2022年最新!東京都の転入超過人口と不動産投資【プロが教える不動産投資コラム】
不動産投資は長期に渡りますので人口動態はとても大切な要素となります。なぜなら投資するエリアに転入者の方が増えればその街はますます活性化し、転出する者が増えれば人口が減少し入居率などに影響を与えるからです。
今回は、東京都の転入超過人口について総務省の発表した「住民基本台帳人口移動報告」から検証してみましょう。
東京都の転入超過人口
総務省の「住民基本台帳人口移動報告」では、毎月各都道府県への転入者数、転出者数とその差を発表しています。転入者数が転出者数より多ければ「転入超過」となります。
「転入超過」となっているエリアは比較的若い方の人口も増加しますので特に単身者向けの不動産投資にとっても適したエリアと言えます。
東京都の人口移動状況を見て見ると、ここ近年は「転入超過」状態が続いていました。 2013年には転入超過人口は7万人台となり以降7~8万人という大幅な転入超過が続いていました。これは全国的にも見ても非常に多く、東京都の一極集中が進んでいた状況と言えます。全国でも転入超過となっているのは10都府県のみとなっています。
東京都 転入超過人口の推移
転入超過人口 | |
---|---|
2012年 | 56,497人 |
2013年 | 70,172人 |
2014年 | 73,280人 |
2015年 | 81,696人 |
2016年 | 74,177人 |
2017年 | 75,498人 |
2018年 | 79,844人 |
2019年 | 82,982人 |
2020年 | 31,125人 |
2021年 | 5,433人 |
2022年1-6月 | 39,669人 |
新型コロナの影響で東京都の転入超過人口は減少
2019年頃からは新型コロナの影響により東京都の転入超過数は減少、2019年の82,982人から2020年は31,125人となりました。さらに2021年は5,433人と大幅に減少となりした。
これはテレワークなどの普及や。また人口が多い東京の「密」を避けて東京から周辺部などに流出した方が多かった事などが要因と考えられます。
但し年間では転入超過を維持しており、このコロナ禍においても首都圏の「人口吸引力」が強かった事が示されています。
東京都の人口移動状況
2019年 | 2020年 | 2021年 | |
---|---|---|---|
転入者数 | 466,849人 | 432,930人 | 420,167人 |
転出者数 | 383,867人 | 401,805人 | 414,734人 |
転入超過数 | 82,982人 | 31,125人 | 5,433人 |
「転入者」の数をさらに分析してみると
こうしたマクロの数値には盲点があります。これをミクロで見ていると新たな発見がある場合があります。
東京都への「転入者数」に着目すると、2019年の446,849人から2020年には432,930人と33,919人の減少で、減少率を見ると約7.2%です。
また2021年の東京都への転入超過人口はわずか5,433人と大きく減少しましたが、転入者自体は420,167人と前年比ではわずか2.9%の減少となっています。
つまり転入者自体は減少しているものの、それほど大幅な減少とは言えないと考えられます。こうした事から転入超過人口が減少した背景には「転出者数」が増加した事が大きな要因と考えられます。
転入・転出人口のそれぞれの「年齢層」に着目
さらに東京都の転入・転出人口の「年齢層」に着目してみましょう。
2021年の状況を東京都の資料から見ると、「転入超過」となっている年齢層は15~29歳の「若い世代」のみとなり。他の世代は全て「転出超過」となっている事が分かります。
15~19歳の世代には大学入学により東京に転入してくる方も含まれると考えられ、また20~24歳は大学通学及び就職、25~29歳は就業により移転する方が多いと考えられます。
東京都への転入者の数を見ると、20代(20~24歳及び25~29歳の合計)では20万人以上となっています。こうした若い世代は単身世帯が多く、単身世帯用の住居の需要は、毎年多く発生していると言えます。転出超過が多いのは0~4歳及び30代となっています。これらのデータから読み取れる事として、子供が小さいファミリー世代の転出が多いのではないかと推測されます。
また高齢の年齢層の動向を見ていると、例えば55歳以上の年齢層では転入人口が少なく、転出超過となっている事が分かります。
2021年 東京都 年齢各歳別他道府県間転入・転出者数
年齢 | 転入者数 | 転出者数 | 転入超過数 |
---|---|---|---|
総数 | 420,167人 | 414,734人 | 5,433人 |
0-4歳 | 13,041人 | 23,258人 | △ 10,217人 |
5-9歳 | 6,612人 | 9,313人 | △ 2,701人 |
10-14歳 | 3,890人 | 4,001人 | △ 111人 |
15-19歳 | 23,455人 | 9,273人 | 14,182人 |
20-24歳 | 118,118人 | 68,603人 | 49,515人 |
25-29歳 | 98,703人 | 90,583人 | 8,120人 |
30-34歳 | 51,644人 | 62,483人 | △ 10,839人 |
35-39歳 | 30,226人 | 40,941人 | △ 10,715人 |
40-44歳 | 19,452人 | 25,832人 | △ 6,380人 |
45-49歳 | 15,525人 | 19,787人 | △ 4,262人 |
50-54歳 | 12,169人 | 16,225人 | △ 4,056人 |
55-59歳 | 8,173人 | 12,118人 | △ 3,945人 |
60-64歳 | 5,090人 | 8,786人 | △ 3,696人 |
65-69歳 | 3,361人 | 6,296人 | △ 2,935人 |
70-74歳 | 3,172人 | 5,612人 | △ 2,440人 |
75-79歳 | 2,222人 | 3,568人 | △ 1,346人 |
80-84歳 | 2,161人 | 3,200人 | △ 1,039人 |
85-89歳 | 1,901人 | 2,929人 | △ 1,028人 |
90歳以上 | 1,252人 | 1,925人 | △ 673人 |
2021年の転入超過人口を「月別」に見ると
2021年東京都の人口移動状況はトータルでプラスになっていますが、各月の状況はどうでしょうか。
2021年は新型コロナの影響もあり転出超過の月が多かったですが、新年度の前月である3月の転入超過人口が最も多く、次いで4月が多くこの3、4月だけが「転入超過」となりました。3月の転入超過が多かったので、転出超過の月が多かったにも関わらず年間トータルでは転入超過となった訳です。
3月の転入超過人口が多いという事は「入学や就職」のために東京に転入して来る方が最も多いと考えられます。 3・4月以外の月の転出超過は、こうした若年層以外の年代で新型コロナやテレワークなどで東京を離れる方多いと予想されます。
2022年は6か月連続で転入超過が続く
2021年から打って変わって、2022年は大きな変化が表れています。2021年は転出超過の月が多くありましたが、2022年の1月から6月までの6か月間は、「転入超過」が続いています。1月から6月の転入超過人口の累計では既に39,669人となり、2020年の転入超過人口(31,125人)を超えました。
緊急事態宣言などの行動の制限もなくなり、再び東京の転入超過人口が大きく増加する可能性もあります。
東京都の転入超過がプラスの要因は?
こうした転入超過人口の増加要因の一つとして、求人倍率の増加が挙げられます。
厚生労働省が発表した全国の有効求人倍率は6か月連続で前年比を上回っています。
また東京労働局が発表した6月の都内の有効求人倍率は前月と変わらず1.44倍でした。 東京都の有効求人倍率の推移を見ると、新型コロナの影響もあり東京都の有効求人倍率は一時低下しており、2021年6月には1.17倍でしたが、2021年末ごろから上昇し始め、2022年の5月、6月には1.44倍と上昇傾向となっています。
東京の大学の入学定員数は新型コロナによって増減はありませんので、毎年一定の学生が入学のために東京に移住してくると予想されます。それに加えて求人が多くなれば、都外から就業のため転入してくる方がさらに増加すると考えられます。
まとめ
東京には日本の人口の約10分の1が集中する大都市で、上場企業の本社も東京には全国の約半分が集中しています。さらに今後も大規模な再開発が進行しており多くのオフィスビルなどが建設される事から就業人口の増加も見込まれます。
新型コロナに関してはまだまだ予断は許されませんが、長期的には東京の発展は続き東京の人口の転入は続くと考えられますので、不動産投資のエリアとしてますます注目度が上昇してくるのではないでしょうか。