有楽町線の延伸と魅力が増す東京イースト(東エリア)【プロが教える不動産投資コラム】
不動産投資をする上では当然の事ながら立地の選定が重要なポイントとなります。
都心部では品川、恵比寿、渋谷、新宿など比較的高額物件が発売されるエリアがありますが、東京の中にはそれ以外にも「東京」駅など都心にアクセスしやすいにも関わらずリーズナブルな、株に例えると「出遅れ的な優良株」のような物件が潜んでいるエリアもあります。
近年では鉄道交通網が格段に進化し、東京「東エリア」も人気を集めています。
こうしたエリアは下町の雰囲気も残り地域のコミュニケーションも取りやすく、さらに交通利便性、生活利便性の向上により魅力が高まっています。
今回は、地下鉄有楽町線の計画もありますます進化する東京東側エリアでの交通と再開発などについて検証してみたいと思います。
東京東側エリアとは
東京都には都心部を環状に運行するJR山手線のターミナル駅などを中心に多くのビジネス街が形成されています。
山手線を中心として見た場合、西側においては「新宿・渋谷」など現在もなお発展が続くビジネス街があります。またまさに日本の中心とも言える東京駅周辺には有楽町、新橋などのビジネス街・一大商業ゾーンが広がり、さらに日本橋、茅場町など金融、証券の拠点エリアが形成されています。
東京東側エリアはこうしたビジネスエリアに地理的に近く、さらに近年では交通機関の発達により交通利便性がより向上しています。 こうした事から近年では東京「東エリア」の駅前などを中心として再開発が進んでいます。
鉄道の延伸が地域に与える影響は
東京「東エリア」の発展は、地理的な要因と共に鉄道の発展も大きく寄与しています。
東京メトロ半蔵門線が2003年に「押上」駅まで延伸しました。さらに「つくばエクスプレス」が2005年に開業、「日暮里舎人ライナー」が2008年に開業、JR「上野東京ライン」が2015年に開業しています。
このように新線の開業や延伸により東京東エリアの交通利便性も向上し、住居としての人気が上昇する要因となっています。
東京東エリアでも都心に近い荒川区を始め、多くの路線が利用できる北千住や押上など、様々なエリアで地価の上昇も見られました。
東京駅から同心円を描いて見ると、西側は山手線内側や新宿・渋谷などのオフィスや商業エリアなどである事に対して、東側の方は主に居住エリアが広がっており不動産価格もリーズナブルですが、今後も交通利便性の高いエリアにおいては地価・不動産価格上昇の可能性もあります。
有楽町線の延伸計画が決定
こうした中で東京「東エリア」の鉄道延伸のニュースが発表されました。地下鉄「有楽町線」の延伸について、東京メトロ(東京地下鉄株式会社)に対して国土交通省から鉄道事業許可が出されたとの事で、開業は2030年代半ばを目指しています。小池都知事の推進する東京都の新路線の計画の中にも入っている路線です。
東京メトロ有楽町線は現在埼玉県の「和光市」駅から東京都江東区の「新木場」駅まで運行している路線です。今回の延伸計画では、途中駅の「豊洲」駅から北方面へ分岐し「住吉」駅まで延伸するものです。
このエリアは江東区に該当しますが、江東区は横(東西)の路線は多いですが縦(南北)の連絡路線が少なかったので今後の交通利便性の向上が期待できます。
「住吉」駅からは東京メトロ半蔵門線が「押上」駅まで運行していますので、有楽町線がそのまま半蔵門線に乗り入れて「押上」まで直通となる事も予想されます。
新駅の開業で「駅前」エリアが誕生
有楽町線の延伸により新駅の開業も予定されています。
新駅は「豊洲」「東陽町」駅の間の「江東区枝川二丁目周辺」、と「東陽町」「住吉」駅の間の「江東区千石二丁目付近」が予定されており、駅名は未定です。
新駅が誕生する事により、「駅前」のエリアが突如誕生する事になります。駅から遠かったエリアが新線の駅前となる事になるので交通利便性が大きく向上し、周辺の住宅需要も多くなりますので今後注目のエリアと言えます。
有楽町線の延伸による広域的な影響と今後の構想
有楽町線の延伸によって、「豊洲」駅などの湾岸エリアから東西線の「東陽町」駅と半蔵門線・都営新宿線の「住吉」駅がつながり「押上」などにもアクセスしやすくなります。また東西線などの混雑も緩和される見込みです。
さらにその先においても延伸の構想があります。「押上」駅からさらに北に延伸し「四ツ木」駅や「亀有」駅方面や「松戸」駅方面などに延伸する事も検討されています。これは有楽町線を「亀有」駅まで、半蔵門線を「松戸」駅まで延伸する構想です。
該当する自治体である葛飾区、墨田区、江東区、松戸市では「地下鉄8・11号線促進連絡協議会」を設置して調査研究を進めていますので、今後の進展にも期待したい所です。
大きく変わる東京東側での街並み
東京「東エリア」の街並みも変わってきています。例えば都営浅草線・大江戸線の「蔵前」駅はここ数年の間とてもおしゃれなカフェや女性が好むような素敵な雑貨店が多く建ち並び、ここは青山の一角ではないかと錯覚するような街並みも広がっています。それでいて下町情緒も併せ持ちとても魅力を感じます。
「押上」駅は2012年に「東京スカイツリー」が開業し、一躍日本を代表する観光地ともなりました。筆者は半蔵門線が開業した頃に押上に現地取材に行った経験があります。街自体には魅力を感じましたがまだ発展途上との印象を受けました。しかし次々と開発が進み驚く現在では程変貌しています。
周辺の「曳舟」エリアなども多くの大型開発が進み下町情緒を維持しながら新しい街並みに進化しています。
浅草の北側は「裏浅草」と呼ばれ人気が高まっていたりと、東京「東エリア」は都心西側にはない唯一無二の新しい街並みとして進化をしている訳です。
東京東側で多くの再開発が進行
また近年では東京「東エリア」での大規模再開発が進行しています。都心への利便性も高い事から住居としての開発も進んでいます。こうした「東エリア」の再開発の例をいくつか見てみましょう。
大規模な街づくりが進んでいるのが足立区の京成線「千住大橋」駅周辺の大規模再開発です。「ポンテグランデTOKYO」とネーミングされたこの広大なエリアは地理的には北千住にも近いエリアです。隅田川沿いに12haにものぼる大規模な再開発で、多くのタワーマンションなどの住居や公園、業務棟などA街区からK街区まで11街区で開発が進んでいます。街の風景も全く新しくなるのではないでしょうか。
葛飾区の京成線「立石」駅前では「立石駅北口地区第一種市街地再開発事」が進んでいます。地上35階、高さ120mの住宅・店舗や地上13階高さ62m のオフィスビルなどの建設が予定されています。また北口だけでなく南口でも地上34階、高さ125mの再開発計画が検討されています。
総武線沿線などでも再開発が進む
JR「総武線」沿線では、江戸川区の「小岩」駅前で大規模な「南小岩六丁目地区市街地再開発」が、葛飾区の「新小岩」駅前では「新小岩駅南口地区第一種市街地再開発」が進められています。また江東区の「亀戸」駅近くにはサンストリート亀戸の跡地に商業施設と住宅から成る「カメイドクロック」が2022年の4月に開業しています。
都営新宿線の「西大島」駅近くでは「大島三丁目1番地地区市街地再開発」が進行しており、高層のタワーマンションの他、公共施設や商業施設などの建設も予定されています。
他にも東京メトロ千代田線「綾瀬」駅前や、JR常磐線「金町」駅前を始め東京東側エリアでは多くのエリアで再開発が予定されています。
まとめ
東京「東エリア」ではこうした大規模再開発により住居や商業施設などが次々に建設されています。再開発により人口が増加すれば、街も活性化し生活利便施設が増えたり、また街としての注目度も上がります。マンション投資の立地として見た場合にも、地域一体開開発型の大型タワーマンションが建設されれば街自体の魅力が上がって行きます。つまりこうした再開発が周辺のワンルームマンションの付加価値を上げる事につながっていきます。
東京「東エリア」には浅草や柴又などを始め下町の雰囲気や魅力の残るエリアも多くあります。新旧のエリアが混在し、既に街が熟成している東京西エリアなどと比べて今後も発展の余地の大きい東京「東エリア」は不動産投資の立地としても今後ますます注目を集めるのではないでしょうか。