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「コロナ5類変更」でどう変わる?経済・不動産投資市場【プロが教える不動産投資コラム】

2023年は2020年1月に国内で新型コロナが初めて確認されてから3年目となります。2020年の3月に筆者がサラリーマン時代に在籍していた会社のOB会が中野の居酒屋で催されましたが、その翌月の4月には第1回目の緊急事態宣言が発令されました。

この間私達の生活や企業・経済など広範な分野に影響を与えてきました。しかしこの状況にも大きな変化が訪れるようです。岸田首相は新型コロナの分類について、2023年の連休明け5月8日からインフルエンザなどを同じ「5類」に変更する事を決定しました。

この変更により経済そして不動産投資市場へはどのような影響があるのか検証してみたいと思います。

新型コロナのインバウンドへの影響と今後

5類変更によりまず大きく変わると予想されるのが「インバウンド(訪日外国人)」の動向です。新型コロナ発生前までのインバウンドは増加傾向にあり、2013年に1,000万人を超え、それ以降も増加が続き2016年に2,000万人台、2019年には3,188万人となりましたが、2020年以降は新型コロナによる入国規制で大幅に減少しました。

しかし2022年10月以降の規制緩和により訪日外客数は増加し2022年11月には93万人と前月から倍増、2019年11月比40%近い水準となり、さらに12月には100万人を突破しました。2022年の年間では383万人となり前年比で大きく増加しました。しかし2019年の3,188万人と比較するとまだ約10%強と本格的な回復には至っていない事が分かります。

為替面では2022年10月の1ドル150円を超える円安と比べて現在は円高となっていますが、コロナ前の2019年の水準と比較して円安となっており、今後はコロナ規制の緩和によるインバウンドによる各方面への経済効果が期待されます。

投資用マンションは駅近の商業地などに建設される事が多く、今後はホテル・商業施設の土地需要と競合し新規の用地取得が難しくなる可能性もあります。

訪日外国人数の推移

20122013201420152016201720182019202020212022
人数(万人)8351,0361,3411,9732,4032,8693,1193,18841124383
<日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数の推移」より作成」>

中国からの訪日客と労働・留学生の動き

かつてインバウンドの中でも大きな割合を占めていたのが中国からの訪日客で2019年には約959万人、消費額は約2兆円となりました。中国では厳しい規制のあった「ゼロコロナ」が2022年12月に終了し、日本を含む海外に渡航できるようになりましたが、中国からの訪日客はまだそれほど大きな増加は見られません。

2023年1月末には中国の正月である春節を迎えましたが、中国からの訪日客はまだ少ない状況です。中国からの訪日客が回復すれば本格的なインバウンドの復活につながると考えられます。

また外国人労働者や留学生なども増加が期待されます。外国人労働者は2022年10月末時点で182万人余りと過去最多となっています。

水際対策の緩和などによっても今後増加すれば賃貸需要なども大きく増加する可能性があります。

旅行・ホテル・外食業界への影響は

2019年まではインバウンドの大幅増加により旅行・ホテル業界も好調に推移していましたが、新型コロナの影響で旅行ホテル業界にも大きな影響がありました。特に新型コロナの影響が大きかった2021年には旅行業界の損失は2兆円とも言われています。そのような状況の下、新規ホテルの建設が中止や延期となったケースもありました。

旅行業界も2022年10月以降の水際対策緩和や全国旅行支援などから回復傾向にあり、観光庁の発表した「宿泊旅行統計調査」によると2022年11月の「のべ宿泊者数」は4,570万人泊で2019年の同月と比較して▲0.8%であり、回復傾向が進んでいます。

2023年以降も大都市圏などにも新規のホテル開業が相次ぎ、羽田空港に直結の「羽田エアポートガーデン」も1月31日に全面開業となるなど回復傾向にあります。

外食産業にも新型コロナによる行動規制などから大きな影響が出ました。帝国データバンクが2023年1月に発表した「新型コロナウイルス関連倒産」の累計件数でも居酒屋を中心とする「飲食店」が最も多い結果となりました。

2022年後半はコロナの規制緩和の効果もありファストフード店などを中心に売り上げが回復してきています。5月以降は大きな回復も期待されます。

こうした業界の回復により経済の回復に加え就業人口や住宅需要の増加が予想されます。

地価に与える影響は

地価はバブル崩壊以降長く低迷の時期が続いていましたが、2012年のアベノミクス開始以来は都市部を中心に地価上昇が続いていました。

特に低金利によって発生した余剰資金が都心部の不動産などに流入し、インバウンドによる不動産需要と相まって都心部の地価・不動産価格は大きく上昇しました。2019年の公示地価(1月1日時点・公示地価は前年1年間の動向を表します)では東京都区部の住宅地で4%台の上昇率となり、また商業地では2019年に7.9%、2020年には8.5%と高い上昇率が続いていました。

2021年の公示地価では住宅地・商業地共にマイナスとなりましたが、2022年には上昇に転じています。

2022年の基準地価(7月1日時点)では上昇率はさらに拡大しており、東京都区部の地価も回復傾向にある事が分かります。

国土交通省が発表した地価LOOKレポート(10月1日時点)では東京都区部の主要エリア19ヵ所の内で地価下落地点はなく12地点が上昇、7地点が横ばいとなりました。

今後は新型コロナの規制緩和により新たな不動産需要が発生すれば、地価は回復傾向に拍車がかかり、さらに大きく上昇する可能性もあります。

かつてインバウンドの影響もあり東京の銀座、大阪のミナミや京都などの地価が大きく上昇していました。こうしたエリアは一時的に大きく地価が下落した地点もありましたが、アフターコロナを見据えて今後は再び上昇に向かう可能性もあります。

東京都区部の地価変動率の推移(公示地価・1月1日時点)

2013201420152016201720182019202020212022
住宅地▲0.21.81.92.83.03.94.84.6▲0.51.5
商業地▲0.42.73.44.85.56.47.98.5▲2.10.7
(単位:%)<東京都「令和4年地価公示価格(東京都分)」より作成>

東京都区部の地価変動率の推移(基準地価・7月1日時点)

20212022
住宅地0.52.2
商業地▲0.32.2
(単位:%)<東京都「令和4年東京都基準地価格」より作成>

今後の不動産投資市場はどう動くのか

現在も日本経済においてインフレ傾向は続いていますが、政府日銀は大規模金融緩和の持続を発表しており今後もしばらくは低金利が続くと考えらえます。こうした低金利を背景にマンション需要も多く、首都圏の新築ファミリーマンション価格は過去最高を記録し、中古マンションの価格も上昇している状況にあります。また投資マンション市場も好調で価格も上昇傾向にあります。

東京は転入超過人口も大きく減少していましたが、現在は回復基調が見られてきていますので、東京の経済発展により人口の増加傾向も強まる可能性があります。それに加えて新型コロナの規制緩和による潜在需要が顕在化し、マンション市場がさらに活発化する事も予想されます。

住まいと勤務先との関係においては「テレワークによる郊外化」が進んでいましたが、こうした傾向も残り、今後は「職住近接」も増え多様化が進む事が予想されます。

アフターコロナで景気が上昇すれば、様々なサービスやイベントなどが活性化し、消費拡大から企業業績のアップ、さらには賃金の上昇から不動産投資層の拡大、不動産の資産価値や賃料の上昇などの局面も期待されます。今後コロナが収束に向かえば日本経済や不動産市場の大きな「転換期」となる可能性もあります。

ポストコロナを見据えて、今がマンション投資を始めるには適した時期であると言えるのではないでしょうか。

<コロナ5類以降による効果は?>
サービス、イベント、スポーツ業界など様々な人の動きが活性化

消費の活性化

企業業績の向上

従業員の賃金アップ

不動産市場(購入・賃貸)活性化へ期待

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