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台頭する将来不安とその備え【プロが教える不動産投資コラム】

日本経済においては企業の好業績・賃金アップ、さらに株価上昇など明るいニュースもある反面、インフレや物価上昇など私達の生活も一段と厳しさを増しています。4月30日には1ドルが160円を突破するなど、ここのところ円安傾向が強まってきており今後さらに物価上昇も続く可能性があります。

日本では高齢化が進む中で将来の不安も高まってきています。こうした社会情勢を踏まえて今後の高齢化社会を迎えにあたって、現状と将来の備えについて検証してみたいと思います。

高齢化が進む ~75歳以上人口が2,000万人を突破

総務省から2023年10月1日現在の人口が発表されました。このうち高齢化について見てみると、65歳以上の人口は前年比9千人の減少となりましたが、割合は29.1%と過去最高になりました。75歳以上人口は前年比71万人3千人の増加となり、初めて2,000万人を超えました。割合も16.1%で過去最高となりました。

65歳以上人口は3622万7千人ですが、その内75歳以上人口は2007万8千人とその半分以上を占めており、高齢化が進んでいる事が分かります。

ただ、昔からよく「当年とって」○○歳と言われますが、これを現代風に言い換えると、実年齢から「10年(当年)を取る」と置き換える事がきる程、元気があり若々しい高齢者が増えている事が分かります。この背景には健康に対する意識の変化(食事・運動・美容・ファッションなど)も相まって高齢化社会とは言いつつも実年齢と乖離があるような気がします。

高齢化社会が進む~高齢化の割合~

総人口65歳以上人口75歳以上人口
人口1億2435万2千人3622万7千人2007万8千人
割合29.1%16.1%
<総務省「人口推計(2023年(令和5年)10月1日現在)」>

社会保障の負担が増加

こうした高齢化の影響もあり、年金や医療費なども負担も増加してきています。 2024年4月からは75歳以上の医療保険料が上昇します。また2025年4月からも上昇となります。また高齢者の介護保険料の引き上げも2024年4月から実施されます。

大企業の健康保険の赤字が増加というニュースも報道されており、今後保険料負担の増額につながる可能性もあります。

公的年金の保険料納付5年延長案も検討されており、今後の社会保障費の負担は厳しさを増してきそうな様相です。

但し高齢者医療保険料の値上げは「出産育児一時金」の財源ともなりますので、将来の若い世代のためでもあります。若い世代の負担を下げるために一定の所得のある高齢者層の負担が増えるケースも続く可能性もあります。

公務員の方も将来負担が台頭

一般的には民間の会社員よりも給与面において安定性が高いと言われている公務員の将来にも不安が広がっているようです。

人事院が発表した「退職公務員生活状況調査(令和5年度)」によると、定年退職した公務員の方は「定年退職前にもっと知っておけば良かったと思うこと」について「年金、保険に関する情報」や「資産運用に関する情報」などを挙げています。特に「資産運用に関する情報」は前回調査より10ポイント近く増加しています。

また退職後も働いている理由として「日々の生計維持のために必要」がトップとなっています。同じ公務員の方でも若い時から退職後の備えとして資産運用・投資などをしていた方とそうでない方の違いがより鮮明化してきている事が分かります。

働く高齢者が増加

厳しい老後を反映してか、働く高齢者の方も増加しています。総務省が2023年の敬老の日を前にした発表によると2022年には65歳以上で働いている方は912万人となり1968年以降で過去最多を更新しました。就業率も65〜69歳は50.8%、70〜74歳は33.5%と多くなっています。

高齢になっても働く事は経済的な面はもちろん、社会につながっているという点や健康の面などからも推奨いたします。しかし高齢になっても働き続けるには、若い時からの「健康投資」も重要になってきます。日頃から自分の健康に気を配り、「健康寿命」を伸ばす事が大切です。

また同じ10万円を稼ぐための時間は若い頃と高齢になってからでは異なります。歳を重ねれば重ねる程10万円を稼ぐための労苦は高まるのが当然の事です。

逆に労働所得以外に資産所得(株の配当金・不動産による家賃収入)などがあるかないかが老後の生活ぶりに影響を与える事も分かります。

将来のための準備は

厳しい年金等の状況を受けて、岸田総理は「自助努力」を推奨しています。NisaやiDeCoなども推奨され多くの方も利用する状況となっています。

内閣府の発表した「生活設計と年金に関する世論調査」によると、「老後のための公的年金以外の資産の準備」については「預貯金」が最も多く67.6%となっています。次いで「退職金や企業年金」が32.9%、NISA(少額投資非課税制度)が 20.9%などと続きます。

日本では預貯金の量も多く、「日銀の資金循環統計」によると民間の金融資産のうち預貯金は1,127兆円もあり、金融資産の52.6%を占めています。

政府はこうした資金が投資信託などの投資に向かえば株式市場や経済の活性化にもつながるとの考えもあると思われます。

預貯金はインフレによって物価が上昇すると、実質的な価値が減少してしまいます。物価が2%値上がりするという事は現金の価値が2%下がる事を意味します。また年に2%ずつ価値が下がると、72の法則(※)で36年後には価値が半分になる計算です。

「生活設計と年金に関する世論調査」では「老後の生活設計の中で、公的年金をどのように位置づけていますか」という質問に対して、「全面的に公的年金に頼る」は 26.3%となり、「公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる」が最も多く53.8%となっています。公的年金にプラスアルファの収入を得る事が重要と考える方が多い事が分かります。

※72の法則:72を金利で割る事で資産が倍または2分の1になる期間が分かる法則です。2%ずつ減れば72÷2で36年後に2分の1になります

老後のための「不動産投資」とは

公的年金にプラスする投資としてNISAやiDeCoなどを始める方も多くいらっしゃいますが、「老後に向け準備したい、またはした公的年金以外の資産」の中で「不動産投資」を挙げる割合は2.9%となっています。まだまだ少数ではありますが一定数の方がいらっしゃる事が分かります。

こうした中で今後はますます不動産投資のポピュラー化が加速していくと考えられます。一棟物のアパート投資から区分のワンルームマンション投資、J-REIT、さらに一口1万円程度から買える不動産クラウドファンディングなど投資のすそ野が急速に拡大していて、不動産投資に関心を持つ方が非常に増えています。

「老後に向け準備したい、またはした公的年金以外の資産」(複数回答)

預貯金67.6%
退職金や企業年金32.9%
NISAと呼ばれる少額投資非課税制度20.9%
民間保険会社などが販売する個人年金14.5%
NISA以外の株式や債券、投資信託などの証券投資11.7%
国民年金基金11.6%
iDeCoと呼ばれる個人型確定拠出年金8.9%
不動産投資2.9%
その他2.0%
老後に向けた資産形成はしない、またはしなかった12.5%
<内閣府政府広報室「生活設計と年金に関する世論調査」>

さらに「不動産投資」を挙げた方の割合は全体で2.9%ですが、大都市では4.1%、さらに東京都区部では6.4%と倍以上になっています。東京都区部などの住宅の賃貸需要は高く、それを実感できる事もその理由であると考えられます。複数回答ではありますが20人に一人は不動産投資をしたいと考えているか、またはしている事になります。

「老後に向け準備したい、またはした公的年金以外の資産」
不動産投資を挙げた方のエリア別の割合

エリア割合
全体2.9%
大都市4.1%
東京都区部6.4%
<内閣府政府広報室「生活設計と年金に関する世論調査」>

退職金などの運用としても

退職金などの運用先としても投資信託をお考えの方も多いですが、ワンルームマンションを1部屋現金で購入した場合は、すぐに数%のリターンがあり、さらに年金と違って賃料収入は毎月振り込まれる事になります。現在の新築マンションは耐震性も含めた建物の構造・さらに最新のスペックなどクオリティが高く、長期間運用できる優良な投資先となります。

インフレでは退職金なども実質的価値が時間とともに下がってしまいますので、不動産はインフレ時の投資先としても適していると言えます。

民間のサラリーマンだけでなく、公務員の方も将来のための資産運用の重要性が増してきている時代となっています。公的年金にプラスアルファする資産運用先として不動産投資も有効な選択肢の一つとして挙げられています。

多くの方が将来のための投資が高まっている中で、月々わずかの負担でできる安定した投資先として不動産投資も注目を集めています。高齢化社会においては資産寿命の長い投資をする事が重要になってきます。インフレにも強い不動産投資は今後も都市部を中心に人気が高まるのではないでしょうか。

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