国勢調査による東京の人口動態と不動産投資【プロが教える不動産投資コラム】
この度政府より第4回目の緊急事態宣言が東京都に発令されました。東京五輪も1都3県などにおいては無観客が決定されるなど、新型コロナの情勢は依然厳しい状況が続いています。今後もワクチンの接種状況が浸透し早期の安全な生活と経済回復を願いたいものです。
国勢調査の速報が発表されました
この度、総務省から2020年の国勢調査の人口速報値が6月25日に発表され、日本における最新の人口の実態が明らかになりました。
日本で初めて人口の調査が始まったのは今から100年ほど前の1910年となっています。日本の人口が初めて1億人の大台に乗ったのは1970年の調査で、その後高度成長期とともに人口が順調に伸びてきました。
しかし少子高齢化の波を受けて日本の人口は2000年にピークアウトし現在に至っています。不動産投資においては資産性、収益性、換金性において人口の動態は極めて重要なファクターとなります。 今回は人口の動態について検証してみましょう。
100年間の日本の人口の推移
年 | 人口 |
1920年(大正9年) | 5,596万3,053人 |
1970年(昭和45年) | 1億466万5,171人 |
2020年(令和2年) | 1億2,622万6,568人 |
東京圏の人口は増加傾向に
今回の国勢調査によると、都道府県の中で最も人口が多いのは東京都で約1406万5千人となりました。 東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の人口は約 3693 万9千人となり、全国の約3割(29.3%)が集中している事が分かります。
東京圏の人口
2020年人口 | |
東京都 | 1,406万4,696人 |
神奈川県 | 924万0,411人 |
埼玉県 | 734万6,836人 |
千葉県 | 628万7,034人 |
合計 | 3,693万8,977人 |
このように東京都及び東京圏には人口が多く集中しており、不動産投資の立地として考えた場合、ワンルームマンション投資などにおいて購入層・賃貸需要層共に極めて厚いので適していると考えられます。
また東京は流入人口も多く、その多くは20~30代などの若い世代となっています。
ではなぜ東京には若い世代が多く流入するのでしょうか。
それはまさしく、下記などが要因として挙げられます。
- 学べる所が多くある事(大学、専門学校、など)
- 男性はもとより若い女性も働ける場所が多くある事(金融・IT・サービス・情報産業)
- 外国人の方が多く流入している事(外資系企業・留学生など)
東京都は人口増加率・人口増加数も高水準
東京都は5年前と比べると、人口は増加し、上昇率も拡大しています。その理由は②で述べたように若い世代と外国人の流入が寄与していると言えます。
前回の国勢調査と比較して東京都の人口は約4%、世帯数も約8%近くも増加しています。
また東京都の人口は2000年の調査以来人口増加が続いており、20年間で約200万人も人口が増加しています。 今後は東京都が推進するアジアヘッドクォーターエリアでの外国人の働き手の誘導、さらに政府の支援による新たなテクノロジー産業の活性化による雇用増大などを含めて、これらの政策は人口動態に大きな影響を与える可能性を秘めています。
東京都の人口と世帯数の推移
人口 | 世帯数 | |
2015年 (平成27年) | 1,351万5,271人 | 670万1122世帯 |
2020年 (令和2年) | 1406万4,696人 | 721万9,402世帯 |
増加率 | 4.07% | 7.73% |
人口の増減はエリアによって異なる、増加数の1位は東京都区部
全国の市町村の人口増減を見てみると、最も人口増加数が多いのは東京都区部で5年間に約47万人増加しています。以下、福岡市、川崎市、大阪市などが続いています。
こうした人口が増加するエリアとは反対に、日本国内においては人口が100万人を切るいわゆる限界集落化する実態を有する県が増えてきています。
人口が減るという事は経済の流れが阻害され、消費も落ち込みます。消費が落ち込めば自治体に入る税収入も減り、行政サービスの低下を招き悪循環となります。
人が減り高齢化するエリアの収益不動産は当然の事ながら空き家も増え、家賃も下がりその先には地価も下がり金融機関においては不良債権を多く抱える事となります。 このような中で人口が増える所、横ばいの所、減少の一途をたどる所と3者三様の様相を呈しています。
人口増減数の大きい市町村の人口及び人口増加数
人口 2020年 (令和2年) | 増加数 2015年~2020年 (平成27年~令和2年) | |
特別区部 (東京都) | 974万4,534人 | 47万1,794人 |
福岡市 (福岡県) | 161万3,361人 | 7万4,680人 |
川崎市 (神奈川県) | 153万9,081人 | 6万3,868人 |
大阪市 (大阪府) | 275万4,742人 | 6万3,557人 |
以上述べさせて頂いた通り、東京圏・東京都は過去を遡ってみても人口が増加している事が分かります。また企業におけるテレワークの浸透などで東京からの転出人口が増えていると思っている方も多いと思いますが、昨年2020年は東京都は3万1,125人の転入超過となっています。
2021年後半はワクチン接種が進み景気回復とともに東京の人口がどう変わっていくのか、注目してみたいと思います。