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新線・新駅・再開発と地価の関係は?【プロが教える不動産投資コラム】

季節の移ろいは早いもので関東エリアにおいてはあっという間に桜の季節も終わりました。

さて近年、地価・マンション価格は特に東京首都圏において上昇トレンドとなっていますが、今回のコラムにおいてはその背景や要因などについて考えてみたいと思います。

地価上昇の要因は?

代表的な地価である「公示地価」などは実際の取引事例などを参考にして価格が決定されます。ワンルームマンションの用地などはその周辺の家賃相場なども影響を与えます。

近年、都内や都心周辺などで地価が上昇しているエリアも多くなってきていますが、地価上昇の要因は大きく分けて次の3つがあると考えられます。

  1. 新線・延伸計画
  2. 新駅計画
  3. 大規模再開発計画

上記の3つの要素の影響により地価が上昇すればそのエリアのマンション価格も上昇すると考えられます。

では近年地価が上昇したエリアの例をいくつか見てみましょう。

新線・延伸計画の例

(1)東京メトロ丸の内線、「方南町」駅からの直通運転

現在東京メトロ丸の内線は「池袋~荻窪」で運行されています。それとは別に「方南町支線」として「方南町~中野坂上」駅も運行されています。「方南町支線」は2019年に方南町から「新宿」駅方面に直通となり「中野坂上」駅での乗り換えがなくなりました。

「方南町」駅などは鉄道の利便性が格段に高まり「方南町」駅近くの商業地の地点(杉並区方南2-21-3)では2019年の公示地価では7.3%の上昇と高い上昇率となり、さらに前年の7.0%上昇よりも上昇率が拡大しました。

(2)上野東京ラインが開発した「尾久」駅

意外な例としては荒川区の「尾久」駅があります。もともと知名度が比較的低い駅でしたが、利便性が高まり知名度も地価も上昇したという例です。

「尾久」駅は高崎線・宇都宮の駅ですが「上野」駅止まりとなっていました。しかし2015年に「上野東京ライン」が開通すると東京を代表するビジネス街である「東京」駅を始め「新橋・品川」駅などにも直通となりました。

「尾久」駅から近い住宅地(荒川区西尾久7-38-5)の地価は2016年から2022年にかけて約29%も上昇しました。 住宅地の地価は商業地のように大きく変動する事は少ないので、新線の開業の影響も大きいと考えられます。

新駅開業の例

(1)山手線の新駅「高輪ゲートウェイ」駅

東京都内で新駅が建設される事は珍しいですが、山手線の30番目の駅である「高輪ゲートウェイ」駅が2020年に開業しました。品川駅からわずか1駅で都営浅草線「泉岳寺」駅にも近いエリアです。

駅前には大規模な再開発「品川開発プロジェクト(第1期)」も予定されています「Tokyo Yard PROJECT」とネーミングされ周辺エリアでも再開発が進行しています。

「高輪ゲートウェイ」駅に近い商業地(港区高輪3-25-22)の地価は10年前の2012年のから2022年にかけて約70%も上昇しています。

(2)日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ」駅

虎ノ門エリアでは森ビルを中心とした大規模再開発が進行し、高層ビルが次々と建設されています。このエリアに東京メトロ日比谷線の「虎ノ門ヒルズ」駅が2020年に開業しました。駅周辺には2014年に「虎ノ門ヒルズ 森タワー」、2020年に「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」が誕生しています。さらに「(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」が2023年に開業を予定しており、周辺には「愛宕グリーンヒルズ」などの超高層ビジネスビルが開業しています。

「虎ノ門ヒルズ」駅近くの商業地(港区虎ノ門1-16-8)の地価は2012年から2021年にかけて約110.1%と、なんと倍以上の上昇となりました。

再開発の例

(1)大規模再開発が進行中の「渋谷エリア」

現在「渋谷」駅周辺エリアでは「100年に一度」と言われる程の大規模な再開発が進行しています。さらに今後は現在工事が行われている「渋谷桜丘口」の再開発も2023年に完成するなど今も進行中の街と言えます。

広域的に渋谷区全体の商業地の平均地価を比較してみると住宅地では10年前の2012年から2022年にかけて約85%も上昇しています。

「渋谷」駅は多くの路線が利用でき、さらに2023年には東急新横浜線の開業も予定されていますので、こうした沿線の住宅需要が今後ますます増加する可能性があります。

(2)大規模再開発で上昇率1位となった「大崎」エリア

過去にも再開発などで地価が上昇した例が多くあります。筆者が以前講演させて頂いた「大崎」の財閥系不動産会社のタワーマンションの近くの地価上昇率は2013年の基準地価において一位となりました。

山手線の内側のエリアで、周辺には御殿山と呼ばれる高級住宅地のあるエリアです。駅周辺は大規模な再開発が続き、多くのオフィスビルも開業しています。また「品川」駅のリニア中央新幹線の開業による利便性向上がさらに見込まれるという期待感も地価を押し上げました。その結果、その周辺のマンション価格上昇にもつながった訳です。

(3)西新宿の再開発と地価

西新宿エリアはかつて淀橋浄水場があり、高度経済成長期に大きく発展したエリアです。超高層ビルが建ち並ぶ日本を代表するビジネス街であり、東京都庁も1990年に移転しまし現在もオフィスビルが多く建設されています。

1996年には東京メトロ丸の内線「西新宿」駅が開業しました。開業当時はバブル崩壊後の不良債権処理が進んでいる中で、新宿エリアにおいても地価が下落中でしたが「西新宿」駅の誕生効果もあり下落幅が縮小しました。

近年このエリアの地価も大きく上昇していきています。西新宿の住友ビルのある商業地(新宿区西新宿2-6-1)の地価は2012年から2022年にかけて約80%も上昇しています。周辺にはタワーマンションを始め住居も多くあり、こうした不動産の資産価値にも大きな影響を与えると考えられます。

また新宿駅は多くの沿線が利用でき利用者数も日本一と言われており、新宿エリアの再開発が進み就業人口が増えれば今後も多くの沿線の住宅需要にも影響があると考えられます。

このように地価や不動産価格などには新線・新駅・再開発が影響を与える訳ですが、2022年春以降も東京首都圏には多くの再開発が進行中であり、今後も不動産価格にいい意味で影響を与えそうです。

これからワンルームマンション投資などを始める方はこうした首都圏の発展性も享受できますので、将来性も高い投資と言えるのではないでしょうか。

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