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将来への備えとレバレッジを活かした資産運用法【プロが教える不動産投資コラム】

今年2023年も押し迫ってまいりましたが、寒暖差も激しく体調管理に気を付けたい所です。さて我が国では高齢化が進み、将来への備えの重要性も高まってきています。今回のコラムでは不動産投資とレバレッジについて考えてみたいと思います。

我が国では高齢化が進行しています

日本では高齢化がかつて見ないスピードで進んでいます。2023年9月15日時点の日本の高齢化率は29.1%と過去最高となりました。75歳以上人口は2,000万人を超え、高齢者割合は世界一高くなっています。

また、東京都でも高齢化が進んでいます。東京都が9月15日に発表した「敬老の日にちなんだ東京都の高齢者人口(推計)」によると、東京都の高齢者(65歳以上)は311万4万人で、前年と比べ1千人増加しました。

高齢化率は23.5%となり前年と比べ0.1ポイント上昇し過去最高となりました。東京都の高齢化率は全国平均より低くなっていますが、それでも年々増加しています。

20年前の2003年と比較して高齢者人口は100万人以上増加、高齢化率は17.4%から23.5%と大きく上昇しました。

東京都の高齢人口と高齢化率

2003年2008年2013年2018年2023年
高齢者人口210万人247万1千人280万2千人307万7千人311万4千人
高齢化率17.4%19.8%21.9%23.3%23.5%
<東京都 令和5年「敬老の日にちなんだ東京都の高齢者人口(推計)」>

ひっ迫する年金財政と将来の年金の行方は

こうした中で年金財政も厳しくなってきています。

2021年度の社会保障給付費は新型コロナ対策などの影響もあり過去最高の138兆7,000億円となりました。2023年度(予算ベース)でも134兆3,000億円と高い水準となっています。

1980年には24.9兆円でしたので、2023年には実に5倍以上となっています。

年金財政はひっ迫しており、年金の支給額は物価上昇より低く抑えられたり、また将来的には年金の支払い期限を65歳に延長する事なども検討されているようです。

社会保障給付費の推移

1980年2000年2020年2023年
給付費総額24.9兆円78.4兆円132.2兆円134.3兆円
うち年金10.3兆円40.5兆円55.6兆円60.1兆円
<厚生労働省「社会保障の給付と負担(マクロベース)」>

NISAなどで自己防衛が推奨されていますが

年金財政が厳しさを増していく中で、政府はNISAなどの拡充による「自己防衛」を推奨しています。投資の中でも不動産投資はインフレにも強く安定した投資として昔から人気があります。NISAでは一定の制限はありますが「不動産投資信託」を始める事もできます。不動産投資信託はJ-REITとも呼ばれています。

不動産投資信託には様々なメリットがあります。ビルや住宅、ホテル、物流施設など様々な投資対象に投資をする「特化型」や、投資先を組み合わせる事でリスクをヘッジした「複合型」などもあります。

いずれも専門家が資金を運用しますので、投資家には不動産の管理などの手間がかかりません。また上場されていますので市場で売買などの取引ができます。

しかし、不動産投資信託は借り入れが利用できませんので、自己資金が投資額となります。

マンション投資では借り入れが可能

マンション投資の場合は不動産投資ローンを利用できますので、自己資金が100万円でも借り入れによって3,000万円の投資も可能となる場合もあります。

3,000万円のマンションの利回りが4%とすると年間に120万円、月に10万円の収益となります(経費等を除く)。この収益からローンの返済をしますので、毎月の負担は物件によって異なりますが、少ない場合が多くなっています。ローン返済後は3,000万円のマンションが手に入り、さらに毎月の収益が年金の代わりとなります。

このように少ない自己資金でも借り入れを利用する事で大きな投資をする事は「レバレッジを効かせる」とも言われています。

レバレッジとは「てこの原理」の事で、小さい力で大きな物を動かせるという事です。

マンション投資:
自己資金100万円 借り入れ2,900万円 金利2% 35年返済
投資額3,000万円 ⇒ 利回り4% ⇒ リターン:年間120万円
年間利息(35年間の平均)32.4万円
年間収入120万円-利息32.4万円=87.6万円
自己資金100万円で87.6万円のリターン⇒87.6%
<諸費用・経費・税金等は含まれておりません>

コツコツ貯金をして3,000万円を貯めて1戸マンションを購入

ローンを利用しないで毎月貯金をして30年後にマンションを購入する方法もあります。

ローンを利用しなので利息はかかりません。しかし30年で3,000万円を貯金するには年間に100万円、毎月8万3千円ずつ貯金する必要があります。デメリットとしては借り入れを利用したマンション投資と比べて毎月の負担が大きくなる事、さらに家賃収入を得るための機会を喪失する事が挙げられます。

つまり30年間は家賃収入が入らない訳です。仮に想定利回りが4%とすると3000万円×4%で年間120万円、120万円×30年、なんと30年間で3,600万円の家賃収入の機会損失となります。

また、インフレの影響も見過ごせません。インフレにより現金の価値は下がる一方で不動産価格は上昇傾向にあります。

今から30年後の不動産価格は現在より大きく上昇している可能性もある訳です。

自己資金3,000万円で10戸購入した場合

自己資金として3,000万円が運用可能な場合、不動産投資信託で4%の運用した場合は年間120万円となります。また現金でワンルームマンションを購入した場合も利回り4%なら年120万円の収益が可能となります(いずれも経費等を除く)

これで十分という方もいらっしゃるかもしれませんが、さらに借り入れを利用した不動産投資の場合はどうなるか見てみましょう。

自己資金3,000万円で2,700万円を借入れ3000万円のワンルームマンションを10戸購入する場合を見てみましょう(金利2%、35年返済)。

年間の家賃収入は1,200万円、ローンの利息は301.8万円とすると年間898.2万円で29.9%のリターンとなります。

ローン終了後も家賃が同じと仮定すると、自己資金3,000万円に対して1,200万円の収入なので40%のリターンとなります。

もちろん家賃の変動や空室リスク、維持管理費など様々なリスク・経費等もかかりますがレバレッジを効かせた投資においてはリターンが高い事が分かります。

マンション投資
自己資金 3000万円 借入2億7,000万円 金利2% 
35年返済投資額3億円 利回り4% リターン年間1,200万円
年間利息(35年間の平均)301.8万円
年間収入1,200万円-利息301.8万円=898.2万円自己資金3,000万円で898.2万円のリターン⇒29.9%
<諸費用・経費・税金等は含まれておりません>

つまりレバレッジという考え方からすると、物件価格に対する自己資金の割合が高くなる程利回りは低下し、逆に自己資金が少ない程利回りは高くなると言えます。

さらにレバレッジの効果としては、キャッシュで買うよりは購入額全体が上がり家賃収入が得られる機会(時間)が長くなるという事です。

但しいたずらにレバレッジをかければいいという訳ではありません。今後の金融の引き締めも考慮しながら程よい予算額を決める事が肝要です。

将来を見据えた投資

不動産投資ローンは現在、低金利という事もあり借り入れを行って不動産投資をするには良い状況が続いていると言えます。金利が低ければ利息が少ないのでそれだけリターンも多くなります。ただし今後は景気の上昇と共に金利も上昇する可能性もあります。

しかし、マンション投資はインフレに強い投資と言われており、景気や物価の上昇とともにマンションの資産価値や賃料が上昇する可能性もあります。また借入金は物価の上昇により実質的な価値は少なくなっていきます。

不動産は賃料が安定しているため長期間の投資にも向いており、将来のための投資としても適していると考えられます。

借り入れができる条件は限定的

このように不動産投資は借り入れを行い少ない自己資金でも大きな投資ができますが、実は誰もが借り入れができる訳ではありません。一般的には不動産投資ローンは住宅ローンよりも審査が厳しくなっています。借り入れには年齢や年収、勤続年数や健康状態などを始め、購入する物件の条件などもあります。

つまりこれらの条件を満たしている事は「ワンルームマンション購入の好機」にあると言えます。

※文章中の金利、マンション価格、利回りなどは仮定のものであり、実際と異なる場合があります。賃料収入や利回りは物件によって異なります。金利や借り入れ金額などの条件は金融機関やお客様の条件により異なります。金利、賃料収入や利回りを保証するものではありません。

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