進行する高齢化と将来への備え【プロが教える不動産投資コラム】
厚生労働省の簡易生命表によると日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.14歳となり長寿化の傾向にあります。こうした事から人口の高齢化が進み65歳以上の割合も増えています。私達の老後はますます長くなってきているようです。
今回のコラムではこうした最新の高齢化のデータと本格的な高齢化社会を迎えるにあたっての備えについて考察してみたいと思います。
進行する高齢化
高齢化が進む事により将来の年金など社会保障の動向にも大きな影響を与えます。また同時に高齢化への備えも重要となってきています。
総務省が9月の敬老の日にちなん発表したデータによると、我が国の65歳以上の人口は2024年9月15日現在3,625万人、総人口に占める割合は29.3%といずれも過去最高となりました。前年の3,623万人、29.1%より増加しています。また日本の65歳以上人口の割合は世界で最も多いそうです。日本の高齢化の進行が進み世界一の高齢国となっていると言えます。
◼︎9月15日時点の65歳以上人口と割合
2023年 | 2024年 | |
---|---|---|
総人口 | 12,435万人 | 12,376万人 |
65歳以上人口 | 3,623万人 | 3,625万人 |
65歳以上人口の割合 | 29.1% | 29.3% |
平均寿命が長い都道府県は?
では平均寿命が最も長い県はどこでしょうか?厚生労働省が発表した2020年の都道府県別の平均寿命によると、最も平均寿命が長いのは女性では岡山県、男性は滋賀県となりました。
都道府県別の簡易生命表は5年毎に発表されますが、前回の調査では女性は長野県で、その前は沖縄県などが続いていました。筆者が以前見た資料によると、長野県の寿命が長い要因として65歳以上の方の就業率が高い事がありました。つまり働く事により社会的コミュニケーションが図れ、また食生活においても様々な情報交換ができる事も起因しているのではないでしょうか。
男性は5回連続で長野県でしたが今回は滋賀県に首位を譲りました。滋賀県では県民一人当たりの塩分の摂取量が少なく喫煙率も低い事が影響していると考えられます。
寿命の延びと健康寿命
では、日本で最高齢の方は何歳でしょうか?日本最高齢の方は2024年現在で116歳になられ、なんと明治時代の生まれだそうです。世界で最長寿の方は117歳と言われていますので、まさに世界的な長寿の記録である考えられます。
全国で80歳以上の方は1,290万人、90歳以上の方は282万人、そして100歳以上の方はなんと約9万人もいらっしゃいます。また100歳以上の人口は男性が約1万人に対して女性が約8万人と女性が多くなっています。
平均寿命とは別に、健康でいられる「健康寿命」というものがあります。平均寿命が延びる中でも健康を維持し、健康寿命を延ばす事も大変重要と言えます。
10月は「体力つくり強調月間」であり10月14日はスポーツの日となっています。すでに日頃からスポーツを楽しんでいる方も多いかもしれませんが、日ごろ運動が不足している方はこれを機会に健康とスポーツについても考えてみてはいかがでしょうか。
◼︎65歳以上の人口(2024年9月15日現在)
年齢 | 65歳以上 | 70歳以上 | 80歳以上 | 90歳以上 | 100歳以上 |
---|---|---|---|---|---|
人口 | 3,625万人 | 2,898万人 | 1,290万人 | 282万人 | 9万人 |
ますます厳しくなる社会保障の状況
こうした高齢化の進行を受けて、将来の年金財政を含めた社会保障の状況も厳しさを増してきています。9月13日に政府は新たな「高齢社会対策大綱」を発表しました。これによると75歳以上の後期高齢者の医療費は窓口負担が3割となる対象を拡大する方針との事です。今後も社会保障費はますます増加していくと考えられます
年金だけに頼る事ができない老後の生活のために65歳以降も就業している方も増えています。2023年には65歳以上の就業者数は914万人となり過去最高となりました。15歳以上の就業者のうち65歳以上はおよそ7人に1人となっています。
また働くにしても健康である事が前提となりますので、今後ますます健康を維持する事が重要となってきています。
◼︎65歳以上の就業者数の推移(2024年9月15日現在)
2013年 | 2018年 | 2023年 | |
---|---|---|---|
65歳以上就業者 | 637万人 | 860万人 | 914万人 |
割合 | 10.1% | 12.9% | 13.5% |
※割合:15歳以上の就業者総数に占める65歳以上の就業者の割合
人生100年時代にふさわしい資産運用は
このような時代背景から、将来に対する「自助努力」の重要性が増し、また「貯蓄から投資へ」という政府の推進の流れの中で、「将来のための資産運用」への関心が増してきています。
物価上昇に伴い金利も若干ですが上昇傾向となり、社会全体でインフレに移行しつつある時期にあると言え、こうした中で安定した資産運用である不動産投資の注目が高まってきています。
筆者は老後の所得として公的な年金収入に加えて適度な労働収入が重要であると考えます。
先ほど長野県の例を挙げましたが適度な労働をする事で社会との接点を持ち、働く事によって健康にもつながるからです。さらに筆者は「資産収入」の重要性も高いと考えます。
安定した資産収入があれば将来の生活にプラスとなり、さらに働けなくなった時でも安定した収入が見込まれるからです。
ワンルームマンションの寿命は?
このように資産運用が重要となる時代の中で不動産投資におけるワンルームマンションが注目度を高めています。それでは人口の高齢化と共にワンルームマンションの寿命についても述べてみたいと思います。
日本では1970年代に入るとワンルームマンションが発売されるようになりました。日本で第一号のワンルームマンションとも言われているのが、すでに解体されていますが1972年に竣工した中央区銀座8丁目にあった「中銀カプセルタワー」です。
高度経済成長の中で住宅や社会インフラ、そして都市の生活形態が新しくなり、そうした中でワンルームマンションも誕生しました。さらに1980年代には区分所有法が改正され、ワンルームマンションもますます普及していきました。
当時発売されたワンルームマンションはすでに築50年を超える物件も多いですが、その多くが現在も現役で収益不動産として稼働しています。
現在発売されている物件は当時の物よりも建築技術も進歩し、寿命もさらに長くなると考えられます。
日本人の平均寿命が延びていますが、ワンルームマンションの寿命も同時に伸びてきていると言えます。つまり新築のワンルームマンションは将来的にもより資産需要が長い投資対象であると言えます。
高齢でも元気な方の共通点とは?
筆者の知人において高齢にも関わらず元気な方々にはいくつかの共通点があります。まず当然の事ながら健康意識が高く、食事はもとよりお酒もほどほどに、また若い頃は喫煙していた方もその多くが40歳以下で禁煙している事。
また完全にリタイヤするのではなく月に何度かとか仕事をしている事、また人それぞれですが、旅行・ゴルフ・カラオケなど楽しみを持っている事、それらを通じて楽しい仲間がいる事などが挙げられます。
さらに経済的には若い頃から老後の生活が困らないよう一定の貯蓄はもとより資産形成をしているなどが挙げられます。もちろんこれらの条件が当てはまる方は少なく、そのいくつかが当てはまるという感じです。
人間は自分の想像以上に早く歳を重ねていきます。そのためには将来生活設計と健康を第一に老後も大切ですが「今も楽しむ」という考え方も大切かと考えます。
このように現在の生活も楽しみながら健康と将来の生活について考えてみてはいかがでしょうか。