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全国的な少子化・人口減時代における東京不動産投資の将来性について【プロが教える不動産投資コラム】

2022年も早くも前半が終わろうとしています。岸田政権が発足して以来、様々な課題があるものの岸田政権に対する支持率は高まっているようです。

しかし日本においては人口減、社会保障費の増大、環境問題など他多くの課題を抱えています。 今回は長期的な目線での少子化・人口減と不動産投資の関係性について考えてみたいと思います。

少子化が進行していますが

厚生労働省が発表した「令和3年(2021)人口動態統計」によると2021年の出生数は81万1604人で、前年の84万835人より2万9231人減少し昭和22年以来最小となりました。同統計によると最も古い統計は明治32年(1899年)ですが、その年の出生数は138万6981人となっていますのでそれより約50万人も少ない事になります。

特殊合計出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数に相当)は前年より0.03ポイント下がって1.30となり6年連続の低下となりました。過去4番目の低さとなり、新型コロナによる社会不安から出産をためらう方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

少子化問題は国全体の大きな課題であり、官民が一体となってこの問題に取り組む事が大切あると考えます。筆者は以前フィリピンを訪れた事がありますが、フィリピンでは一つの家族に子供が5人、6人ととても多く、決して豊かな国ではないものの子育てがしやすい環境が整っているようです。 新型コロナが落ち着いた後にはまた婚姻件数の増加とともに出生率の上昇も期待したい所です。

合計特殊出生率の推移

合計特殊出生率
2019年1.36
2020年1.33
2021年1.30
<厚生労働省「令和3年(2021)人口動態統計」>

日本の人口の減少も続く

出生率が低下し、日本の人口も減少傾向にあります。2022年5月1日時点の日本の人口(概算値)は約1億2,505万人となっています。

人口の動向を10月1日現在で見てみると、2021年は1億2550万2千人で、前年に比べ64万4千人(‐0.51%)の減少で、減少幅は比較可能な1950年以降過去最大となっています。つまり日本では少子化と共に人口減も進行している訳です。

ではここからが本題となりますが、このような中で将来の不動産投資業界はどのように推移していくのでしょうか。

日本の人口

年次総人口
2019年10月1日1 億 2,655万5千人
2020年10月1日1 億 2,614万6千人
2021年10月1日1 億 2,550万5千人
<総務省「人口推計(2021年(令和3年)10月1日現在)」>

将来において賃貸経営が安定的に推進されるためにはエリアの選定が極めて大切な要素になると考えられます。つまりエリアによってその動きは二極化が進むという事です。大都市圏・地方都市圏において人口の動向は異なる傾向が拡大していくと考えられます。中でも「東京」はこうした少子・人口減社会の中でも逆に将来性が高くなってきています。 その理由について検証してみましょう。

東京の人口は転入超過が続く

新型コロナの影響でテレワークが浸透し東京都から周辺部へ移住する方が増加し、東京への転入超過人口は減少傾向となりました。

東京都の転入超過人口は2019年には8万人以上でしたが2020年には約3万人と5万人以上減少し、さらに2021年は5千人台と大きく減少しました。しかし減少はしたものの依然として転入超過の状態が続いています。

東京への転入超過人口の推移

転入超過人口
2019年82,982 人
2020年31,125 人
2021年5,433 人
<総務省「住民基本台帳人口移動報告」よりオフィス野中作成>

直近の2022年の動向を見ると、1月から4月までも転入超過となっており、新型コロナ禍でも東京都は依然転入人口が多い事が分かります。

2021年に転入超過となった都道府県は10都府県で、神奈川県(3万1844人)が最も多く,次いで埼玉県(2万7807人),千葉県(1万6615人)が続き首都圏の転入超過人口が多い事が分かります。

東京への転入超過人口の推移(2022年1~4月)

転入超過人口
2022年1月491 人
2022年2月624 人
2022年3月33,171 人
2022年4月4,374 人
<総務省「住民基本台帳人口移動報告」よりオフィス野中作成>

東京都の転入超過人口は2019年から2021年にかけて約7万5,000人減少しましたが、その分が周辺の3県に移転したとも考えられます。今後新型コロナが収束すれば、この3県の転入超過人口が再び東京都に戻る可能性もあると考えられます。

つまり東京への転入超過人口はアフターコロナで大幅に増加する可能性を秘めています。

東京都は出生率は低いが若い世代の転入超過が多い事が特徴

東京都は出生率が低いですが生産労働人口に該当する方々が多く転入してきます。2021年の調査では東京23区は15~64歳の転入超過数が全国でトップとなっています。

つまり東京以外で出生した方が就業などで東京や首都圏に移転してくるケースが多いと考えられます。

こうした事から、東京都自体の出生率は低くても転入によって就業人口が増加し、経済的な発展が続き住宅需要も増加していくと考えられます。

出生率ランキング(低い方)2021年

都道府県合計特殊出生率
1東京都1.08
2宮城県1.15
3北海道1.20
<厚生労働省「令和3年(2021)人口動態統計」>

15~64歳の転入超過人口(高い方)2021年

都道府県転入超過数
1東京23区13,018 人
2大阪市12,380 人
3横浜市9,957 人
<総務省「住民基本台帳人口移動報告 2021年結果」>

東京都の単身世帯は増加傾向に

2021年の国勢調査の結果から東京都の世帯を世帯種類別に見てみると「単身世帯」が最も多くなんと全体の50.26%と半数を超えています。前回調査の47.39%から増加し半数を超える結果となりました。単身世帯の全国平均は38.08%と比較して東京都は単身世帯率が非常に多い事が分かります。

実数では東京都の単身世帯数は362万5,810世帯となっています。2015年と比較して46万1,135世帯も増加しており、増加率は14.57%にもなっています。なんと年間に単身世帯が約9万人以上も増えている計算になります。東京・首都圏のワンルームマンション新規発売戸数が年間に6,000戸前後ですのでその10倍以上です。若い世帯の流入が多い事から東京都の単身世帯率は上昇し、ワンルームマンションなど単身世帯向けの住宅需要も増加すると考えられます。

東京都の単身世帯率は増加に

2015年2020年
東京都の単身世帯率47.39 %50.26 %
東京都の単身世帯数316万4,675 世帯362万5,810 世帯
<東京都「令和2年国勢調査 人口等基本集計結果概要」>

まとめ

以上のように検証してみると、全国的に少子化、人口減が進行しても、とりわけ東京においては安定的な転入超過により人口増加が今後も続く可能性もあります。

東京都には多くの若い世代が流入、さらに単身者が増加しているので、新規に発売されるワンルームマンションのような優良な単身者向け住宅の需要は安定していると考えられます。 このように長期的なスタンスで不動産投資をする場合は、そのエリアごとの人口動態を参考にしながら進める事が大切であると考えます。

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