橋室町一丁目地区: 日本橋川の北側、三越前駅に近いエリア。地上34階建てのビルなどが2031年度から順次竣工する予定です。
【参照】:首都高速道路:日本橋区間地下化事業
【5】日本橋再開発が不動産投資に与える影響
東京駅西側の「丸の内」「大手町」がビジネス街であるのに対し、東京駅から日本橋、茅場町へ続く永代通り周辺は、日本の金融や証券関連企業が集まる「ファイナンシャルストリート」とも言えます。
東京駅北側の「東京トーチ」から日本橋川沿いにつながる再開発により、この一帯は今後、日本有数のビジネスエリアへ変貌すると考えられます。2031年には羽田空港アクセス線の開業も予定されており、就業人口の大幅な増加が予想されます。
そうなれば、こうしたエリアにアクセスしやすい東京東側エリアや京浜東北線、上野東京ラインをはじめとする沿線でも、新たな住宅需要が発生するでしょう。不動産投資の立地選びにおいても、こうした都心部の再開発を視野に入れることは非常に重要となってきます。
今後も10年以上続くこの大規模な街づくり。その完成形が今からとても楽しみです。
執筆:野中 清志(のなか きよし)
住宅コンサルタント|株式会社オフィス野中 代表取締役
マンションデベロッパーでの実務経験を経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。 特定の企業に属さない第三者的な立場から、首都圏・関西をはじめ全国各地でマンション購入に関する講演・コンサルティングを行う。
居住用マンションから不動産投資(資産運用)向けセミナーまで、年間100本近い講演をこなす「マンション選びの第一人者」。膨大な供給データと開発現場への深い知見に基づいた、先見性の高い解説に定評がある。