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駅からの時間の表示などが改正に【プロが教える不動産投資コラム】

不動産投資をする上で立地を選ぶ際には「交通アクセス」が重要な要素となります。都心部までの電車の時間も重要ですが「駅までの時間」も重要な点となるので、今回は、マンションの立地の選び方と駅までの時間について述べてみたいと思います。

駅からの時間と環境の違い

立地の選定の条件は様々ですが、住宅を借りる方の視点に立ってみると思い浮かぶのが「駅からの所要時間」です。

これは家族構成などによっても変わってきます。例えば、お子様が2人いる4人家族などでは、駅からの時間もさる事ながら保育園や小学校、公園、買い物施設や交通状況など「子育てにふさわしい環境」を重視する方も多く、必然的に駅から10分以上の住宅街が好まれる傾向となります。

それに対して単身者の方は、公園や環境面よりも「駅からの時間」を優先する方が多いです。つまり、生活利便性と自分が自由に使える時間にプライオリティを置く傾向にあるようです。

では、駅からの時間はどのように算出されているのでしょうか。

最寄り駅までの時間

マンションから最寄り駅までの時間は「距離」から算出されます。

その距離は、直線距離ではなく道に沿った距離となり、80メートルで1分となり、端数は切り上げられます。80メートルなら1分ですが81メートルなら2分となります。

こうした表示については「不動産公正取引協議会」の規約で定められています。

駅の基点となるのは電車のホームや改札からではなく、駅の最もマンションから近い出入口からで、マンション側の基点はマンションの敷地までとなっていました。

しかし、何百世帯も住む大型のファミリーマンションは敷地面積がとても広くマンションのエントランスに到着する時間も長くなります。

つまり、同じ駅10分でもマンションの敷地面積の広さにより住戸によって差異が出る傾向にあります。そこで今回、こうした時間表示の方法などが改正となりました。

表示が改正されマンションの出入口(エントランス)が起点に

駅からの距離を表示する場合は、これまでの「マンションの敷地」から、今後は「建物の出入口(エントランス)」が基点となりました。

大型の敷地を持つ大規模マンションなどは、実際の時間に近づくのではないでしょうか。また建物が2棟以上ある場合などは最も近い住戸と最も遠い住戸までの時間も併記されるようになりました。

スーパーや学校など近くの施設については、これまで物件からの道路距離が表示されてきましたが、今後は徒歩所要時間の表示も可能となりました。

実際に「徒歩10分」を歩いてみると

ちなみに駅から10分というと道のりにすると800メートルですが、筆者は実際に歩いて実験してみました。

井の頭公園のトラックが1周400メートルなので2周でちょうど800メートルとなります。少しゆっくり歩いてみるとちょうど10分位になりましたので、この表示方法は信頼できると確信しました。

やや速足で歩くと8分台になりました。今の若い方は歩くスピードも速いので早く到着するのではないでしょうか。

同じ800メートルでも信号や踏切、坂道などがあるとまた所要時間も変わる可能性もあります。また、商店街などがあると、目で楽しみながら歩けるので時間も短く感じると思います。

余談ですが、東京五輪の陸上男子800メートル走の記録は1分45秒ですので、オリンピック選手はわずか2分足らずで走り抜ける事になります。

駅からの時間は同じでも

近年では賃貸住宅を選ぶ際には直接不動産会社の門を叩く他、スマホやPCなどからインターネットの賃貸サイト等で選択する方も多いようです。

賃貸サイトでは、そのサイトにもよりますが駅3分以内、5分以内、7分以内、10分以内、15分以内など細かく分かれており、ワンルームマンションなどの単身者向け住宅では概ね10分圏内が多いと推測されます。

もちろん駅の規模、利便性を考慮した場合、駅10分以上でも人気物件は多々あります。

例えば同じ駅12分としても郊外の駅の12分と地下鉄丸ノ内線の「銀座」駅から徒歩12分とでは全く異質な比較対象となる訳です。

「銀座」駅から徒歩12分の所に住んでいる方に「駅から遠い所に住んでいるのですね」という方はまずいないと思います。そもそも「銀座」駅から徒歩圏に住んでいる事自体がすごい事だからです。

電車の所要時間は乗り換え時間を加算

電車の所要時間については、朝の通勤時間帯の所要時間を明示し、平常時はその旨を明示して併記できるようになりました。

また、乗り換えを要する場合にはその旨を明記し、所要時間に乗り換え時間を要する時間を含める事になりました。

都心の巨大なターミナル駅では、多くの路線が利用できて利便性が高いですが、駅の規模が大きいので路線によっては乗り換えに時間がかかる事もあります。逆に「新宿」駅のJR総武線と山手線のように同じホームで乗り換えのロスタイムが少ない場合もあります。

これまでは「〇〇駅まで〇分(乗り換え時間含めず)」となっていた表示が、乗り換え、待ち時間などの概ねの時間を含む表示になります。今はスマホを使って電車の所要時間を検索すれば乗り換え時間も含めて出てくるので、実際の時間に合ってきたと言えると思います。

また、ターミナル駅などでもホームや導線などの改良が進み乗り換えも時間も短縮傾向にあると言えます。

マンションの名称についても一部改正

マンションの名称についてもルールがあります。マンションのある町名など地理的な名称をつけるのはOKですが、それ以外には下記のような表記はOKとなっています。

  1. 慣例として用いられている名称や歴史上の地名
  2. 物件の最寄り駅の名称
  3. 公園、庭園、旧跡、海(海岸)、湖、河川などは300メール以内
  4. 街道や道路、坂などは50メートル以内

今回改正されたのは3と4で、3は「海(海岸)、湖、河川」などが追加となりました。

4は今までは街道や道路、坂などに面していなければ名称を使用できませんでしたが、今回50メートル以内と緩和されました。

マンションのネーミングはそのマンションのイメージを左右しますので重要です。例えば「銀座」と名前に付くマンションでも「銀座」駅からかなり遠い物件もありますが、これは「銀座」というエリアは広く「京橋」から「汐留」の辺りまでに及んでいる事もあります。

また「浅草」などもブランドエリアとなりますので、よくマンションの名前に付けられますが、実は「浅草」という地名は「浅草寺」の北側にも広がり「裏浅草」とも呼ばれていますが、さらに「西浅草」「東浅草」も含めればかなり広域となっていますので「浅草」の名前が入るマンションもそのエリアがかなり広くなります。

こうした人気のブランドエリアは地価も上昇しており、その希少性も年々高くなってきているようです。

駅からの時間と希少性

駅に近い程その面積は少なく、駅からの時間が倍になると面積は4倍となります。

つまり距離の二乗に比例して面積が増える訳です。駅から近いエリアは、駅の施設を始め商業施設やホテル、オフィスビルなどが建ち並びワンルームマンション用地の供給が少ないエリアですので希少性も高いと言えます。

建物や設備は劣化していきますが駅10分という距離は「劣化」しませんし、逆に再開発などで利便性が良くなる事もあります。これを筆者は「優化」と呼んでいます。

駅から離れるほど駅周辺の喧騒から遠ざかりますので、静かな住環境を好む方にも良いかもしれません。駅から近くても遠くてもそれぞれにメリット・デメリットがありますし、同じ徒歩10分でも物件によって道のりも環境もそれぞれ異なりますので、物件選びの際は賃貸入居者の方の視点で実際に現地を歩いてみると実感できるのではないでしょうか。

参考資料:不動産の公正競争規約/不動産公正取引協議会連合会
表示規約同施行規則主な改正点2022年9月1日施行/不動産公正取引協議会連合会

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