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東京の地価上昇が止まらない! 2025年公示地価の最新動向と注目エリア

2025年の公示地価が発表され、東京の地価上昇がさらに加速していることが明らかになりました。東京都心部では商業地の地価が10%を超える上昇率を示し、住宅地も高い上昇率を記録しています。

再開発やインバウンド需要の増加などが地価上昇の要因となっており、今後も東京の地価は上昇傾向が続く可能性があります。この記事では、2025年公示地価の最新動向と、注目すべきエリアをご紹介します。

2025年の公示地価発表、全国の地価は上昇傾向に

地価には様々な種類がありますが、毎年3月頃に発表される「公示地価」は全国の地価動向の目安となる代表的な指標です。

2025年の公示地価によると全国の地価は全用途平均、住宅・商業地のいずれも4年連続の上昇となり上昇率が拡大しました。

三大都市圏でも全用途平均・住宅地・商業地のいずれも4年連続で上昇し、上昇幅が拡大しました。東京圏及び大阪圏では上昇幅の拡大傾向が続いていますが、名古屋圏では上昇幅がやや縮小しましたが依然上昇している事には変わりなく、オフィス・住宅需要の根強さがうかがえます。

◼︎公示地価 三大都市圏の地価変動率の推移

住宅地商業地工業地
2024年2025年2024年2025年2024年2025年
東京圏3.4%4.2%5.6%8.2%6.2%7.1%
大阪圏1.5%2.1%5.1%6.7%6.1%7.3%
名古屋圏2.8%2.3%4.3%3.8%4.1%3.9%
<国土交通省「令和7年地価公示」>

東京都の地価動向は特に商業地で高い上昇率

東京都の地価は住宅地で5.8%の上昇となり、商業地では10.5%と10%を超える高い上昇率となりました。

また東京都心部を見てみると、住宅地で11.7%、商業地で13.0%と共に高い上昇率となりました。

近年では東京都心部の周辺エリアの地価上昇が続いていたしたが、特に商業地では東京都区部平均で11.8%の上昇となり、東京都全体の商業地の地価が大きく上昇している事が分かります。

このような要因として大規模な再開発による高額タワーマンションの人気、オフィス需要の増大、さらに新線・新駅を始めとする鉄道交通インフラの整備などによる人口流入やインバウンドの増加による商業施設の需要増加などが考えられます。

特に人口の流入と地価には相関関係がある傾向にあり、東京都のような人口流入の多い都市においては今後も持続的に地価が上昇する可能性があると考えられます。

◼︎東京都の地域別 地価変動率の推移<公示地価>

住宅地商業地
2024年2025年2024年2025年
東京都4.1%5.8%6.3%10.5%
東京都区部5.4%7.9%7.0%11.8%
区部都心部7.1%11.7%7.3%13.0%
区部南西部5.0%7.5%6.7%10.9%
区部北東部5.0%6.7%6.6%10.1%
多摩地域2.7%3.4%3.8%5.3%
<国土交通省「令和7年地価公示」>

区部都心部:千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、渋谷区、豊島区
区部南西部:品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区、練馬区
区部北東部:墨田区、江東区、北区、荒川区、板橋区、足立区、葛飾区、江戸川区

東京都区部の区別地価上昇率ランキング

では東京都の地価はどの区が最も上昇しているでしょうか。

地価上昇率を区別に見ると、住宅地で上昇率がトップとなったのは中央区でした。また2位は港区となり都心の住宅地の地価が大きく上昇しました。

再開発などで都心の就業人口が増加、またテレワークの終了などで出社する機会も増加し都心に近いエリアの住宅需要が増えていると考えられます。またこれらのエリアにおいては超高額マンションの出現と特に外国人投資家による不動産購入も地価上昇の大きな要因となっています。

東京都区部の住宅地の平均は7.9%でしたが、上位10位までが上昇率10%以上となりました。

商業地ではトップは中野区の16.3%となりました。

中野区では「中野」駅を中心に大規模な再開発が多く進行しており、また今後も中野サンプラザの建替えを中心とする大規模な再開発が予定されていますが、工事費の大幅な見直しも含め竣工までの時間も長期に渡りますのでその間も地価の上昇が予想されます。新宿に近く、中央線が利用でき利便性が高く将来性も期待され地価の上昇につながっていると考えられます。

2位は杉並区となっています。JR阿佐ヶ谷駅近くの地点は2021年にも都内で地価上昇率が商業地で1位になるなど地価が上昇しています。杉並区内には大規模な再開発計画はありませんが、交通利便性の高さや元々住宅地としての人気が高く、再開発が著しい新宿など都心へ近い事、さらに近年では都心三区を始めとするエリアと比べて相対的に割安感があった事などが地価上昇率の高さにつながったと考えられます。

◼︎東京23区 地価上昇率ランキング<住宅地> 2025年公示地価

順位住宅地商業地
上昇率上昇率
1中央区13.9%中野区16.3%
2港区12.7%杉並区15.1%
3目黒区12.5%台東区14.8%
4品川区11.9%新宿区13.7%
5文京区11.8%千代田区13.3%
都区部平均7.9%都区部平均11.8%
<国土交通省「令和7年地価公示」>

圧倒的に地価の高い都心エリア

東京都区部で地価が高い地点は、住宅地を見てみると港区赤坂や千代田区六番町、港区白金台や麻布などの高級住宅地の価格が上位となりました。いずれも共通点としては高い知名度、ブランド力、さらに再開発に近いエリアといった点があります。

また商業地では1位から4位までを銀座が占め、1位は「銀座4-5-6」の山野楽器銀座本店で19年連続となりました。1位の場所は1坪当たりに換算すると何と約2億円となります。1坪は畳2枚分ですので畳1枚分の地価が約1億円となる訳です。読者の皆さんも銀座中央通りを歩くとリッチな気持ちになると思いますが、それは当然の事です。なぜなら1畳で1億円もする土地の上を歩いている訳ですから(笑)。

銀座はブランドエリアとして資産性が定着している他、富裕層やインバウンドによる高級商品の購入も多く、ブランドショップの出店需要が高く地価上昇につながっています。

また住宅地と商業地のそれぞれ1位の価格を比較すると約10倍の差があり、東京都心部の商業地の地価がとても高い事が分かります。

◼︎東京都区部 地価高価格ランキング<住宅地> 2025年公示地価

順位所在「住居表示」価格
1赤坂一丁目1424番1「赤坂1-14-11」5,900,000円/㎡
2千代田六番町6番1外4,830,000円/㎡
3白金台三丁目55番4外 「白金台3-16-10」4,700,000円/㎡
4南麻布四丁目12番1 「南麻布4-9-34」4,320,000円/㎡
5南麻布一丁目35番1外 「南麻布1-5-11」4,070,000円/㎡
<東京都「令和7年地価公示価格(東京都分)」>

◼︎東京都区部 地価高価格ランキング<商業地> 2025年公示地価

順位所在「住居表示」価格
1中央銀座四丁目2番4 「銀座4-5-6」60,500,000円/㎡
2中央銀座五丁目103番16「銀座5-4-3」51,700,000円/㎡
3中央銀座二丁目2番19外「銀座2-6-7」44,400,000円/㎡
4中央銀座七丁目1番2外 「銀座7-9-19」43,100,000円/㎡
5新宿新宿三丁目807番1外「新宿3-24-1」40,000,000円/㎡
<東京都「令和7年地価公示価格(東京都分)」>

東京で地価上昇率の高いエリアは

東京都の地価上昇率の最も高い地点は、住宅地では目黒区の青葉台4丁目の地点でした。

渋谷の「神泉」駅に近く、世田谷通りと山手通りの交差点の近くの地点です。松濤なども隣接する高級住宅地となります。

また3位には足立区の綾瀬、4位は北区の赤羽など都心周辺部の地価も大きく上昇している地点もあります。赤羽は都心に近く価格的に出遅れ感があり、綾瀬は再開発の進むエリアです。都心の地価上昇により、こうした都心周辺の住宅地も今後上昇が続く可能性もあります。

商業地では上昇率1位は渋谷区桜丘町の地点でした。渋谷は100年に一度と言われる大規模再開発が進み、桜丘町では「渋谷サクラステージ」が2024年7月に開業しています。今後は就業人口や人流の増加も見込まれる将来性も高いエリアと言えます。またベスト10の中に「浅草」が4地点ランキングしています。浅草はインバウンドなど観光客の増加により大きく地価が上昇しています。

6位と7位となった中野は筆者の事務所のあるエリアです。平日でも多くの人出があり、外国人観光客も多く訪れています。中野の再開発の方向性が決まれば、さらに大きく発展する将来性の高い街と言えます。

◼︎東京都区部 地価上昇地点ランキング<住宅地> 2025年公示地価

順位所在「住居表示」変動率
1目黒青葉台四丁目580番7「青葉台4-6-19」18.9%
2港南三丁目6番7「港南3-7-23」18.6%
3足立綾瀬一丁目111番2外「綾瀬1-32-3」16.6%
4赤羽一丁目32番14「赤羽1-32-12」16.1%
5目黒青葉台三丁目503番3「青葉台3-5-44」15.8%
<東京都「令和7年地価公示価格(東京都分)」>

◼︎東京都区部 地価上昇地点ランキング<商業地> 2025年公示地価

順位所在「住居表示」変動率
1渋谷桜丘町15番6外 「桜丘町14-6」32.7%
2台東浅草一丁目16番14外 「浅草1-1-2」29.0%
3台東西浅草二丁目66番2 「西浅草2-13-10」25.9%
4渋谷神山町7番9 「神山町16-4」24.3%
5台東西浅草三丁目2番10 「西浅草3-4-2」23.8%
6中野中野五丁目21番7 「中野5-67-5」23.8%
<東京都「令和7年地価公示価格(東京都分)」>

以上見てきたように東京の地価が上昇を続けていますが、建築費の上昇も不動産市場に大きな影響を与えており、都心部などは地価上昇、建築費上昇などのコストがマンション価格に転嫁されマンション価格が大きく上昇しています。しかし都心部のマンション需要は高く売れ行きも好調であり、「高くても売れる」エリアでは今後も地価・マンション価格も上昇傾向が続く可能性もあります。

一部都市では地価上昇率が縮小しており、こうしたエリアは地価・建築費の上昇による住宅価格の上昇が買い控えに繋がっており、住宅が「高いと売れない」エリアとなっていると考えられます。日本でも都市により二極化が見られています。

東京は流入人口、就業人口、企業数や再開発など多くの面でも全国の都道府県の中で突出しており、今後も地価上昇が続く可能性があると考えられます。

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