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インバウンドとサービス業の動向が不動産投資に与える影響は【プロが教える不動産投資コラム】

2024年もあっという間に3月を迎えました。東京都内でも何度か雪が降ったり寒暖差も大きくなっていますので健康には留意したいものです。

さて最近のビッグニュースとしては日経平均株価が4万円を超えバブル後の最高値を更新した事があります。こうした景況感の高まりも相まって国内の消費も少しずつ上向いているようです。

さらにコロナ5類移行から9ヵ月経過となりインバウンドや国内旅行も増加しており、今後の消費動向はサービス業の比率も高くなっていくと考えられます。

今回のコラムではインバウンドの最新状況や今後の経済、とりわけサービス業界の動向が不動産投資に与える影響などを考察してみたいと思います。

増加するインバウンド

海外からのインバウンドが増加しています。日本政府観光局が発表した2023年の訪日外客数は約2,506万人となり、新型コロナ前の2019年の3188万人に78.6%にまで迫ってきました。2023年4月に水際措置撤廃以降は増加が続き、10月には単月として初めて2019年を超えています。

日本政策投資銀行と日本交通公社による「アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査 2023年度版」によると、次の希望する旅行先として「日本」がトップとなっており、今後も訪日外国人が持続的に増加する可能性を秘めています。

◼︎訪日外国人の推移

2017年2018年2019年2020年2021年2022年2023年
人数2,869万人3,119万人3,188万人411万人24万人383万人2,506万人
<日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数の推移」より作成」>

◼︎次に観光旅行したい国・地域

順位国・地域
1位日本
2位韓国
3位オーストラリア
4位ニュージーランド
5位シンガポール
<日本政策投資銀行・日本交通公社「DBJ・JTBFアジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査 2023年度版」>

国内の旅行も増加

海外からの訪日客も増えていますが、円安で海外旅行費が高くなっていますので国内旅行も多くなっています。日本人国内旅行者は2023年には延べ約4億9,000万人となり2019年の約5億8,000万人に近づきつつあり、前年より約8万人増加しています。つまり日本の人口が約1億2,000万人とすると、全国民が年に約4回旅行している事になります。

こうした国内の人流の増加により消費なども活発化すると考えられます。さらに鉄道・航空会社なども需要の回復が進み新型コロナの影響からの回復も目立ってきています。

◼︎日本人国内延べ旅行者数

2019年2020年2021年2022年2023年
延べ旅行者数58,710万人29,341万人26,821万人41,785万人49,733万人
<観光庁「旅行・観光消費動向調査 2023年年間値(速報)」>

観光消費は増加

こうした旅行者の増加を受けて、旅行消費額も増加しています。訪日外国人旅行者の消費額は2023年には過去最高の5兆2,923億円となり2019年より9.9%増加しています。

また国内の旅行消費額も増加しており、2023年には21兆8,802億円と2019年の21兆9,312億円に近くなっています。

観光業は日本経済にとっても重要な割合を占めていますので、今後の旅行消費の拡大により経済的にも大きく寄与することが見込まれます。

◼︎訪日旅行消費額

2019年2020年2021年2022年2023年
消費額4兆8,135億円7,446億円1,208億円8,987億円5兆2,923億円
<観光庁「訪日外国人消費動向調査2023年暦年 全国調査結果(速報)の概要 」>

◼︎日本人国内旅行消費額

2019年2020年2021年2022年2023年
国内旅行全体21兆9,312億円9兆9,741億円9兆1,783億円17兆1,609億円21兆8,802億円
宿泊旅行17兆1,560億円7兆7,718億円6兆9,849億円13兆7,253億円17兆7,660億円
<観光庁「旅行・観光消費動向調査」>

百貨店などの売上も増加。サービスの動向は

総務省の発表した「サービス産業動向調査」によると、サービス業の売上は前年同月比で上昇が続いています。百貨店の売上も増加しており2023年の全国の百貨店売上は前年比9.2.%の増加となり、主要10都市では11.8%の増加となりました。

筆者も時々新宿の伊勢丹など百貨店を訪れますが、平日にも関わらず多くのお客様で賑わっている光景にはとても驚きます。こうした人流や消費の増加であらゆる業界で人手不足が加速しています。とりわけサービス業の雇用情勢がひっ迫しており、飲食業や宿泊業などの賃金も上昇しています。

都市部などを中心に雇用も増加、売上高が上昇してくれば商業施設の収益料も上がる事になりテナント料も上昇してきます。銀座などの高級ブランドの多く出店するエリアでは商業施設の賃料が大きく上昇している事も報道されています。

◼︎サービス産業の月間売上高の推移(前年同月比)

2022年2023年
12月1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
前年同月比3.9%5.1%7.3%6.6%4.3%4.3%3.9%4.0%5.5%5.0%4.2%3.0%3.1%
<総務省「サービス産業動向調査」>

旅行者の多い都道府県は

このように全国でインバウンドや国内の旅行者が増加していますが、観光庁の「宿泊旅行統計調査(2023年・年間値(速報値))」によると、延べ宿泊者が最も多い都道府県別は「東京都」となっています。前年比64.8%の大幅な増加となっており、2位の大阪府の倍近くにもなりました。

つまりインバウンドや国内の人流による景気回復の恩恵を最も受けやすいのが、特に「東京都」であると言えます。

◼︎延べ宿泊者数数(2023年1月~12月(速報値))

都道府県延べ宿泊者数前年比
1位東京都97,308,610人/泊+64.8%
2位大阪府49,350,570人/泊+61.7%
3位北海道37,933,200人/泊+30.0%
4位京都府31,892,980人/泊+51.1%
5位沖縄県30,300,970人/泊+66.2%
<観光庁「宿泊旅行統計調査(2023年・年間値(速報値))」>

観光向けのホテルやサービスの値上がりも

旅行者の増加からホテルの宿泊料も上昇傾向にあります。筆者はよく名古屋・大阪を始め各都市などに出張に行きますが、コロナ5類後には宿泊料金が上昇してきている事を実感します。東京都心のビジネスホテルの宿泊料が2万円を超えるケースも珍しくない状況ですが、海外の水準と比較するとまだまだ割安感があり外国人なども多く利用しているそうです。

余談ですが訪日外国人に人気の観光地では、外国客向けの特別豪華で価格も高いメニューも出現しています。例えば「インバウン丼」と呼ばれる超高額な海鮮丼や、1杯3,000円のラーメンなどで、外国人観光客にも人気が高いそうです。

日本は物価が上昇傾向にありますが欧米などと比較すると物価も安いので、インバウンドの増加は日本の観光地価格を今後ますます押し上げ、さらに物やサービス価格などの全体の水準も上がる可能性もあります。

都内にもホテルも多く開業

観光・人流の活性化で宿泊施設も多く開業しています。渋谷では「100年に一度」と言われる再開発が進んでいますが、先日は桜丘エリアに「ハイアット ハウス 東京 渋谷」がオープンしました。

筆者もオープニングイベントに招かれて、共用部や宿泊施設を視察させて頂きましたが、長期滞在型の宿泊施設でプールやフィットネス、ミーティングのスペースなども用意されています。

渋谷駅から歩行者デッキでつながっており、交通アクセスも優れています。例えば2ベッドルームで1カ月80万円という部屋もありましたが、1泊当たりに換算するとリーズナブルと感じました。

こうした高級ホテルは周辺のブランドイメージを押し上げ、周辺の地価の上昇につながるケースもあります。

不動産投資に与える影響は

このように商業施設・ホテルなどの需要も増加してきています。収益力が上昇すれば賃料が上昇し、周辺の地価・不動産価格も上昇します。新型コロナで停滞していた地価も都心部や観光地では今後も大きく上昇する可能性もあります。

特に東京都は旅行者が多く、こうした影響も受けやすいと考えられます。またサービス業などの就業人口も増加し賃金上昇や住宅需要の増加などにも繋がる可能性もあります。

東京などの不動産投資は今後ますます有望であると言えるのではないでしょうか。

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