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コロナ禍におけるワンルームマンション賃料動向の推移【プロが教える不動産投資コラム】

新型コロナの感染者数も激減し、来年の「Go Toキャンペーン」や「都民割」の報道もされるなど経済も含め徐々に落ち着きを取り戻してきています。

しかし新たな変異株「オミクロン型」の新型ウイルスが世界に蔓延する懸念から、日本においても外国人の新規入国を停止するとの発表もあり依然予断が許されない状況が続いている事は確かです。

今回のコラムでは最新の家賃相場の統計を検証しながら、マンション投資について述べてみたいと思います。

都心オフィスの空室率は上昇傾向

新型コロナでは働き方改革の影響もあり、都心のオフィスの空室率は上昇傾向となっています。その結果、エリアにもよりますがオフィスビルの賃料は強含みとは言えない状況となっています。しかし感染者数の減少とともにテレワークの比率も徐々に低下していますので今後の賃料動向については注視が必要です。

外出規制などで商業ビルの店舗賃料も弱含みとなっていましたが、今後は徐々にその回復が期待されます。

それでは、東京都における単身者向けのワンルームマンションの賃料相場はこの新型コロナでどのような影響を受けたのでしょうか。

ワンルームマンションの家賃は上昇傾向に

公益財団法人不動産流通推進センターの「2021不動産業統計集」によると、ワンルームマンションの家賃は2014年からのデータで見てみると上昇トレンドとなっており、このコロナ禍においても上昇傾向が続いています。

ワンルームマンションの賃料の推移(東京圏・平均)

賃料
2014年3月70,914円
2017年3月71,954円
2018年3月72,280円
2019年3月73,131円
2020年3月73,797円
2021年3月74,069円
<公益財団法人不動産流通推進センター「2021不動産業統計集」>

それではなぜワンルームマンションの家賃相場は底堅い動きを見せたのか、その理由を考察してみたいと思います。

(1)このコロナ禍においても東京都の転入超過人口はプラスで推移した事です。特に東京への移住者の多くは若年層が中心で女性も多くおり、セキュリティのしっかりとしたワンルームマンションの需要が維持できた事。

(2)もともとワンルームマンション業界は供給が少ない業界です。首都圏の新築ワンルームマンション供給も2020年が6,260戸、2021年1~6月も3,650戸と極めて供給が少ない訳です。またワンルームマンション業界はファミリーマンション業界と比べてテレワーク等による人口移動の影響が軽微であった事などもその要因の一つと考えられます。

(3)東京都においては全国的に見ても持ち家率の割合が極めて低く、ちなみに平成30年度の統計では全国2位の低さとなっています。

さらに同じ東京圏の中でも都心から離れる程賃貸率が低いという統計があります。都心から10キロ圏内では共同借家の割合は51.1%ですが、30キロ圏では29.9%と低下し持ち家率が高くなります。この事からも東京都区内では住居形態が賃貸マンションなどである割合が多くなる傾向にあると言えます。

つまり新型コロナの影響はともかくとして、元々構造的に賃貸の需要が底堅いエリアと考えられます。

国際的にも東京の賃料は高い水準

東京のマンションの賃料は高い水準ですが、ちなみにニューヨークのマンションは平均月収の40倍が相場と言われています。つまり家賃が30万円の賃貸住宅に居住するためには1,200万円の年収が必要な訳です。

東京はニューヨーク、ロンドン、香港、シンガポールに並ぶ世界有数の不動産としての価値が高い都市です。東京は多少高い家賃を払っても様々な生活利便性を享受できるという魅力ある都市とも言えます。

インカムゲインの重要性

不動産投資家にとって大切な事は、収入(インカムゲイン)の安定性です。

家賃が一定の水準で上昇する事は不動産投資家にとって大切な事です。なぜなら家賃が下がるという事はそのまま物件の資産価値も下がる事を意味するからです。例えば家賃が10万円でマンション価格が2,500万円とすると、利回りは4.8%ですが、同じ利回りで家賃が1万円下がると、物件価格は2,250円と250万円下がる事を意味します。

また家賃は、新築時においては階数や向きによって異なりますがほぼ一定の水準の上で成り立っていると言えます。ところが時間の経過とともに、同じマンション内でも家賃の動きが異なるケースが出てきます。それはマンションの年間を通じで一番の需要期である3月・4月に入居者を募集した場合と閑散期に募集した場合とでは、家賃にも影響が出やすい訳です。

しかし近年では投資系ワンルームマンションも各社による家賃保証システム制度が整備されていますので、その点についてはあまり心配がいらないかもしれません。

インフレによる恩恵も

岸田政権に入り世界全般を見ても金融緩和⇒インフレ懸念がぬぐえない状況です。

インフレにより現金の価値は落ちますが、マンションなどの資産保有者にとっては物件価格のアップと家賃のアップという二つのメリットを享受しやすい環境となる訳です。

しかしすべてのワンルームマンションがその恩恵を享受できる訳ではなく、その物件が存在する立地条件(都心のビッグターミナルまでの距離・駅からの距離)、建物の構造・スペック、再開発、法人賃貸需要、など様々な要素によります。

先日お会いしたお客様は数年前に山手線の浜松町の駅近くにワンルームマンションを購入し家賃保証において一定の家賃を得ていましたが、コロナ禍において入居者が退去し、逆に新たに従来よりも1万円も高く契約ができたそうです。

これは保有期間中に隣駅に「高輪ゲートウェイ」という新駅が誕生したり、JR「浜松町」駅周辺の再開発がその間に着々と進んだ結果の「賜物」と言えるのではないでしょうか。 つまり街の発展とともに成長するマンションは家賃そのものも「成長する」訳です。

都心のマンション賃料は高額化が進む

都心の不動産価格は上昇してきています。インターネットで賃貸マンションの募集サイトを見てみると、都心部の再開発の進むエリアの周辺ではワンルームマンションは専有面積約25㎡で月額賃料が20万円近いケースもあり、また20㎡前後でも15万円以上のワンルームマンションも見受けられます。月額の賃料が20万円と言う事は、表面利回り4%としても6,000万円の資産価値があると考えられます。

東京の利便性は東京五輪終了後も進められる再開発によってますます高まってきています。今後は再開発やリニア中央新幹線、羽田空港線などの開業により一層ポテンシャルが高まる事が予想されます。こうした都心への交通利便性の高いマンションの賃料水準は将来的にも落ちづらいと言えるのではないでしょうか。

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